2017年 | プレスリリース・研究成果
ヒト胎盤幹細胞の樹立に世界で初めて成功 - 生殖医療・再生医療への貢献が期待 -
胎盤は胎児に栄養や酸素を供給する重要な器官で、胎盤幹細胞(TS細胞)は胎盤の基になる細胞です。マウスでは、TS細胞の培養法は1998年に確立され、マウス胎盤の研究に広く利用されていますが、ヒトTS細胞の樹立は困難とされていました。
東北大学大学院医学系研究科情報遺伝学分野の岡江 寛明助教、有馬 隆博教授のグループは、九州大学生体防御医学研究所の佐々木 裕之教授、須山 幹太教授のグループと共同で、ヒトTS細胞の樹立に世界で初めて成功しました。ヒトTS細胞は、ヒト胎盤の発生や機能を研究する上で有用なツールになると期待されます。また、胎盤の異常に起因するヒト疾患の病態解明や治療法開発にも役立つ可能性があります。さらに将来、生殖医療や再生医療などの医療産業に向けて医薬品や医療技術の創出に繋がるものと期待されます。
本研究成果は、2017年12月14日(木)正午(米国東部時間、日本時間12月15日(金)午前2時)Cell Stem Cell誌(電子版)に掲載されました。
ポイント
- 胎盤幹細胞(TS細胞)は、自己複製能と胎盤の細胞に分化する能力を持った胎盤由来の特殊な細胞である。
- 本研究において、ヒト胎盤の細胞(トロフォブラスト幹細胞)からTS細胞を樹立することに世界で初めて成功した。
- ヒトTS細胞は、胎盤の発生や機能、胎盤異常による疾患を理解する上で有用であるのみならず、将来的に生殖医療や再生医療への貢献が期待される。
論文題目
English Title: Derivation of Human Trophoblast Stem Cells
Authors: Hiroaki Okae, Hidehiro Toh, Tetsuya Sato, Hitoshi Hiura, Sota Takahashi, Kenjiro Shirane, Yuka Kabayama, Mikita Suyama, Hiroyuki Sasaki, Takahiro Arima
Journal Name: Cell Stem Cell. 2017
日本語タイトル:ヒト胎盤幹細胞の樹立
ヒトTS細胞は胎盤の二種類の細胞(合胞体トロフォブラストまたは絨毛外トロフォブラスト)の両者になることができる
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科情報遺伝学分野
教授 有馬 隆博(ありま たかひろ)
電話番号:022-717-7844
Eメール:tarima*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
講師 稲田 仁(いなだ ひとし)
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)