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東北大学、D-waveマシンを活用した研究開発を開始 量子コンピュータが加速する最適化技術・機械学習の実用的展開を推進

発表のポイント

  • 東北大学は、世界初商用量子コンピュータを実現したD-Wave Systems社と提携して、量子コンピュータを利用した研究開発を開始する。
  • D-Waveマシンが得意とする、多くの候補から最大の利益、最高の効率を発揮するような選択をする「最適化問題」、多くの可能性を瞬時に試し打ちをした結果を出力するサンプリング技術による「機械学習」の分野で、東北大学の研究を多くの企業の実際的問題解決に利用。
  • 大学として学生や研究者からなる研究チームを構成して、量子コンピュータを柱とした研究開発、地域交流、社会的問題解決を可能とする人材育成を推進する。

概要

 世界中で競争が進む人工知能の開発。その鍵を握るのは、大規模なデータ、そしてそのデータを処理するための高速な計算技術、またそれを実行するコンピュータです。そのような背景のもと、世界各国で専用のコンピュータを作る動きが加速しています。その一つの大きな動きが「量子アニーリング」という方法を採用した量子コンピュータです。この新方式の量子コンピュータを世界で初めて実現に成功して、商用販売を開始したのがカナダのD-Wave Systems社です。
 東北大学大学院情報科学研究科大関真之准教授は、科学技術振興機構(JST)が推進する研究成果展開事業 大学発新産業創出プログラム(START)の支援を受けて、D-Wave System社が開発した最新の量子コンピュータ「D-Wave 2000Q」の利用を開始しました。

 D-Wave 2000Qは、2000個に及ぶ要素からなる複雑な情報を独自の方式で扱うことができます。東北大学では、このD-Wave 2000Qを利用した量子アニーリングそのものの潜在的可能性を追求する基礎研究と実社会問題への適用をする応用研究の両者を推進します。

 D-Wave利用者用のシステムは、Lockheed Martin社, Google社, NASA Ames研究所, Los Alamos研究所や他の機関が利用しているものを含めてアメリカに設置されています。近年では日本でも興味・関心が高まってきており、今年の夏には量子アニーリングの国際会議が開催され、株式会社リクルートコミュニケーションズや自動車関連企業などでD-Waveシステムをクラウド利用する流れが進んでいます。さらに、早稲田大学田中宗准教授や株式会社Fixstarsと次々と利用者・企業が増えています。その流れをさらに加速するべく、東北大学は、日本の国立大学、研究機関として初めて量子アニーリングマシンを利用した研究開発プロジェクトを発足します。各種産業で潜在的に利用されている最適化問題の高速解法によるサービスの効率化、新規サービスの開拓などを企業とともに連携しながら取り組み、研究活動において蓄積されたノウハウを公開して、量子アニーリング技術の普及を進めます。

図:最適化問題と量子アニーリング

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院情報科学研究科
担当 大関 真之
電話:022-795-5846
E-mail:mohzeki*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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