2017年 | プレスリリース・研究成果
シリセンをグラフェンのようにフラットにする構成単位を構築-グラフェンを超える2次元材料の実現に期待-
発表のポイント
- ジグザグ構造をとるシリセンをグラフェンと同じようにフラットにできる構成単位の構築に成功。
- 本成果により、グラフェンと同じように安定な単層シリセンの実現が期待される。
- シリコンテクノロジーを駆使したグラフェンを超える2次元材料の創出が期待される。
概要
東北大学大学院農学研究科高橋まさえ准教授は、これまでとは全く異なる着想によって、ジグザグ構造をとるケイ素2次元シート 『シリセン』 を、グラフェンと同じようにフラットにできる構成単位の構築に成功しました。
2010年にノーベル物理学賞の対象ともなったグラフェンは、炭素原子で作られるフラットな2次元シートであり、その多彩な物性は多くの科学者を魅了してきました。そして、周期律表で炭素原子と同族で、従って同様の化学的特性を持つはずのケイ素原子でも、単層2次元シート 『シリセン』 ができると予想されました。しかしながら、多くの努力にもかかわらず、シリセンの単層フラット2次元シートは現在のところ実現されていません。これは、グラフェンの構成単位である六員環分子ベンゼンがフラットであるのに対し、そのケイ素版のヘキサシラベンゼンがシリセンのジグザグ構造を切り出した椅子型の形をしていることに起因しています。フラットで安定なシリセンの実現には、フラットな構成単位の構築が鍵となります。
今回の研究では、ベンゼンとヘキサシラベンゼンの相違を徹底的に調べ、それまで行われていたアプローチとは全く異なる着想をもって、フラットシリセンの構成単位の構築に成功しました。本成果により、グラフェンと同じように安定なシリセンの実現へ向けて大きく一歩踏み出したことになります。さらに、シリコンテクノロジーを駆使することで、グラフェンを超える優れた物性を有する2次元材料の創出が期待されます。
本成果は、平成29年9月7日(木)午前10時(英国時間)に英国Nature Publishing Groupのオンライン科学雑誌 『Scientific Reports』 に掲載されました。

図 ジグザグ構造のシリセンからフラットなシリセンを構築する概念図
問い合わせ先
(研究内容について)
東北大学大学院農学研究科
准教授 高橋まさえ
電話:022-757-4412
E-mail:masae*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道担当)
東北大学大学院農学研究科 総務係
電話:022-757-4003
E-mail:agr-syom*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)