学生協だより No.6

学生協だより No.6



学寮(有朋寮、日就寮)の電気料問題について

― その経過と今後の対応 ―

 本号では、平成10年9月28日付「学生協だより」第5号に引き続き、学寮の電気料負担区分是正問題(以下では電気料問題と略します)について、その後の経過とこの問題の今後の対応方針をお知らせします。

1 その後の経過

 学寮の電気料問題については、すでにこれまで「学生協だより」の第1号から第5号までで詳しくお知らせしてきました。本学に設置されている8寮(昭和舎、有朋寮、日就寮、以文寮、霽風寮、如春寮、明善寮、松風寮)のうち、有朋寮、日就寮、以文寮と霽風寮の4寮において寮生の私的生活部分に係る電気料について、昨年度に至るまでその一部が国費負担となっていましたが、その点について会計検査院からの指摘を受けたことにより超過負担を是正するという大学としての判断をいたしました。しかし未だに寮連・一部寮からの理解が得られておりません。
 本学は、平成10年4月1日をもって国費超過負担を是正するという基本方針のもとに4寮に対して電気料の5月請求分から適正な額の支払を寮生に求めてまいりました。以文寮では5月請求分から、霽風寮では7月に5月請求分に遡って請求どおりに納入されました。他方、有朋寮及び日就寮は請求金額どおりの支払を拒み続けていますので、7月請求分以降、やむを得ず連帯保証人に納入告知書を送付し、支払をお願いしてまいりました。連帯保証人には、理解と協力をいただくため、「学生協だより」や事情説明の文書を送付しています。9月29日にも連帯保証人に「学生協だより」第5号とともに支払のお願いの文書を送付いたしました。さらに、10月15日に副総長名義の「学寮電気料相当額の納入について(お願い)」(資料1)を送付いたしました。寮生及び連帯保証人の理解と協力の結果、次第に納入が進みました。しかしながら、12月14日現在で上記2寮における寮生のうち未納者の割合はまだ30数%にのぼっています。
 学寮専門委員会(学寮専)を窓口として大学が以前から続けてまいりました話し合いの努力はその後も著しい進展をみておりません。「学生協だより」第5号の資料3で述べておりますように、8月末以来、学生寮自治会連合(寮連)委員長及び有朋寮と日就寮の委員長に面談を提案し、それが拒否され、さらに9月16日に2寮の寮生に不払いの中止要請と話し合い呼びかけの手紙を送付しました。その後も寮連に対して電気料是正問題での面談を呼びかけてまいりましたが、拒否されております。
 このような状況の中、寮連は、10月14日午後5時頃から約1時間、片平キャンパスの学務部庁舎前で約70人の寮生が示威行動を行うとともに、寮連と一部寮からの「団体交渉要求書」等(資料2)を大学に提出しました。
 この要求書に対しては、10月21日に副総長名で電気料の問題では会見を行わない旨を回答いたしましたが、その理由として、副総長が寮生と面談を行うような状況ではないことを8月17日付の寮連委員長宛の文書(「学生協だより」第5号の資料2)を引用して述べました(資料4)。寮生の要求内容が従来と同じものであったため、同じ理由に拠って答えております。
 その後11月25日に日就寮生と名乗る、ヘルメット姿の者を含む50人ほどの集団が本学の加齢医学研究所前に現れ、同事務部長らの制止にもかかわらず5階にある仁田教授(副総長)の研究室の前まで乱入し、大声でシュプレヒコールを行い、研究所及び病院の静粛を乱し、同研究所の大切な研究の中断を余儀なくさせ、さらに研究所内の壁やドア等に大量のビラを強力な糊で貼り付け、汚損しました。この行為に対して、学生協は、学寮専委員長を通じて日就寮生に遺憾の意を伝えるとともに今後自重するよう注意を喚起する文書を送付いたしました。(資料5
 また、12月7日にもヘルメットに覆面姿の者を含む日就寮生とみられる約60人が学務部庁舎に職員の制止を振り切って乱入し、示威行動を行い、庁舎内の壁に約60枚のビラを強力な糊で貼って汚損しました。これに対しても、学寮専委員長から日就寮委員長へ口頭で強く注意いたしました。
 12月8日にも、午後5時頃から学務部庁舎前で約80人の寮生が示威行動を行うとともに、4時間以上にわたって学寮専委員長及び委員を足止めしたうえで、寮連からの「第二次団体交渉要求書」を大学に提出しました。
 事前の申し入れにより学寮専委員長らが待つ学務部庁舎前に現れた寮生達は言葉を交わし始めるや否や、学寮専委員長らに突進し、身柄を拘束し、現場周辺で見守る数十人の教職員を去らせるよう要求しましたが、学寮専は、東北大学の構成員は誰でもこの場を見守ることができるとの公開性を主張し、要求を拒否しました。寮連委員長は、要求書提出に先だって質問に答えるよう求め、学内で審議中の議題についてその進行状況と学寮専の見解を明らかにすることを強要しました。学寮専委員長は、そのような質問に「答える立場にない」ことを説明しました。寮生は納得せず、夜間9時過ぎまで学寮専委員を取り囲み、強圧的な言辞をまじえながら同じ趣旨の質問をし続けました。このように、自分たちの要求を威嚇的な態度で長時間突きつけ続けることは、従来も寮連の主張する「団交」で行われてきたことです。これは決して理性的な大学人・学生の間で行われるべきものではなく、今回も寮生が行ったことは大学として悲しむべきことであります。
 提出された要求書に対しては、12月14日に副総長名で、議題が電気料問題であり、目的として電気料是正の白紙撤回を要求するものと判断されるとして、副総長会見を行わないとの回答を行い、さらに詳細な理由について別途文書を送る予定であると伝えました。

2 寮連の主張について

 寮連の主張の一つは、ビラ等によれば、『学寮は厚生施設であるから、私的生活費自己負担論を適用することはおかしい』ということであると受け取られます。大学は、「学生協だより」等で重ねて説明していますように、本来は研究教育費に使うべき大学の予算を寮生の私的生活に係る電気料の一部に充てれば、他の寮の寮生や一般学生との不公平が生じると考えます。また、国民の税金による大学予算をそのような形で支出すれば、一般の納税者に対して公正を欠くことになると考えています。ですから、会計検査院の指摘を待つまでもなく是正は正当なものであり、これを白紙撤回することは社会的にみても許されません。
 次に、寮生達は、『電気料是正措置は一方的に大学が押しつけてきた』と主張していますが、すでに大学の考えを「学生協だより」の中で繰り返し説明してきましたように、学寮経費の負担区分是正問題は30数年にわたって寮生と大学の間で話し合いを進めてきた問題であります。「学生協だより」第2号の参考資料にあるとおり、繰り返し提案を行い寮生の理解を求め続けてきました。今回も昨年9月以来寮生の理解を求めてきましたが、それは受け入れられませんでした。この度、突然寮生に通知したものではないことを改めて確認しておきます。
 また、寮連は『昨年12月以降大学が団交に応じていない』と非難し、一方でたとえば代表者会見のような話し合いの呼びかけを拒否しています。このことは、寮生は話し合いを「団交」形態に限定しているとしか考えられません。寮生が「団交」と称している学生部長会見の実態は、平成9年12月17日の会見について学生協だより第1号でもお知らせしてあるとおり、学生部長の自由な発言を多数の声で妨害し、机を取り囲んで脅迫・強要に類する行為を繰り返し、体調を崩した学生部長への休憩も容易には認めず、また時間の約束を守らず無制限に会見の時間を延ばそうとし、果ては机をひっくり返す、器物損壊におよぶなど、大学で学ぶ人たちが理性的に行う行為とはまったくいえないようなものでした。たとえ電気料問題に係る混乱の打開のためであれ、会見の場におけるこのような事態の再現が懸念されるとすれば、寮生が唯一の「話し合い」形態と主張する「団交」についてはきわめて慎重にならざるを得ません。寮生がこのような「団交」を要求することは理性的な話し合いの道を閉ざそうとしているようにみえます。

3 今後の対応

 有朋寮及び日就寮の電気料不払いという異常事態が6か月も続いており、その間大学は寮生と対話をしようと努力し、連帯保証人からの電気料相当額の納入をお願いしてきましたが、寮生側は相変わらず、『電気料是正粉砕、一方的通達の白紙撤回を団交で勝ち取る』と抗議行動を繰り返しています。ここに至っては説得もはなはだ困難であると判断せざるを得ない状況であります。
 もちろん、大学としては、より十分な理解を得られるよう今後も寮生側に働きかけを続けて行く考えでありますが、この現状が続くことを放置しては大学としての責任を果たすことができません。毅然とした対応をとることも大学の務めと考えます。そのため、このほど次のような方針を全学的に確認いたしました。
(1) 納入がなされていない寮生に対して、裁判所を通して法的な措置(支払督促申立)をとる準備に入らざるを得ません。これは、その寮生が国に負っている債務を法的に明確にし、裁判所を通して支払いの督促をし、未納の電気料相当額(申立費用等を含みます)の納入を法的に履行することを求めるものであります。国が申し立てる前に、当該寮が寮として支払いに応じることを決定するか、寮生本人または連帯保証人からの納入があれば、申し立ては行われません。

(2) 寮としての不払いが続くようであれば、当該寮の新年度の入寮募集を停止せざるを得ません。有朋寮、日就寮の2寮は電気料問題で極めて混乱した状態にあり、来年4月の新入生を入寮させるとさらに不払いが拡大するということが懸念されるばかりではなく、新入生を無用の混乱した状態に陥れることになると予想されます。人間形成の目的で、また経済的理由から入寮を希望する新入生に対して現有の施設を利用する道を狭めることはまことに辛い選択ではありますが、国有財産を適切に管理・運営する責任のある、また新入生の教育を最善の状況で始める責任のある大学として、やむを得ない措置と考えています。
この停止措置は、もちろんすでに入寮し在寮資格を有する寮生が在寮を続けることに影響を与えるものではありません。もちろん当該寮の廃寮化を意図するものでもありません。また、不払いがなくなり、電気料の正常な納入がなされるならば、停止措置が解除されることはいうまでもありません。

4 おわりに

 有朋寮生、日就寮生には、不払いをやめて学寮専と理性的な話し合いの場を持つよう改めて要請します。東北大学を構成する教職員・学生等の方々には、以上の事情から不払いが続く限りは法的措置や入寮募集停止を行わざるを得ないことが2寮を維持していくためにもやむを得ない判断であることをご理解いただき、ご協力くださることを重ねて切望する次第であります。

学 生 生 活 協 議 会






【資料1】

平成10年10月15日  


有朋寮・日就寮入寮生連帯保証人殿

東北大学副総長(学務等担当) 
江 原 淑 夫 


学寮電気料相当額の納入について(お願い)


 拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。  貴殿が連帯保証人をされている寮生の学寮の電気料につきましては繰り返し説明と納入のお願いの手紙をさし上げ、また歳入徴収官よりの督促状もお届けしているところでございますが、現在まで貴殿よりの納入は確認されておりません。寮生に宛てた最初の請求書の納入期限から既に5ヶ月が過ぎるところでございますので、ここに改めて事態の重大性と本学の考えを申しのべさせていただきます。

 既にお送りいたしました「学生協だより」でご覧のことと存じますので、詳しく繰り返すことはいたしませんが、この4月から適用されております電気料の個人負担の区分是正は大学としては正規の手続きによって決めたことですから、それを撤回することはございません。寮自治会連合(寮連)による不払運動が展開されておりますが、個人負担分に国庫の経費をいわば立替のような形で使ったままにすることは許されません。したがって、不払いがこのまま続きますと大学として学寮を維持していくことに重大な支障となることは明らかでございます。
 滞納が続く場合には関連規程に基づいて退寮命令を出すなどの厳正な処置をとることが定められており、既にその時期が来ております。しかし、退寮命令などによって問題が解決するということではなく、かえって余分な混乱を生じることも懸念され、できればそのような事態は避けたいと思います。皆様の賢明なご判断が非常に大切になっている局面であることがご理解いただけると存じます。

 連帯保証人をされている寮生のことをお考えになってのご意見もお持ちかと拝察申しあげますが、既に過半数の方からの納入を頂いておりますし、退寮命令等の手続きの時期など、状況は切迫しております。連帯保証人としての本来の責務をどうか果たしていただきますよう重ねてお願い申し上げます。
 なお、寮生諸君の理解が得られるよう寮連と話し合いをしようとの呼びかけをしておりますが、皆様から納入がなされましてもその考えには変わりがないことを申し添えます。

敬 具 







【資料2】
団 体 交 渉 要 求 書


副学長(学務等担当)江 原 淑 夫 殿

 副学長(学務等担当)との団体交渉を以下の通り要求する。

〈日 時〉 1998年11月11日(水)18時より
〈場 所〉 川内北キャンパスA200教室
〈時 間〉 制限を設けない。やむをえず打ち切る時は、両者で議事内容を整理
      した上で次回の交渉日程を決定する。
〈形 態〉 大学当局は副学長(学務等担当)
      学生は東北大学学生寮自治会連合加盟寮寮生及び東北大生
〈議長団〉 東北大学学生寮自治会連合加盟寮八寮のうち三寮から各一名の三名
〈議 題〉 『電気料問題について』

  1998年10月14日        
東北大学学生寮自治会連合  
執 行 委 員 長






【資料3】

団 交 要 求


 我々は、以下の理由により東北大学当局に団体交渉を強く要求する。
 まず第一に、大学当局がワーキンググループ案なるものによって団交を破壊しようとしていることである。これは「学寮に関することはすべて大学当局と寮生との団体交渉における合意によってのみ決められる」という団交の大原則を一方的に踏みにじるものであり、断じて認めることはできない。我々は、学生の生活を守り抜く上で当然の権利である団交の破壊を許さず、団交の原則をしっかりと確認するために団交を要求する。
 第二に、昨年12月17日に行われた電気料団交が、学生部長と学寮専委員長が『電気料「是正」は全学の総意であり白紙撤回できない』と繰り返すのみであり、全く話し合いと呼べるものではなかったことである。団交決裂の全責任は学生部長関をはじめとする大学当局に帰せられるべきであるにもかかわらず、大学当局は自らの団交破壊の暴挙には触れずに『電気料団交で寮生には説明済み』というペテンによって今年4月から電気料「是正」を強行した。これこそ一方的通達による寮自治の破壊=廃寮化攻撃であり、そこには一片の正義もない。我々は団交の原則を再確認するとともに、電気料「是正」問題を寮生の完全勝利をもって解決するためにも団交を要求する。
 第三に、大学当局側の公式文書のすべてにその名前を出し、電気料「是正」問題の最高責任者である副学長江原がいまだに寮生の前に一度たりとも姿を現していないことである。寮生からの面談要求をことごとく無視して逃亡を続ける江原を許さず、絶対に団交の場に引きずりだす。
 以上の理由により、寮連は東北大学当局に団体交渉を要求する。
 最後に、予備折衝の日時を10月21日(水)までに返答することをあわせて要求する。

  1998年10月14日    

東北大学学生寮自治会連合執行部







【資料4】

平成10年10月21日



東北大学学生寮自治会連合
  執 行 委 員 長 殿

東北大学副総長(学務等担当)
江 原 淑 夫 


 10月14日付の「団体交渉要求書」に対する回答は以下のとおりである。

1. 回答
1) 副総長は電気料の問題では会見を行わない。
2) 電気料問題について寮生の理解と協力を得るため、学寮専門委員会は、学生寮自治会連合と学寮専門委員会との間の面談を呼びかけている。

2. 説明
1) 電気料問題で副総長が寮生と面談を行うような状況にないことについては、既に8月7日付の学生寮自治会連合委員長宛の文書(『学生協だより』第5号の資料2)の中で理由を述べているが、以下に引用する。
〔1〕 大学の考え方やこれまでの経緯については、『広報』や『学生協だより』等で繰り返し説明してきたので、副総長が改めて説明するまでもない。
〔2〕 電気料問題については昨年12月に学生部長が会見を行ったが、そこでは予備折衝で合意したルールがまったく無視され、大学は寮連との会見に強い不信感を抱いている。
〔3〕 大学の意思はある特定の個人が決定できるものではなく、全学的な委員会で検討し、部局に諮ってはじめて決定されるものである。
今回の「団体交渉要求書」の提出を受けて検討したが、このことに変更がないことを確認した。
2) 今回の団体交渉要求は、声明文によると、電気料是正の「白紙撤回」を求めたものであるが、大学が繰り返し説明しているとおり撤回することはありえないので、これを議題とする会見を行う必要はない。





【資料5】

平成10年11月30日


 日就寮生諸君へ

11月25日の行動への注意


 諸君が加齢医学研究所で行った抗議行動の度の過ぎたやり方に対して、遺憾の意を伝え、今後の自重を求める。

 去る11月25日夕刻、ヘルメット姿の者を含む50人ほどの集団が、本学加齢医学研究所前に現れ、事務部長らの制止を振り切って研究所内に侵入し、5階にある副総長仁田新一教授の研究室前まで乱入するに至った。大声でシュプレヒコールを行い、大切な研究の中断を余儀なくさせた。さらに、研究所内の壁、1階から5階までの階段の壁、エレベーターの扉、窓ガラス等に100枚ほどのビラを強力なのりで貼り付け、汚損した。しかもこの研究所は病院に隣接しており、診療の妨害や患者の皆さんへの影響を考えると、これらの行為は到底許されるものではない。実際にマイクやホイッスルの使用によって病院の中まで騒音が到達した。
 これらの行為は、ビラに印刷された記名から諸君が行ったものと考える。諸君は意志を表明するために節度を持って行ったと弁明するであろうが、このようなことが許される範囲だと考えているならばそれはまったくの誤りである。
 今後、決してこのような行動をしないよう強く求めるものである。もしも、このようなことが繰り返されるならば、大学は厳正な措置をとらざるを得ないであろう。

 諸君が副総長との「団体交渉」を求めていることは要求書によって知っているが、会見をしない理由は既に文書で伝えられた。さらに電気料問題に関して意見があるならば、学寮専門委員会が呼びかけているように代表者が理性的に話し合うことを申し出てほしい。

東北大学学寮専門委員会
委員長 海老澤 丕 道



※『学生協だより』は、東北大学のホームページの【学内掲示板】から参照することができます。
(ただし学内からのみアクセス可)


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