電気料問題が解決しました
-この36年の間に得たもの、まだ得られないもの-


 東北大学が抱えていた深刻な学寮問題の一つである電気料問題が解決し、有朋寮及び日就寮の入寮募集停止が解除になりました。学寮における私生活経費自己負担問題の解決をめざした大学関係者の苦悩の期間が文部省通達以来36年間続きましたが、今ようやく、一つの区切りをつけることができたことになります。
 大学は、この問題を解決するために昨年2月以降入寮募集停止という措置を取ってきました。それに対して寮連及び有朋・日就2寮は「自主募集」を強行して、不法入寮者を生むことになり、寮の混乱に拍車をかけてしまいました。その後2寮は電気料の支払いを行いましたが、不法入寮者の問題と暴力行為の問題が残っていました。平成12年2月になって寮連及び2寮は、さきに大学が示した入寮募集停止解除の条件に対して、大学の規程に従って電気料を支払うことを確約し、不法な「自主募集」及び暴力的行為に対して謝罪する旨の回答文を提出すると共に不法入寮者が退去したため、大学は条件を満たしたものと認め入寮募集停止を解除し、これにともない電気料の問題も解決することになりました。この回答文によって、寮連及び2寮は私生活経費の自己負担原則を電気料支払という形で認めたことになります。
 学寮に関わる問題はなお山積しており、この解決を新たな出発の契機とすることを祈念し、この学生協だより12号を編集しました。一昨年末の入寮募集停止決定から解除に至るまでの推移と、大学の考えの詳細をお伝えするとともに、電気料問題全体の経緯をあらためてふり返ります。新たな世紀を目前に、従来になく厳しい立場に立たされている本学の将来を構築する上での一助となれば幸いです。
                                          
目 次
 I.はじめに

 II.入寮募集停止の解除 -その意義と評価-
1.解除の条件
2.寮連及び有朋・日就2寮からの回答文
3.解除の条件の趣旨と回答文についての評価
4.入学試験への対応
5.解除の決定をふまえて
   (1)これが真の問題解決ではなく、あくまでも出発点
   (2)電気料問題の解決に「団交」は不要でした
   (3)不法入寮者への教育的指導
   (4)不法行為や暴力的行為の再発防止に向けて
   (5)寮連及び有朋寮・日就寮の諸君に望むこと
   (6)大学の責任

 III.電気料是正問題の経緯(その1)-発端から募集停止に至るまで-
1.会計検査院からの指摘と段階的改善の経緯
2.電気料(新負担区分による是正後)の請求と寮生の対応
3.寮生との話し合いと公示
4.是正を実行するための措置

 IV.電気料是正問題の経緯(その2)-大学のとった措置とその推移-
1.評議会決定
2.支払督促申立てと入寮募集停止
3.電気料納入状況の推移
4.裁判の開始 -寮の不払いと異議申立て-
5.裁判の終結 -有朋・日就2寮の電気料支払い-
(付)弁護士からの通告書

 V.電気料是正問題の経緯(その3)-不法入寮問題と関連する諸事件-
1.有朋寮・日就寮の「自主募集」
2.新たな入寮募集停止の要因の発生
3.不法入寮者に対する説得と退去勧告
4.日就寮生らによる学寮専委員長拘束
(付)「団体交渉」要求及び入寮募集停止の即時解除を求める署名簿

 VI.解除後も残された問題点
1.「寮生共闘」等の暴力行為 -未解決な暴力事件-
2.回答文を反古にさせない努力を

 VII.総括と展望のために
1.大学の管理責任と「学寮の自治」
2.真に民主的な学寮を目指して 「意見表明の在り方」
3.未来を志向した学寮の建設に向けて

 別 表1~3
 資 料1~8




I.はじめに

入寮募集停止が解除になり、平成12年度の新入生を有朋寮・日就寮にも迎えます
 有朋寮と日就寮の入寮募集は、大学の決定に基づいて平成11年2月1日の副総長からの通知によって停止されていました。その後学生生活協議会(学生協)では、平成11年12月21日「募集停止」解除の条件を提示していましたが、平成12年2月18日に学生寮自治会連合(寮連)と有朋寮・日就寮からの回答が提出され、翌19日に開かれた臨時学生協において「入寮募集停止」は解除されることになりました。その翌日2月20日には臨時評議会で承認され、解除について寮連と2寮へ通知し、学内には「告示」によって周知されました。
 この問題の直接の発端は平成9年度に遡ります。大学は、学寮における「私生活経費自己負担原則」に基づいて、電気料負担区分が全ての寮に平等に適用されるよう、平成10年4月よりの是正を決定しました。これに対して有朋寮と日就寮は大学の決定に違反して是正分不払いを続け、また暴力的行為を引き起こし、学寮の管理運営は異常な状況となりました。このような状況の中に新入生を入寮させることは教育上の責任からできないとして、入寮募集の停止措置がとられました。この経緯についてはこれまでの「学生協だより」で詳しく説明されています。さらにこの2寮は大学の決定に違反して入寮募集を強行し、その結果不法入寮者を生み出し、事態を複雑なものとしてしまいました。寮連とこの2寮は副総長との「団交」などを要求して、暴力的な行為、教官や事務官の拘束、さまざまな迷惑行為を繰り返しました。学生協は不法入寮者に退去を説得・勧告し、学寮専門委員会(学寮専)を通じて寮連に働きかけを続け、この事態が終息するよう努力してきたものです。

36年来の電気料問題が解決し、新しい寮を考える時が来ています
 この2寮に対する入寮募集停止の措置は、電気料問題に関係しています。文部省通達が出てから、関係者の36年という長い解決に向けた苦悩の期間がありました。この間、時代の要請と社会通念という現実を寮生に理解させることに腐心してきたのです。この問題ばかりでなく学寮の問題に対して、膨大なエネルギーが費やされました。厳しい対立と意見の相違から、寮生による暴力行動などの深刻な事件が発生し、大学はその解決に向けて努力を余儀なくされてきました。本号が、今後そのような過去の反省にたちながら時代の変遷を見つめ、さらに将来を見通した大学と学寮のあるべき姿を考える契機となることを期待しています。感受性に富み、エネルギーに満ちあふれた若い学生に、時代の要請に応えた、あるいは先取りした学寮を用意することは大学にとって重要課題の一つと考えるからです。

 本号では、寮連及び2寮からの回答文を大学が評価した点、電気料問題の発端からこの数年間の経緯をまとめの意味で整理して述べます。しかし、電気料問題は解決したとはいえ、残された問題はたくさんあります。未解決の「寮生共闘」の活動への対応、寮からのいろいろな要望への対応、寮の運営の健全化、学寮の老朽化対策、未来志向の学寮建設など、山積する課題への対応が求められています。




II.入寮募集停止の解除 -その意義と評価-

1.解除の条件
 大学は、学生協の議を経て、次ページに掲げる「有朋・日就2寮の入寮募集停止を解除するため
の条件」を学寮専委員長名で寮連及び2寮委員長宛てに文書で通知しました(平成11年12月21日)。
 入寮募集停止解除の3条件は、何よりも有朋・日就2寮の混乱状態が解消されること、そして寮の管理運営が正常に復すること、及び暴力行為の根絶を求めるものです。同時に、同じ状況が将来再発することを防ぐためのものです。

入寮募集停止解除の条件

(前提条件)
以下のことについて、文書で回答すること。なお、これを公開します。
(解除の条件)
1.大学の規程に基づく電気料を今後も支払うという確約書を提出すること。
2-(1)不法入寮者の退去と大学によるその確認。
  1) 不法入寮者が2寮から退去し、不法入寮者から転居届を住民票等を添付し提出すること。
  2) 不法入寮者氏名及び入居期間一覧を提出すること。
  (2)入寮募集停止の大学の決定に従わず「自主募集」した責任を表明すること。
3.電気料是正や不法入寮問題での主張を通すために暴力的行為を行ったことに対して、謝罪及び見解を出すこと。
  1) 学寮専委員長や事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等の不法行為等への謝罪。
  2) 総長室乱入及び法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解の表明
(入寮募集再開後の措置)
1.不法入寮者については、2寮への入寮を一時的に禁止する。
2.再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は直ちに入寮募集を停止する。

2.寮連及び有朋・日就2寮からの回答文
 寮連及び有朋・日就2寮から、第1次回答文(1月24日付)が送られ、学寮専門委員会(学寮専)
からは、この回答文が入寮募集停止解除の条件の趣旨とはかけ離れたものである旨、非公式面
談の席で伝えました。(学生協ニュースNo.11に掲載)
 その後、寮連及び2寮からは第2次回答文(2月3日付)が提出されました。2月4日の非公式面談では寮連及び2寮から、第2次回答文をそのまま2月7日の学生協に諮って欲しいとの要求がありました。学生協で審議の結果、内容が不充分であるため、入寮募集停止の解除には至りませ
んでした。(学生協ニュースNo.12に掲載)
 その後、寮連及び2寮からの第3次回答文(2月14日付)が送付され、学寮専が窓口となり2月17日(木)非公式面談を行った後、第4次回答文(2月18日付)を受けとりました。これを評価したので、直ちに臨時の学生協を2月19日(土)に開催して審議を行いました。(学生協ニュースNo.13に掲載)
 寮連及び有朋・日就2寮からの回答書の全文は、資料1に掲載してありますが、大学が示した解除の条件との比較を以下に示します。

大学の「解除の条件」と寮連及び2寮からの回答文比較表

大学の「解除の条件」寮連の回答文有朋寮・日就寮の回答文
1.大学の規程に基づく電気料を今後も支払うという確約書を提出すること。
日就寮・有朋寮の2寮は、今後も大学規程に基づいて請求される電気料全額を支払う意向である。東北大学学生寮自治会連合としても、2寮のこの方針に関して異議がないことを確認する。
有朋寮:有朋寮は、今後も大学の規程に基づいて請求される電気料全額を支払う。
日就寮:大学の規程に基づいて算出される電気料を今後とも支払うことを確約する。
2-(1)不法入寮者の退去と大学の確認
1)不法入寮者が2寮から退去し、不法入寮者から転居届を住民票等を添付し提出すること。
2)不法入寮者氏名及び入居期間一覧を提出すること。
 有朋寮:99年度に大学の決定に違反して有朋寮に入寮した者は、既に退去している。なお、転居届(住民票等を添付)については各個人から学部の方へ提出済みである。また『入寮者氏名および入居期間一覧』と題した文書についても別に提出済みである。
日就寮:退去確認
名簿提出
2-(2)入寮募集停止の大学の決定に従わず「自主募集」した責任を表明すること。 日就寮・有朋寮の99年度の入寮募集活動は、大学側が2寮の電気料不払いを理由とする「入寮募集停止」の措置を講じる中で行なわれ、寮連も2寮の入寮募集活動を支援した。我々としては、入寮を希望する学生の入寮の機会を損ねるべきではなかったと考えている。問題を早期に解決することができず、その結果、入寮希望者の入寮の機会を損ねてしまったことについて反省している。また、大学側の「入寮募集停止」の決定に違反した入寮募集活動を支援したことを認め、謝罪する。有朋寮:大学側が電気料不払いを理由とする「入寮募集停止」の措置を講じる中で有朋寮は99年度の入寮募集活動を行った。我々としては、入寮を希望する学生の入寮の機会を損ねるべきではなかったと考えている。問題を早期に解決することができず、その結果、入寮希望者の入寮の機会を損ねてしまったことについて反省している。また、大学の「入寮募集停止」の決定に反し入寮募集活動を行ったことを認め、謝罪する。
日就寮:99年度の入寮募集に関して、寮生と大学の意見が食い違っていたことで99年度新入生に迷惑をかけてしまったことについて反省している。また、大学の「入寮募集停止」の決定に反し入寮募集活動を行ったことを認め、謝罪する。
3.電気料是正や不法入寮問題での主張を通すために暴力的行為を行ったことに対して、謝罪及び見解を出すこと。
1)学寮専委員長や事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等の不法行為等への謝罪。
2)総長室乱入及び法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解の表明
電気料問題に関連して寮連が主催した行動の中で、学寮専委員長や事務官に対する拘束等があったことについて、これを認め謝罪する。また、同様に電気料問題に関連して寮連が主催した行動の中で、器物破損に至る行為等が行動参加者によってなされたことについても、これを認め謝罪する。今後は同様の行為を行わない。
 寮連と「寮生共闘」は一切無関係である。学長室乱入及び法学部教授会乱入事件について、寮連はこれらの行動には関与していない。これらの行動が大学側の主張するとおりであるならば、寮連としてこれらの行動を容認しない。
 またこれらの行動が大学側の主張するとおり、電気料問題や「入寮募集停止」問題に関連して行なわれたものであるならば、寮連としてこれらの行動を制止することができなかったこと、現在までこれらの行動に関する事実関係を把握できなかったことを謝罪する。
有朋寮:学寮専門委員長、事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等について、有朋寮としてそのような行動を容認しない。
 学長室乱入及び法学部教授会乱入事件について、これまで明らかにしてきたとおり、有朋寮はこれらの行動には関与していない。これらの行動が大学側の主張するとおりであるならば、有朋寮として、そのような行動を容認しない。
日就寮:日就寮主催として電気料問題の中で行ったさまざまな抗議行動が、個人の吊るし上げになってしまっていたことを認め、謝罪する。
 具体的には、寄宿料受領行動の際の学務部事務官拘束、99年11月9日における当時の学寮専委員長中川氏に対する拘束等について謝罪する。
日就寮主催抗議行動において器物破損等があったならば、その場の統括が取りきれていなかったことと、その損壊両方について謝罪する。今後はこうした行き過ぎた行動は行なわない。
 日就寮と「寮生共闘」は一切無関係である。また、日就寮として、このような行動は容認しない。

3.解除の条件の趣旨と回答文についての評価
 「寮の混乱」が再発することを防ぐためにも、本条件の趣旨を明確にしておきたいと考えます。「入寮募集停止解除の条件」は、寮連及び2寮に対して「解除の条件」と「入寮募集再開後の措置」について、文書で回答することを前提条件としました。
 寮連及び2寮からの回答は、全体としてほぼ大学の提示した条件を満たした内容になっています。大学はこの回答文(資料1-1~1-11)を評価し、入寮募集停止の解除を決定しました。要点を説明します。

(1)解除の条件1
【趣旨:大学の規程に基づく電気料を今後も支払うという確約書を提出すること】
この項目は、大学の規程に定められた電気料の支払いと、不払い運動が二度と繰り返されないことを全学的に納得できる公式な文書として、確約し提出することを求めたものです。
 そもそも、本学の寄宿舎規程及び寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程に、諸舎費の納付について明記されています。(別表3)上記の寄宿舎規程を了承して入寮した寮生の代表団体であるはずの寮連が、大学の規程を認めないと主張することが、もともと本末転倒であるといわざるをえません。あくまで大学の規程を否認するならば、寮連と2寮執行部は、寮生の代表としての資格が疑われかねません。
 寮生個人が使った分を個人負担とし、共通部分で使用した分を国費で負担することが現在の負担区分の原則です。「私生活費自己負担の原則」は、一般学生にとって当然のことであり、社会通念上も当然のことです。2寮だけが特権をもつことは、公平な社会として許されることではありません。
《回答についての評価》
 回答文では、「大学の規程に基づいて」との文言が明記され、その上で電気料の支払いが確約されています。これにより、「私生活経費自己負担の原則」を寮連及び2寮が公的に認めたことになります。
 もとより電気料は、大学と寮生との交渉によって決定される性質のものではありません。確約があろうとなかろうと、電気料は払ってもらわなければなりません。しかしまさにその点が曖昧にされていたからこそ、今回の電気料問題が生じたと言えます。
 この確約は、「私生活経費自己負担の原則」を改めて寮生側に認識させ、今回の不払い運動のような筋違いの行動を未然に防いでゆくという意味で、今後にわたって大きな効力を持つものであると評価できます。

(2)解除の条件2-(1)
【趣旨:不法入寮者の退去と大学によるその確認】
1) 不法入寮者が2寮から退去し、不法入寮者から転居届を、住民票等を添付し提出すること。
2) 不法入寮者氏名及び入居期間一覧を提出すること。
 学寮は国有財産として東北大学が管理している施設であり、管理者の許可無くして入寮はできません。この原則に基づき、大学は学寮の管理責任者として、許可なく寮に居座り続けている不法入寮者の即時退去、ならびに退去完了の具体的な確認を要求しています。
 昨年4月以降学生協は、各学部の教官と協力しながら、2寮に入居してしまった1年生に入寮募集停止に至った事情と入居の不法性を繰り返し説明し、退去を求めてきました。その結果、当初2寮に入居した1年生の半数ほどは転居しました。しかしながら、度重なる説得にもかかわらず、依然として10数名の不法入寮者が残っていました。連帯保証人にも繰り返しこのことを通知しました。
 また、不法入寮者の中には不実記載者(新入生が提出する書類の住所欄に不実記載した者)もいるものと推定されました。学寮への入居者が不明であることは、学寮の自治の名の下に行なわれている入寮者選考の不明朗さを示しています。入寮者選考基準と入寮者名を公開しないで、寮の自治を求めても、その主張は認められるものではありません。
《回答についての評価》
有朋寮の回答に「大学の決定に違反して有朋寮に入寮した者」と明記されています。これにより、寮執行部が不法入寮者を正規の寮生ではないと認めたことを確認することができます。

(3)解除の条件2-(2)
【趣旨:入寮募集停止の大学の決定に従わず「自主募集」した責任を表明すること】
 大学の決定を無視して「自主募集」を強行し、新入生を2寮に入居させたことが不法行為であったこと、そしてその不法行為を教唆し助長した責任が自らにあることを、寮連と2寮委員会に潔く認めることを求めるものです。新入生のほとんどは、高校を卒業したばかりの未成年者であることを考えたとき、不法行為を教唆し助長した責任は一層重いと言わざるを得ません。
 もちろんそのような不法行為が今後は二度と繰り返されないことも明確に宣言されなければなりません。大学の決定が簡単に無視されてしまうならば、そしてそのことが何の咎めもなく黙認されてしまうならば、大学の存在する根拠そのものが疑われることになるでしょう。
《回答についての評価》
 寮連及び2寮とも、大学の決定に違反して入寮募集活動をしたことを認め、謝罪しています。もとより寮連及び2寮が「自主募集」を強行して新入生等を入居させたことは、大学の管理権を侵害する明らかな不法行為です。回答文は、入寮者の決定権が大学にあるという従来からの大学の主張を認め、かつ公的に表明しています。

(4)解除の条件3
【趣旨:電気料是正や不法入寮問題での主張を通すために暴力的行為を行ったことに対して、謝罪及び見解を出すこと】
1) 学寮専委員長や事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等の不法行為等への謝罪。
2) 総長室乱入及び法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解の表明
 この項目も社会通念上、常識的なことを求めるものです。
 学寮問題に関連して、2寮寮生あるいはこれとみられるものたちが総長室や教授会に乱入したり、教官を拘束したりするなどの悪質かつ粗暴な行為も繰り返されてきました。これらはどれをとっても刑法上の犯罪になりかねず、大学の自治を脅かすものです。寮連、日就寮及び寮生共闘の名でこれらの暴力的行為を正当化している点も見逃すことができません。
 このような暴力的行為は、電気料が支払われた後も続いていました。そして、ビラなどからも、暴力行為で威嚇しながら、自分たちの主張を通そうとしている姿勢を改める気配はうかがえませんでした。大学の社会責任が厳しく問われている現在、このような違法行為は厳しく追及されるのは当然でしょう。
 以上のような事実を深く反省して大学に謝罪し、今後二度と繰り返さないと約束することを、この項目は寮連と2寮に要求します。たとえ直接には手を下していない場合でも、自分たちと同一の主張を暴力で無理遣り通そうとする組織の行為に対し、それが許されざる行為であることをはっきりと認める見解の表明を要求します。
いかなる場合にも暴力を非とすべきは当然の理です。その当然のことが、ここで改めて要求されています。
《回答についての評価》
 寮連及び日就寮は、それぞれが主催した行動における不法行為・暴力的行為を認め、謝罪しています。また今後はそのような行動を行なわないことを明記しています。
 総長室や法学部教授会への乱入事件等については、寮連及び2寮とも一切の関与を否定し、そのような行動を容認しないことを表明しています。さらに、それらの事件への犯行声明を行なった「寮生共闘」なる過激暴力集団との関係も否認しています。
 寮連と日就寮が謝罪したのは、自ら犯行声明を行なった行動についてのみです。犯行声明を行なっていない有朋寮は、一切謝罪をしていません。しかし、寮生側が組織としての関与を否定している一連の不法行為・暴力的行為において、一部寮生の参加が確認されています。いうまでもなく、犯行声明をしなければ何をしても良いということにはなりませんし、たとえ個人の行動であったにしても、それが組織問題にかかわるものである以上、組織として知らぬふりというのは極めて無責任な態度です。
 いずれにしても、これまで数知れず繰り返されてきた不法行為・暴力的行為について、寮連及び2寮は、それが行なわれてはならないものであったことを公的に宣言しました。それは大学の意向と完全に一致するものです。従って今後は、そのような不法行為・暴力的行為の再発防止に向けて、大学は寮生側と協力して暴力行為に対する措置を講ずることができるでしょう。この意味でも、真に民主的な学寮の基盤が一層固められたと言えます。

入寮募集再開後の措置
【1.不法入寮者については、2寮への入寮を一時的に禁止する】
 大学の再三の説得や退去勧告にもかかわらず入居を続けた不法入寮者に対しても、その責任が問われなければなりません。そのために、不法入寮者に対して入寮募集開始後に入寮を一時禁止する措置を講ずるものです。いつまでも寮に不法に居座り続けた学生がいる一方、大学の決定に従って入寮をあきらめた学生がおり、また不用意に入寮してしまっても大学の勧告に従って退去した学生もいます。この措置は、そのような不公平を是正する趣旨をも併わせ持っています。
 ただし、この措置は2寮への一時入寮禁止を求めているだけであり、他の寮に入ることは問題
ありませんし、そのことを繰り返し勧めてきました。

【2.再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は直ちに入寮募集を停止する】
 憂うべき混乱状態の再発を防ぎ、学ぶ者にふさわしい学寮とするための措置です。21世紀を目前に控えて、暴力や拘束による支配と訣別し、人権を尊重し、知性ある東北大学にふさわしい未来志向の学寮を建設する時がきています。
 以上から、大学は、寮連及び2寮からの回答が「入寮募集停止解除の条件」を満たしていると判断し、臨時学生協を平成12年2月19日(土)に開催して審議を行いました。その結果、有朋・日就2寮の「入寮募集停止」は解除することが決定され、翌2月20日(日)の臨時評議会で承認されましたので、下記の告示を行ないました。

告 示

 大学は、有朋寮および日就寮の入寮募集停止の解除を決定した。
 学生寮自治会連合(寮連)および上記2寮は、電気料負担区分是正に反対し、電気料の不払いを続けるとともに、大学の決定に違反して「自主募集」を強行し、1年生等を不法入寮させて寮を混乱させた。大学は、平成11年12月21日付けで提示した「入寮募集停止解除の条件」に対する平成12年2月18日付けの寮連および上記2寮の委員長からの回答文書を検討した。大学は、寮連および上記2寮の回答を評価し、学寮の管理運営上の責任および教育上の配慮から、上記2寮の入寮募集停止の解除を決定したので告示する。
 なお、不法入寮者については、上記2寮への入寮を一時的に禁止する。また、再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は、直ちに入寮募集を停止する。
   平成12年2月20日

副総長(学務等担当)
仁 田 新 一
学生生活協議会


4.入学試験への対応
平成12年度の受験生ならびに父母には「有朋寮・日就寮の入寮募集停止について」(資料2)を入学願書に同封して送付しましたが、入学試験前に入寮募集停止解除が決定されていたため、「有朋寮および日就寮の入寮募集解除について」を全試験場(前期日程及び後期日程試験)に掲示すると共に、全受験生ならびに父母に文書を配布しました。 (資料3)
さらに合格発表後は、新入生ならびに父母には「有朋寮および日就寮の入寮募集停止は解除になりました」と学生協ニュース等の資料を郵送し、これらの周知徹底を図りました。 (資料4)

5.解除の決定をふまえて
学寮に関する一連の事件や大学の取った姿勢及び措置を契機として、学内世論は大きな高まりを見せています。また問題は報道等を通じて公に知られることとなり、学内外の多くの人々から注目されています。今回の学寮問題によって、大学人としての自覚が促されました。大学が今後これらの問題にどう向き合ってゆくのか、その点において今、大学人としての誠実さが試されていると言えます。
以下に、今回の問題における成果と今後に残された課題を列挙します。

(1)これが真の問題解決ではなく、あくまでも出発点
 今回の問題は突発的なものではありません。そもそもの発端であった電気料問題そのものが、すでに36年来の歴史を持っています。今回の問題は、今までに蓄積されてきたおびただしい学寮問題の、ひとつの極めて象徴的なあらわれにすぎないものです。
 その問題の根の深さ、深刻さが、今回、改めてくっきりと浮き彫りになりました。その一部
分に手がつけられたにすぎず、問題はこれからです。

(2)電気料問題の解決に「団交」は不要でした
 今回の電気料問題終息における大きな成果のひとつは、一昨年4月の電気料負担区分是正以後一貫して大学が、寮連等の側からなされた従来型の学生部長(副総長)会見、いわゆる「大衆団交」の要求に応じない姿勢を維持し続けたことです。寮連等は当初、「話し合い」の唯一の形態である「団交」による「合意」がない限り、2寮寮生が是正分電気料を支払うことはありえないと主張してきました。ところが今回の問題解決で明らかになったように、かって寮連等が主張したいわゆる「団交」は「問題解決に至る唯一の道」ではありませんでした。
 いうまでもなく話し合いとは、相手の立場を尊重してその主張に耳を傾け、相互の理解と協調を図るものです。相手の意見を聞こうとせず、自分の主張だけを押しつけるのは決して話し合いとは言えません。ましてそれが聞くに耐えない罵詈雑言を伴い、ドクターストップさえも無視して、受忍の限度をはるかに超える長時間にわたって行なわれるならば、それはもはや「話し合い」などではなく、明らかな犯罪行為です。従来の「団交」とは、まさにそうしたものでした。
 今回の電気料問題については、大学はそのような「団交」によってではなく規程に従い電気料が支払われることによって解決に至るという立場を貫きました。もし寮生からの建設的な提案や新たな意見があれば、「団交」ではなく、ルールに則った代表者による会見によって行うよう呼びかけました。大学がこのような姿勢を貫くことができたのは、これが社会通念に照らしても是とさるべきものであり、学内の広汎な支持と合意があったからに違いありません。
 今後「話し合い」の名を騙る「団交」が復活することはありえません。

(3)不法入寮者への教育的指導
 寮連と2寮は、大学の決定に違反して新入生等を寮に不法に入居させました。その不法な「自主募集」に応じてしまった者が当初20数名もいたことは、大変残念なことでした。大学は、不法入寮者に対して再三の説得や退去勧告を行ない、また連帯保証人にも協力を仰ぐなど、考えられる限りの手をつくしました。その結果、大半の者が退去しましたが、結果的には10数名の不法入寮者が最後まで残ってしまいました。
 いうまでもなく最大の責任は、「自主募集」した寮連と2寮にあります。しかし不法入寮者にも、国有財産を不正使用した責任が問われることになります。大学が終始頭を悩ましたのは、他ならぬこの不法入寮者の扱いでした。
 大学は、寮連と不法入寮者自身からの要望もあり、不法入寮者の意見を聴取する機会を設けました。しかし、若干の欠席者がいたこと、及び不法入寮者から何らの反省の言葉も聞かれなかったのは残念でした。

(4)不法行為や暴力的行為の再発防止に向けて
 大学は、これまで繰り返されてきたような不法行為・暴力的行為の再発を、教育研究の場で
ある大学の当然の責務として、防止しなければなりません。
寮連及び2寮は、電気料問題についても、不法な「自主募集」についても、また数々の暴力的行為についても、自らに非があることをはっきりと認めました。今後同様の行動を行なわないことも明言しました。
 寮連及び2寮の回答文は、様々な不法行為や暴力的行為に対する防波堤として、これから大きな効力を発揮することになります。寮連及び2寮が自分で約束した今後の行動を、大学は注意深く見守っていかなければなりません。

(5)寮連及び有朋寮・日就寮の諸君に望むこと
 今回の電気料問題における経過の中で寮生は、結果的には無駄になった多くの努力をしてきたことになります。このエネルギーの損失は膨大なものです。その中には寮生が2月18日の回答の中で反省と謝罪を述べている暴力的行為、拘束行為なども含まれています。また、すでに決定されたことに違反する行為も含まれています。今後は、ルールを守った秩序ある学寮の運営と、学寮諸問題の解決に向けた努力をするよう強く求めます。寮生が「団交」などの状況下で長い年月、関わってしまった暴力的行為や非理性的な行為が、今後繰り返されることはなく、また新しく迎える1年生が同様な状況に巻き込まれることが無いことを、大学は今回の回答から信じています。人権の侵害行為や反社会的暴力行為及び不法行為に対する社会からの批判は、一段と高まっています。21世紀を迎えるにあたり、このような社会の流れを直視することを願います。
 また、長期休学者がいつまでも寮に居座り、真に入寮したいと願う新入生の入寮の機会をうばっている状況も改善することを望みます。現状は「公平の原則」に反しています。入寮基準を明確にし、不実記載者の存在を許すような不明朗さもなくして、情報公開することが「寮の自治」の基本ではないでしょうか。
 公平で明朗な学寮を基盤として、東北大学で学問を学び、友人をつくり、自分を確立する充実した日を送ることを望みます。

(6)大学の責任
振り返って、今回の解決に至るまで長期間混乱した状況を生じさせてしまった理由が大学の態度や対処の方法の中にも無かったかどうか、反省がなされなくてはなりません。大学は学寮が正常に運営されることについての責任を負っています。是は是、非は非として、現状に問題があれば直ちに正すための努力をしなくてはなりません。放置は許されないと考えます。今回の電気料問題の解決まで大学としてとった方針や措置は明確で一貫しています。今後、学寮の健全な管理運営、新しい学寮建設などに向けて学生協の更なる努力が必要であると痛感しています。




III.電気料是正問題の経緯 (その1) -発端から募集停止に至るまで-

1.会計検査院からの指摘と段階的改善の経緯
 学寮における負担区分是正の問題は、実は電気料に限った問題ではありませんでした。人件費、水道料、暖房費等のさまざまな経費があります。有朋、日就以外の他の寮についての負担問題は、これまでに少しずつ解消されてきました。そして電気料問題においては2寮だけが残り、他の寮との公平さの面からも大きな問題となったのです。暴力的行為を行ってまで特権を主張する2寮を、大学が放置することは責任上できませんでした。
 以下には、学寮における負担区分是正の経緯を年表的にあげます。

昭和39年2月18日 学寮における経費の負担区分についての文部省通達
昭和47年6月   会計検査院から学寮経費の電気料等に関して指摘
昭和54年7月   会計検査院から、再度の指摘
昭和57年     明善寮、如春寮における国費超過負担の是正
昭和58年     松風寮における国費超過負担の是正
昭和60年6月   「学寮経費の国費超過負担是正計画」を寮連に送付
平成元年     昭和舎における国費超過負担の是正
平成9年6月   会計検査院から3回目の指摘
平成9年10月13日 会計検査院から東北大学長に負担区分問題について文書照会
平成9年10月21日 評議会における基本方針の決定:
         「平成10年4月1日をもって日就寮、以文寮、霽風寮及び有朋寮における電気料金の国費超過負担を是正する」
平成9年11月4日 総長から会計検査院に回答文書を提出
平成9年12月17日 寮連との学生部長会見(18時から翌朝3時頃まで、途中でのドクターストップが拒否される)
平成10年2月23日 大学は電気料負担区分の是正を寮生に通知するとともに、学内に公示

2.電気料(新負担区分による是正後)の請求と寮生の対応
 東北大学は大学の決定した是正後の負担区分により、有朋寮・日就寮・以文寮・霽風寮の各寮生に対して、平成10年5月請求分(4月使用分)から、請求を行ないました。その結果、以文寮、霽風寮は支払いに応じましたが、有朋寮及び日就寮は支払いに応じませんでした。
 大学は各月の未払分を含めて東北電力に電気料を支払い、東北大学はこれにより、未払の寮生に対して債権を有することになり、毎月寮生とその連帯保証人に対して納入告知書の発行請求を続けました。また、これに並行して大学から連帯保証人に度々理解と協力を求め、その電気料相当額について、納入告知書を発行し請求・督促を行ないました。

3.寮生との話し合いと公示
 これまで大学は、学寮の運営に関しては、寮生と話し合いの場を持ち、その合意に基づいて執り行うという慣行を尊重してきました。今回の電気料負担区分是正に対して、一部の寮生は、「今回の電気料負担区分の是正は、過去の学生部長会見で合意した負担比率を、大学側が寮生に知らせず、一方的に変更する寮生無視の押しつけである」と主張していますが、電気料などの学寮経費の負担区分是正問題は、突如浮上したものではなく、30数年にわたり寮生と大学との間で話し合いを進めてきた問題でした。「学生協だより」No.2で示したように、大学は電気料負担区分是正問題について繰り返し寮生に提案し、理解を求めてきました。本学は、寮生の意見や希望を聞く場の必要性を認め、学生部長会見等を行ってきました。しかし、その会見の実態は、衆をたのんで自己の主張を繰り返し、各種の圧力を加え、体力の限界を超えるまで長時間相手の身体を拘束し、不条理な約束を取り付けようとするものでした。それらは理性的・合理的な話し合いとは全く異なる性格のものであり、とうてい容認できるものではありませんでした。
 したがって、大学は平成10年2月23日付けで電気料負担区分の是正を寮生に通知するととも
に、学内に公示しました。

4.是正を実行するための措置
 東北大学は、寮生とその連帯保証人に説得と協力を求めました。その上で6ヶ月以上にわたり納入が無い者は支払う意志が無いものと認め、評議会において「簡易裁判所に支払督促申立て」を行なうことを決めました。さらに、不払いの意志を決定している有朋寮、日就寮の「入寮募集停止」の措置を決定せざるを得ませんでした。



IV.電気料是正問題の経緯(その2) - 大学のとった措置とその推移-

 評議会が、電気料不払い運動を行なっている寮に対して是正を実行するための措置を決定した時点からこれまでの経緯を(別表1)にまとめました。

1.評議会決定
 有朋・日就2寮は、電気料負担区分の是正に反対して寮として不払いを続けており、このような状況の中で入寮させれば、寮の一層の混乱を招くことが懸念されました。そのため、平成10年12月15日の評議会は、学寮の管理運営及び教育上の責任から2寮の「入寮募集停止」の決定を行いました。また、6ヶ月以上にわたり納入が無い者に対して「簡易裁判所に支払督促申立て」を行なうことも決めました。
 大学は、入寮募集停止の予告を2寮に通知しました(平成10年12月18日付)。それに対して、12月24日午後、有朋・日就2寮生と思われる約10名が本部事務局庁舎玄関内に座り込み、それに呼応するように「中核」・「革労協」名のヘルメット姿の学生らが事務局庁舎玄関にビラ張りを行ない、さらに裏手に回りシャッターを壊して侵入し、総長室に乱入しました。

2.支払督促申立てと入寮募集停止
 電気料相当額不払いを続ける有朋・日就2寮の寮生個人および寮として不払いを続けている有朋・日就2寮に対して、大学は2つの措置を取りました。
 「支払督促申立て」は寮生個人に対する法的措置であり、簡易裁判所に大学が不払いの寮生個々に対して債権を有することを確認してもらうことを求めたものでありました。
 「入寮募集停止」は寮に対する措置であり、大学が学寮という国有財産を適正に管理するという法的責任を果たすと同時に、混乱した状態にある2寮への新規の寮生の入寮を回避することで教育的・管理的責任を果たすことを目指したものでした。

3. 電気料納入状況の推移
 大学が2つの措置を取った結果、電気料の納入率は急速に上昇しました。平成11年9月20日時点での集計では2寮の寮生(293名)のうち287名(98%)分が納入されています。ただし、その大部分は連帯保証人のご協力によるものです。本来電気料は寮生自身が支払うものである以上、これは決して正常な状態であるとは言えず、また、費やされた事務上の労力も膨大なものでした。

4. 裁判の開始 -寮の不払いと異議申立て-
 大学が行った「支払督促申立て」の措置に対し、寮生の一部(8名)は異議申立てをしたため、大学が債権を有するか否かについて裁判所で争われることとなりました。その後、異議申立てを行った者のうち2名については、電気料相当額を支払ったので、大学は訴えの取下げ手続きを行ないました。
 案件は仙台簡易裁判所から仙台地方裁判所に移送され、仙台地方裁判所での口頭弁論に移りました。異議申立て裁判の当事者は6名の寮生ですが、2寮はこの6名を支援し、平成11年10月5日の口頭弁論まで2寮の寮としての不払い方針に変化はみられませんでした。

5. 裁判の終結 -有朋・日就2寮の電気料支払い-
 平成11年10月19日に有朋・日就2寮の10月請求分が全額支払われるとともに、寮連からの電気料支払表明及び入寮募集停止撤回要求書(資料5)の提出があり、11月9日には昨年5月請求分から本年9月請求分の未納分も支払われました。大学は直ちに二重払い防止等の確認手続に入り、裁判で係争中の6名分の未納分を確認の上、国庫に納入の事務手続を行ないました。更に11月19日に11月請求分電気料(10月使用分)の全額が支払われました。
 これにより被告寮生の債務が解消されたことになりますので、大学は「訴えの取下げ」の手続を行ないました。
 12月2日被告側(寮生6名)代理人から、仙台地方裁判所に「諸舎費返還請求事件の取下げに同意する」旨書面の提出があり、12月6日付で仙台法務局から「事件の終了」の通知が大学にありました。
 「支払督促申立て」に対し異議を申立てることで寮生側は、自らの「正当性」を法廷を通じて社会に対して主張できるはずでしたが、結局、仙台簡易裁判所で一方的な意見表明をしただけで、それ以後は一度も口頭弁論の機会を利用することなく、これをもって、「電気料」裁判は終了しました。
 なお、大学は、それまで納入に協力頂いた有朋・日就2寮の寮生の連帯保証人宛てに経過の説明とお礼の文書(資料6)を平成11年11月26日付で送付いたしました。

弁護士からの通告書

 裁判の継続中の段階で仁田副総長及び学生協宛てに、寮連からの依頼を受けた舟木、松下両代理人弁護士名で侮辱とも脅しともとれる「通告書」なるものが送り付けられており、理解に苦しむ行為は寮連及び弁護士への不信感を強く植え付けたものでした。主張したいことがあるならば、なぜそれが裁判の場でなされなかったのでしょうか。
弁護士からの通告書(仁田副総長宛)

     通 告 書
 冠省、当職らは東北大学学生寮自治会連合執行委員長から依頼を受けた代理人弁護士である。
 東北大学は有朋寮、日就寮におけるいわゆる電気料金問題を口実として、昨年末以来、右二寮に対する入寮募集停止の措置をとっている。
 当自治会連合は、右措置が数十年にわたる寮の自治、とりわけ入寮銓衡権を著しく侵害するものであって、大学としてあるまじき策動であり、その即時撤回を強く要求するものである。
 当自治会連合は、貴殿が副学長として、右策動の主謀者であると断ぜざるを得ない。
 当自治会連合は、貴殿に対し、これまでたびたび団体交渉を求め、問題解決のルールを提示してきた。
 しかるに、貴殿は頑なに団体交渉を拒否し、あまつさえ、今春右二寮に入寮した学生らにその退去を勧告し、懲戒発動すらほのめかしている。
 貴殿の策動はまさに反面教師であって、数十年にわたる我が東北大学学生寮の栄誉ある自治と歴史を踏みにじるものとして、当自治会連合は貴殿仁田新一の名を永遠に忘れることはない。
 貴殿には大学人・教育者としての知徳がないのか。
 貴殿が一片の良識を持ち合わせているのであれば、入寮募集停止措置を直ちに撤回せよ。
 右、通告する。
   一九九九年一〇月一二日
     仙台市青葉区一番町二丁目一〇番二六ー九〇一号
                    舟木法律事務所
                       代理人弁護士 舟 木 友比古[印 ]
     仙台市青葉区一番町二丁目一一番一二ー四〇一号
                    仙台第一法律事務所
                       代理人弁護士 松 下 明 夫[印 ]
 仙台市青葉区滝道一九番地一〇
        仁 田 新 一 殿

弁護士からの通告書(学生生活協議会宛)

   通 告 書
 冠省、当職らは東北大学学生寮自治連合執行委員長から依頼を受けた代理人弁護士である。
 貴大学は有朋寮、日就寮におけるいわゆる電気料金問題にかこつけて、昨年末以来、右二寮に対する入寮募集停止の措置をとっている。
 更に今年五月、貴大学は右二寮が混乱しているなどと虚偽の風説をことさらに流布して、右二寮に入寮した学生らに対して退去勧告あるいは懲戒の発動などを言辞するまでに至っている。
 大学としてあるまじき策動であると断ぜざるを得ない。当自治会連合はここに満腔の怒りをもって、右策動の即時撤回を強く要求するものである。
 惟うに、右二寮における電気料金の不払行為が何故に、入寮募集停止なる措置に結びつくのか不可解極まりない。
 まして右二寮は従前とおり、寮生らの自治によって整然と運営されているのであって「混乱している」などとの見解はもとよりあたらない。敢えて申し上げれば、「混乱している」のは貴大学当局そのものである。
 貴大学は本来大学内で解決すべき事項を自ら司法の場に臆面もなく提訴したのである。その司法的手続きがようやく緒についた段階であって、審理中であるにもかかわらず、電気料金不払を理由に入寮募集停止の措置を強行していることは明らかに矛盾であり、言語道断である。
 いわんや、今春入寮した学生らに対して、退去勧告、更には懲戒発動をほのめかすなどは、大学人として矜持をかなぐり捨て、あさましいとの一言に尽きる。
 当自治会連合は貴大学当局の破廉恥な策動・恫喝に決して屈することはない。そして当自治会連合は、今春幾多の支障にもかかわらず入寮した学生諸君を誇りにさえ思う。
 そうであれば当自治会連合は、全学的に、全力をあげて右二寮に向けられた自治破壊策動をはねのける決意である。
 貴大学に大学人としての一片の良識を持ち合わせているのであれば、今般の入寮募集停止措置を直ちに撤回せよ。
 右、通告する。
   一九九九年一〇月一二日
     仙台市青葉区一番町二丁目一〇番二六ー九〇一号
                    舟木法律事務所代理人弁護士
                       舟 木 友比古 [印 ]
     仙台市青葉区一番町二丁目一一番一二ー四〇一号
                    仙台第一法律事務所
                       代理人弁護士 松 下 明 夫 [印 ]

 仙台市青葉区片平二丁目一番一号
        東北大学学生生活協議会 殿




V.電気料是正問題の経緯(その3) -不法入寮問題と関連諸事件-

1.有朋寮・日就寮の「自主募集」
 平成11年2月、大学が有朋・日就2寮へ通告した入寮募集停止は、次の理由によるものでした。  (1)寮の電気料不払いという寮の管理運営上の不正常な混乱した状態が拡大することを防ぐため。
(2)新入生の教育を最善の状態で始める責任上、この混乱の中に新入生を巻き込まないため。
 大学の「入寮募集停止」の措置とそれに続く度重なる警告にもかかわらず、有朋・日就2寮の委員会は「自主募集」を強行し、寮連もこれを支援しました。

2.新たな入寮募集停止の要因の発生
 この時点では、電気料が支払われれば問題は解決すると考えられていました。ところが、2寮は大学の決定に違反して「入寮は可能」という寮連等の意図的な宣伝の結果、20名以上の1年生が「不法入寮者」となってしまいました。不法入寮者の大半は、その後下宿・アパート等へ転居しましたが、退去を拒否した不法入寮者の存在が、今回の電気料問題をさらに複雑なものにし、混乱はさらに拡大してしまいました。寮連と2寮は、平成11年4月以降新たな「不法入寮者」という混乱要因を自ら作り出しました。

3.不法入寮者に対する説得と退去勧告
 不法入寮者への説得と退去の勧告は、「学生協だより」No.10およびNo.11でもお知らせしましたとおり再三にわたり行なわれました。また、平成11年9月には不実記載者(新入生が提出する書類の住所欄に不実記載した者)が判明し、この者に対しても「不法入寮の事実確認及び退去勧告」が行なわれました。毎月の寄宿料納入行動から10数名の不法入寮者がいることが推定されました。また、平成11年10月の電気料支払い表明後も依然として、不法入寮者は退去しませんでした。

4.日就寮生らによる学寮専委員長拘束(「学生協ニュース」No.8、No.9に掲載)
 平成11年11月9日(火)午後5時過ぎ、経済学部中川教授(学寮専委員長)が帰宅のため、川内南キャンパス駐車場に駐車していた自家用車に乗ったところ、寮生らに取り囲まれ、自家用車の発進を妨害されました。このため、同教授は約40名の集団に暗闇の中で約2時間にわたって拘束されました。その間この者達は同教授に対し、写真のフラッシュを何度もたいて苦痛を与え、罵詈雑言を浴びせ続けるとともに、「中川は入寮募集停止を継続すると言っているのはけしからん」「会って説明しないのは許せない」等と発言し、さらには、「帰さないぞ」「東北大学に居られないようにするぞ」等と、学問の府に身をおく者にあるまじき暴言さえ口にしました。また、川内南キャンパス各部局の事務職員や経済学部の教官が、急を聞いて現場に駆けつけ、経済学部教官が同教授を解放するよう説得にあたりましたが7時過ぎまで拘束を解きませんでした。
 この計画的拘束事件について日就寮名義のビラ2点(平成11年11月10日、11月22日)が配布さ
れ、拘束事件の当事者であることを認めています。
 日就寮のビラには「学生の真摯な質問に云々」といっています。確かに大学の教官は一般的に学生に対して質問に「真摯」に応えるよう努めるべきでしょう。しかし、あくまでも適切な時と場所において、しかも最低限度の礼節が守られたうえでのことです。暗闇の中での帰宅を遮っての拘束、繰り返される写真撮影、野次怒号、発言を強要する行動等が礼節を全く逸脱していることはいうまでもありません。過去の学生部長会見でもそうだったように、「真摯な質問」とは暗闇の中での多数を恃んだ訊問であり、脅迫行動に他なりませんでした。
 これは今回の事件が今までの一連の拘束事件、乱入事件等(別表2)と全く同じ性質のものであることを示しており、大学は直ちに、全学に「告示」 (資料7)するとともに、日就寮委員長及び寮連委員長に対して「暴力的な拘束行動に対しての厳重注意」の文書(資料8)を送付しました。
「団体交渉」要求及び入寮募集停止の即時解除を求める署名簿
 郵送するよう連絡していたにも拘わらず、平成12年1月12日に署名簿の非公式面談の場で提出がありました。平成10年12月8日寮連からの「第2次団交要求書」受理の際の示威行動以降、署名簿等は郵送するよう指導してきましたが、今回のものの取扱は学寮専に一任されたので委員長の責任において今回に限り受領することとしました。ただし、「寮生共闘との関係があったものは受領できない」ので、この点を問い質し、署名簿については関係が無いことを確認しました。このようになったのは、これまでに強要行為がたびたびあったからであること、および、今後も受領するかは保障できない旨を述べ、受領しました。
これまで提出された署名簿の内容
(1)署名簿 「新入寮生への差別反対、副学長団体交渉を求める」集計 1,209名
   署名活動期間:平成11年4月~平成12年1月(10ヶ月間)平成12年1月12日提出
 1) 本学学生869名(有朋寮81名・日就寮66名・他の寮35名・一般学生687名)
  寮生の署名率は有朋寮61%・日就寮94%・他の寮 7%
  (平成11年4月現在の寮生は有朋寮132名・日就寮70名・他の寮534名で合計736名)
 2) 県外学生 273名(主に東大・京大・山梨大・富山大等)
 3) その他 67名(県内学生13名、その他5名、県外その他 49名、内住所記載のない者19名)

(2)署名簿「有朋・日就寮に対する入寮募集停止措置の即時解除を求める」集計 970名
   署名活動期間:平成11年10月~平成12年2月(5ヶ月間)
                    平成12年1月12日、2月4日追加提出
 1) 本学学生 815名(有朋寮51名、日就寮14名、他の寮31名、一般学生719名)
  寮生の署名率は有朋寮50%・日就寮22%・他の寮 6%
  (平成12年1月現在の寮生は有朋寮102名・日就寮64名・他の寮525名で合計691名)
 2) その他 155名(他大学147名、職員2名、その他 6名)
(注)「2月4日提出の追加署名簿」には、姓のみの者や重複と思われるものがある。




VI.解除後も残された問題点

1.「寮生共闘」等の暴力行為 -未解決な暴力事件-
 繰り返し述べてきたように、電気料問題が表面化して以後、寮生及び寮生とみられるものたちによる粗暴な行為が多発しました。そのうち事務官及び学寮専委員長拘束等の事件については、今回の寮連及び日就寮の回答文によって、その行きすぎを認める見解が表明され、謝罪もなされました。しかし昨年6月の法学部教授会乱入事件等、「寮生共闘」が犯行を声明した事件や、何者からも犯行声明が出されていない一昨年12月の総長室乱入事件等については、依然として未解決のままです。
 今回の寮生側からの回答文では共通して、「寮生共闘」と寮連及び2寮とのかかわりは否定され、また「寮生共闘」のとった行動を容認しない旨の見解も表明されました。寮連及び2寮がこのような立場を明らかにしている以上、今後、「寮生共闘」あるいは「寮生」を名乗る新たな組織、または無名の集団によって、乱入事件や暴力行為が起こった場合、寮連及び2寮は当然大学と協同歩調をとり、例えば共同の調査委員会を作るなどして、事件の徹底的な解明に取組むべきでしょう。少なくとも大学は、今回の回答文によって、「寮生共闘」及び「寮生共闘」的暴力行為に走る者は、寮生とは一切無関係であるばかりでなく、本学の学生ですらないと、理解せざるをえません。従って「寮生共闘」的暴力行為については、学内問題としてのみ処理してきた従来のやりかたを、再検討しなければなりません。このような悪質な事件の再発を予防するためにも、行為者の特定をはじめとした、証拠の収集・保全の方法等を整備する必要があるでしょう。なお、ビラによると「寮生共闘」と「寮連」の学内連絡先はいずれも同じ「サークル室気付」であることから、まず、寮連はこの点を全学にきちんと説明することが必要です。
 ヘルメットをかぶり覆面をすれば何でもできるというような暴力的状況は、歴史的過去のものとしなければなりません。このような行動を許さない環境を整えることこそが、今日の急務です。

2.回答文を反古にさせない努力を
 寮連及び2寮からの回答文は、学生協と副総長に宛てられた公的な文書であり、学内・学外
に広く公表されます。「学生協だより」の本号でもとり上げています。
 従って、その内容については、寮生側が今後とも責任を持って誠実に履行していかなければならないのはもちろんです。同時に、大学も寮連等の約束違反があった場合は、迅速に毅然たる対応をしなければなりません。全学の教職員、学生及び社会の期待に正しく応えるため、大学は入寮募集停止解除後も一貫した姿勢を貫かなければなりません。
 今回の回答文によって、大学は、学寮の適正な管理運営に向けて、地味ではあっても確実な第一歩を踏み出しました。しかしそれは、妥協を排した責任ある態度と行動が、今後ますます大学に対して求められることを意味します。大学の一つ一つの対応が広く一般社会に注目されている今こそ、私たちは襟を正し、今回の電気料問題における方針の正しさを確信して、なお一層のしかもたゆまぬ努力を積み重ねてゆかなければなりません。




VII.総括と展望のために


1.大学の管理責任と「学寮の自治」
 国立大学の諸施設は、法令によって大学に管理・運営を委ねられており、大学には、主として教育・研究の基本的見地から、それら諸施設を適正に使用することが求められています。学寮が大学の施設である限り、その管理・運営の責任は大学にあります。また、その管理・運営に関連する重要な案件を決定するのは大学の教授会・評議会等です。したがって、これらの機関により大学の意志が最終決定されるといえます。
 さらには、学寮の管理・運営権は最終責任が大学に課せられている以上、大学が規程を設け、その管理責任を果たすために必要な事項を定める必要があります。これらの学内諸規程の制定・改正・廃止については大学は必要な事項について学則等にこれを規程し、実施することのできる自律的・包括的な機能を有しています。
 一方、学寮の自治は、本学の寮生に対する教育の一環として、長年にわたり大学と寮生との信頼関係に基づいて大学側が配慮してきました。大学が寮生の自主性を尊重し、共同生活の自主的運営における教育的意義の重要性を考慮し、教育の一環として自主的な利用を認めているものです。
 現行の規程で定めていることは、学寮の意義や学寮における自主性を尊重して、最小限の事項に留めています。すなわち、学寮の管理者として責任の伴う入退寮に関することや、寄宿料および諸舎費に関することなどに留め、寮生の共同生活に関することについては、自主性を尊重してこれを規程していません。
 今回の2寮の電気料の負担区分是正と入寮募集停止は、大学が学寮施設を管理し、その責任を果たすうえで、最終的には大学が独自の判断を下すべきものであるということの具体的な表われに他なりません。
 しかるに、一部の寮生は、学寮の自治を拡大解釈し学寮等の施設に対する広範な管理権を主張してきました。あるいは、学寮を自主管理・自主運営してきたとするそれまでの状況から、学寮の管理・運営に関する規程を認めないと、主張してきました。これらの主張は、学寮の自主的運用の根拠を逆に危うくするものであったといって良いのではないでしょうか。教授会や評議会と異なり、行政責任がなく、また、在寮年数の限られている学生の手に、管理権を包括的に委譲する合理的根拠は見当たりません。むしろ、大学と寮生との間の信頼関係を否定し、寮の自治を危うくするものであったといえるでしょう。
 今回、寮連と2寮が、電気料負担区分の是正と、大学の決定に反して「自主募集」を強行したことの責任を認めたことは、大学の立場の正当性と、一部の寮生の主張に根拠がないことを自ら認めたものだといえます。
 21世紀に向けての大学の在り方が問い直されている現在、大学は学寮の在り方についても再検討を進めながら、管理責任者としての責務を果たすべく努めねばなりません。

2.真に民主的な学寮を目指して 「意見表明の在り方」
 大学を一層良いものにしてゆくために、誰であれ大学に様々な意見を述べ、あるいは大学を批判できるのは当然のことです。またそうした意見や批判を率直に受けとめ、誠実に対応してゆくことによって、大学はあるべき姿に一歩一歩近付いてゆくことができます。大学は、いつでもそうした批判や提言を広く歓迎します。
 しかしそれはあくまでもルールに従った、理性的な方法でなされなければなりません。「団交」などという短絡的・暴力的な方法は、決して許されるものではありません。
 大学に対する様々な意見を聴取し、そして大学の構成員相互の意志疎通を図るために、「副総長制下における会見の在り方について」(「学生協だより」No.9)の規範が平成11年3月に制定されています。その形を積極的に利用して、建設的な意見や提言を表明してくれることを、大学は切に望みます。
 今回の一連の学寮問題の意義は、自分の主張を押し通すために不法行為・暴力的行為に訴えることが、大学の管理運営・教育研究の両面において、法律の面において、そして一般社会通念の面において、決して容認されないものであることを確認し、そのような誤ったやり方に対しては毅然たる態度を持って臨むべきことを、終始大学全体としての意志で行ったことでした。大学は、この点について従来の姿勢に不十分な点があったことを率直に認めるとともに、今回の問題を契機として、今後は決して曖昧な妥協を許さず、あくまでも道理にかなった道を進んでゆくことを決意します。

3.未来を志向した学寮の建設に向けて
 日本社会の変化は著しく、個人生活の多様性が増しています。また、本学には女子学生、大学院生及び留学生が著しく増加しています。現在の学寮は、このような変化への対応が遅れていると言わざるを得ません。さらに、昭和舎や有朋寮は老朽化が進み、自然災害時における寮生の身体、生命への危険性も懸念されています。建物の状態から改修や補修で対応することは不可能な状況であり、これまで学生協においては、建て替えを進めるための寮生との話合いを試みてきました。しかし、いまだ進展が見られていません。これは、過去における「団交」形式の会見での寮生による一方的な主張が「新寮建設」を阻んできた歴史的経緯に加えて、今回の電気料問題による中断が強く影響していると言わざるを得ません。
 大学とその施設である学寮が社会の中で特別視され、寛容な扱いを受けていた時代は終わりつつあります。大学は特権的な組織ではなく、いわんや治外法権の場でもありません。一方寮生も社会の一構成員であることを自覚し、社会の中での自らの責務と役割を果たすよう努めなければなりません。そのためにも、寮生が自らの置かれた立場を自覚し、ルールに従った責任ある態度で臨まなければなりません。
 大学は未来を志向した学寮の在り方を考え、その実現に向けての努力を重ねていかなければなりません。本学の学寮には「質の高い生活環境」を学生や院生に提供することが求められており、社会のグローバル化に応えられる未来志向の学寮構想を考える時がきています。例えば本学の学生が、各国からの留学生とともに同じ寮で生活をし、議論もして、友となるというような環境を整備すること等が新しいあり方のひとつとして考えられます。
 長期的視野をもった寮問題の解決と未来志向の学寮構想の検討に、東北大学教職員及び学生
の皆様のご理解とご協力をお願い致します。

学 生 生 活 協 議 会





別表1 大学のとった措置と寮連及び一部寮生の行動経緯の一覧
大 学 の 措 置寮連及び寮生と思われる者の行動
平成10年
12月
有朋・日就2寮に対し入寮募集停止を評議会で承認(12/15) 
非公式面談(学務部小会議室、12/18)
有朋・日就2寮に対し入寮募集停止を予告(12/18)「中核」・「革労協」名のヘルメット姿の学生らが事務局庁舎裏手のシャッターを壊して侵入し、総長室に乱入(12/24)
平成11年
1月
非公式面談(学務部小会議室、1/21)
電気料未納者(有朋27名、日就19名)に対し仙台法務局に支払い督促の申し立て(1/29) 
2月入寮募集停止の通知を2寮、寮連へ送付(2/1) 
非公式面談(学務部小会議室、2/3)
非公式面談(学務部小会議室、2/10)
非公式面談(学務部小会議室、2/17)
2寮の入寮募集活動禁止の文書を交付(2/22)
入寮募集停止の文書を受験生向けに掲示(通知)(2/24)
有朋・日就2寮が受験生に入寮を勧誘
3月「2寮の入寮募集停止」について告示(3/1)2寮が受験生に入寮を勧誘
非公式面談(学務部小会議室、3/17)
入寮募集停止の文書を合格者に通知(3/23)仙台簡易裁判所へ寮生8名(有朋3名、日就5名)が異議申し立て(3/16)
深夜、学寮専副委員長研究室に200枚のビラを強力糊で貼りつける(3/26)
「自主募集」強行
4月「有朋寮および日就寮の入寮募集停止について」を新入生に配布 オリエンテーション時に学寮専委員長から警告、相談コーナーの設置(入学式、4/7)  
21名の1年生が住所欄に2寮住所を記載していることが判明
部局毎に2寮への入寮の不法性の説明と退去を説得
不法入寮者の連帯保証人へ「不法入寮生への退去勧告」を送付(4/9)
学寮専委員長研究室に寮生約40名が押しかけ、不在の研究室に抗議声明文を貼り付け(4/12)
非公式面談(学務部小会議室、4/15)
2寮に入居した1年生のうち7名が転居
不法入寮者へ「不法入寮者への厳重注意」を直接交付(4/22)
「全国学生総決起集会における粗暴な行動に対する厳重注意」の文書を、寮連委員長宛てに送付(4/26)
国際文化研究科等事務室内に無断侵入し、業務妨害(4/20)
全国学生総決起集会、事務局玄関前及び学務部庁舎前で示威行動、事務局玄関ドアに抗議声明文を貼り付け。黒ヘルの学生集団が事務局管財課側のシャッターを一部破損(4/23)
学務部厚生課学寮担当の窓口に日就寮生二十数名が押しかけ、2時間にわたり職員を拘束し、確認書を書かせた(4/30)
5月 日就寮委員長宛てに「脅迫的な寄宿料納入行動に対して厳重注意」の文書を学寮専委員長名で送付(5/10)
不法入寮者へ「不法入寮の通告及び退去勧告」を各部局において直接交付し、連帯保証人にも「不法入寮の通告及び退去勧告について」を送付(5/14)
仁田副総長自宅付近の道路や近所の家のメールBOXに中傷のビラまき(約200枚)(5/7)
学務部厚生課学寮担当の窓口に有朋・日就寮寮生約30名が押しかけ、4、5月分の寄宿料を持参し、不法入寮者の分まで受け取るよう要求し、職員に確認書を強要(5/31)
不法入寮者追加確認2名、不実記載者1名の在住 判明、 転居4名
6月非公式面談(学務部小会議室、6/1)
不実記載者1名が判明
電気料裁判第一回仙台簡易裁判所口頭弁論(6/10)
寄宿料受領納入行動に対する厳重注意文を日就寮、有朋寮委員長に送付(6/14)
法学部教授会乱入事件について副総長(学務担当)及び学生生活協議会名で告示(6/29)
法学部教授会に、「中核」「日就」名のヘルメットやサングラスに覆面姿の集団約30名が乱入して、30分間余りにわたり教授会の審議を妨害(6/16)
「寮生共闘」が犯行声明(6/28)
7月 「第6次団交要求書」提出行動(7/9)
非公式面談(学務部小会議室、7/23)
不法入寮者へ「第2次退去勧告」を交付、連帯保証人にも「第2次退去勧告について」を送付(7/26) 
8月不法入寮者1名が転居
9月不法入寮者追加1名判明
10月電気料裁判第一回仙台地方裁判所口頭弁論(10/5)
 10月電気料請求分の支払い(10/19)
非公式面談(学務部小会議室、10/20)
11月日就寮・寮連委員長に対して学寮専門委員長の拘束について厳重注意の文書を送付(11/26)
臨時学生協において、「入寮募集停止」解除についての基本方針を決定(11/30)
帰宅中の学寮専委員長を暗い駐車場に約2時間拘束(11/9)、
「日就寮」が犯行声明(11/10)
11月請求分の全額を持参し、学寮担当に納入。その際、電気料は支払うが、電気料是正問題に納得していない」ことを表明(11/9)
不法入寮者転居2名
12月電気料裁判終了(12/6)
学生協において基本方針に基き、解除の条件を決定(12/13) 
非公式面談(不法入寮生が同席を要求し延期12/15)
「入寮募集停止」解除の条件を寮連等へ通知(12/21) 
非公式面談(学務部小会議室、12/24)
不法入寮者10名および不実記載者2名(推定)在住
平成12年
1月
非公式面談(学務部小会議室、1/12)
 「入寮募集停止」解除の条件に対する第一次回答(1/24)
非公式面談(学務部小会議室、1/27)
2月 第二次回答(2/3)
非公式面談(学務部小会議室 2/4)
不法入寮者氏名確認
有朋寮7名、(不実記載者1名はすでに退去)、日就寮3名、不実記載者1名
学生協で寮連等からの第二次回答を審議、「入寮募集停止」解除に至らず(2/7) 
 第三次回答(2/14)
非公式面談(学務部小会議室、2/17)
 第四次回答(2/18)
臨時学生協で「入寮募集停止」解除を決定(2/19)
臨時評議会で「入寮募集停止」解除を承認(2/20)
 



別表2 電気料是正問題後における暴力的行為の一覧
1) 学務部庁舎乱入事件(1)
 平成10年5月11日(月)午後5時15分頃から約30分間、ヘルメットに覆面姿の日就寮、有朋寮生約40名が学務部庁舎に乱入し、示威行動や庁舎内の壁に約30枚のビラを強力な糊で貼るなどの違法な行為を行った。

2) 学務部庁舎乱入(2)及び佐竹学寮専副委員長拘束事件《寮連書記局犯行声明》
 平成10年5月20日(水)午後5時頃に、寮生約80名が学務部庁舎に乱入し示威行動を行った。その際、請求額に満たない金額を一括して納入しようとしたので、大学としては受領することはできなかった。また、対応した佐竹学寮専副委員長が約2時間30分にわたり拘束された。

3) 学務部庁舎乱入事件(3)
 平成10年6月1日(月)、学生協に副総長が出席することを何らかの方法で知った寮生は、午後 3時頃から片平キャンパスに集まりだし、ヘルメット、覆面姿で約50名、午後4時半頃、学務部庁舎に乱入し副総長の面談を求め、不在につき、学務部庁舎内でアジ演説やデモを行うとともに庁舎内にビラ約50枚を強力な糊で貼る等の行為を行い、5時半頃解散した。

4) 学務部庁舎乱入事件(4)
 平成10年6月4日(木)、学友会総務部役員会に江原副総長が出席すると想定した寮生は、同会の終了した午後6時半過ぎにヘルメット、覆面姿の約50名の寮生が学務部庁舎に乱入し、江原副総長が不在につき、学務部庁舎内でアジ演説やデモを行うとともに庁舎内の壁や学務部の看板にビラ約30枚を強力な糊で貼る等の行為を行い、7時過ぎに解散した。

5) 江原副総長脅迫事件(1)
 平成10年6月7日(日)午後11時から6月8日(月)の午前3時の間に、寮生とおぼしき何者かが農学部研究棟に進入し、江原研究室付近の廊下の壁や扉等にビラ約90枚を強力な糊で貼るなどの悪質な行為を行った。その中には江原副総長を脅迫するかのごとき落書き(江原せん滅:日就寮、人間止めるかそれとも是正止めるか、八幡4丁目が火の海、副総長自宅の電話番号)も含まれていた。

6) 佐竹学寮専副委員長等(研究室)いやがらせ事件
 平成10年6月8日(月)午後7時頃に、日就寮、有朋寮の寮生約40人が国際文化研究科棟に乱入し、佐竹学寮専副委員長及び池尾同委員の研究室付近の廊下や壁に「電気料是正粉砕(日就寮)」というビラ約50枚を強力な糊で貼るなどの悪質な行為を行った。

7) 学寮専及び学生協委員確認書強要行為(学生協だよりNo.3強要確認書無効を掲載)
 平成10年6月18日(木)午後5時頃、5月と同様の納入行動があり、請求額に満たない金額を一括して納入しようとしたので、大学としては受領することはできなかった。その際、寮連による抗議行動があり、多数の寮生が収納に居合わせた学寮専門委員会及び学生生活協議会の委員を長時間取り囲み、さまざまな要求に応じることを強要する行為があった。
 この抗議声明については、副総長名及び学寮専委員長名で寮連委員長等へ回答した。
(上記のような悪質な行為は、到底容認できるものではなく、また、そのような状況の下でなされた口頭の言明や取り交わされた確認書の効力は認めない:学生協だよりNo.3)

8) 江原副総長脅迫事件(2)
 平成10年7月12日(日)午後11時から13日(月)の午前3時の間に寮生とおぼしき何者かが農学部研究棟に侵入し、江原研究室付近の廊下や壁に「副学長江原度重なる逃亡弾劾」と記すとともに、江原副総長の顔写真を印刷したビラ105枚(副学長江原発見則せん滅、度重なる逃亡弾劾)を強力な糊で貼る等の悪質な行為を行った。

9) 学務部長拘束事件(告示)(寮連、2寮にも送付)
 平成10年7月15日には、東北大学学生寮自治会連合主催の電気料是正反対の抗議行動に集まった寮生約90名が、副総長の出席が予想されていた学友会全学協議会の終了後の午後7時10分頃に、学務部庁舎内に乱入した。寮生たちは、3階の事務室前に集まり、ドアを叩き、大声で中にいた学務部長に出てくることを強要し、それが叶わないと、最後に工具を使ってドアの蝶番を取り外して中に侵入した。そして、室内の電話機のリダイヤル機能により、電話連絡先を調べたり、無断で室内の書類を物色しその一部を持ち去った。、また、学務部長を本人の意に反し庁舎1階入り口前の中庭まで連れ出し約1時間にわたり学務部長1人を大勢の寮生が幾重にも取り囲み、写真を撮り、耳元で大声で叫んだり、至近距離からマイクを使って、威嚇的に詰問して発言を強要し、罵詈雑言を浴びせるなどの行為に及んだ。
 この事件に関して、7月23日付けで全学に「告示」した。
 なお、この時に盗み出された大学の書類がのちに寮連等のビラ等に掲載された。

10)学務部庁舎乱入事件(4)《日就寮犯行声明》
 平成10年10月14日午後5時頃から約1時間、片平キャンパスの学務部庁舎前で約70人の寮生が示威行動を行うとともに、寮連と一部寮からの「団体交渉要求書」等を大学に提出した。この要求書に対しては、10月21日に副総長名で電気料の問題では会見を行わない旨を回答した。

11)仁田副総長研究室乱入事件 《日就寮犯行声明》(日就寮生へ行動の注意文)
 平成10年11月25日(水)午後5時45分頃に日就寮生と名乗る、ヘルメット姿の者を含む50人ほどの集団が本学の加齢医学研究所前に現れ、同事務部長らの制止にもかかわらず5階にある仁田教授(副総長)の研究室の前まで乱入し、大声でシュプレヒコールを行い、研究所及び病院の静粛を乱し、同研究所の大切な研究の中断を余儀なくさせ、さらに研究所内の壁やドア等に大量のビラを強力な糊で貼り付け、汚損した。
 この行為に対して、学生協は、学寮専委員長を通じて日就寮生に遺憾の意を伝えるとともに今後自重するよう注意を喚起する文書を送付した。

12)学務部庁舎乱入事件《日就寮犯行声明》(日就寮委員長に口頭注意)
 平成10年12月7日(月)4時50分頃にヘルメットに覆面姿の者を含む日就寮生とみられる約60人が学務部庁舎に職員の制止を振り切って乱入し、示威行動を行い、庁舎内の壁に約60枚のビラを強力な糊で貼って汚損した。
この行為に対して、12月8日学寮専委員長が日就寮委員長に口頭で強く注意した。

13)学寮専拘束事件(学生協だよりNo.6)
 平成10年12月8日(火)午後5時頃から学務部庁舎前で約80人の寮生が示威行動を行うとともに、4時間以上にわたって学寮専委員長及び委員を足止めしたうえで、寮連からの「第二次団体交渉要求書」を大学に提出した。事前の申し入れにより学寮専委員長らが待つ学務部庁舎前に現れた寮生達は言葉を交わし始めるや否や、学寮専委員長らに突進し、身柄を拘束し、現場周辺で見守る数十人の教職員を去らせるよう要求したが、学寮専は、東北大学の構成員は誰でもこの場を見守ることができるとの公開性を主張し、要求を拒否した。その際、寮連委員長は要求書提出に先だって質問に答えるよう求め、学内で審議中の議題についてその進行状況と学寮専の見解を明らかにすることを強要した。

14)総長室乱入事件(告示)(寮連及び2寮に質問状)
 平成10年12月24日(木)午後2時頃、ほとんどが顔を覆面で隠した寮生と見られる者30数名が事務局庁舎の裏手から施錠してあるシャッターを壊して総長室に強引に乱入し、総長との面会・副総長との「団交」の要求を執拗に繰り返すなどの行為を行った。
これに対して告示で遺憾の意を伝えるとともに被害届を出すなどの措置の検討を表明しました。この行為について寮連委員長などへ質問状を送った。

15)事務局庁舎ビラ貼り事件(寮連及び2寮へ注意文)
 平成11年1月11日(月)4時50分頃に事務局前で寮生らしき者達が気勢をあげ多量のビラを糊付した。
 この寮生らしき者達の行為に対して厳重に注意する文書を寮連委員長に送り、2寮の委員長にも郵送であるいは直接に渡した。

16)学寮専委員への要求書受領強要行為(寮連に厳重注意文)
 平成11年1月26日(火)12時45分頃に学寮専委員の経済学部教授の研究室付近に突然多数の寮生等が乱入し、研究室内で委員に寮連などからの「第4次団交要求書」の受領を強要するなどの行動をとった。
 これに対し厳重に注意した文書を送った。なお、学寮専は以前から「団交要求書」提出等の際に過度の行動を慎むよう注意した文書の中で、郵送によって提出するようにと伝えてあった。

17)試験場掲示物破損行為 (寮連及び2寮へ質問状)
 平成11年2月25、26日の前期日程試験に際し、東北大学受験生の皆さんに宛て「有朋寮・日就寮の入寮募集停止について」の掲示が6箇所の試験場で破り捨てられた。
平成11年前期日程当日の掲示物破棄行為について、寮連委員長と2寮の委員長へ、寮連として行った行為か一部寮生の行為か、寮連として支持するのかをただす質問状を3月4日に送付し、また機会があるたびに口頭でただしているがまだ否定も肯定もされていない。

18)水原学寮専副委員長研究室いやがらせ事件(寮連及び2寮に質問状)
 平成11年3月26日(金)午前0時50分頃、約10名のマスク姿の者が本学教育学部の水原教授
(当時学寮専門委員会副委員長)の研究室のドア、廊下の床、廊下両側の壁に約200枚のビラを強力な糊で貼りつけられた。
 これにより事務の業務が妨害されたばかりでなく、このような汚損を修復するため、多大の時間と労力を費やすこととなり、費用も多額なものになった。

19)国際文化研究科等事務業務妨害行為(学生協ニュースNo.2)
 平成11年4月20日(月)昼に、有朋・日就の2寮の寮生と見られる者約20名が、国際文化研究科等事務教務の窓口に押しかけ、有朋寮・日就寮の2寮に入居させてしまった新入生に対してなぜ学生証をわたさないか、直ちに学生証を交付しろ等と約20分にわたって執拗に要求するとともに、3~4名が教務の事務室内に無断で侵入し、うち1名が学生証の束を無断で探し不法入寮者の学生証の有無を確認する等、事務の業務を妨害する行為があった。

20)全国学生総決起集会時の事務局庁舎損壊事件(寮連に厳重注意文)
 平成11年4月23日(金)「全国学生総決起集会」が開催され午後3時頃に同集会のデモ隊約80名が、事務局玄関前に集合し、「団交獲得」「電気料値上げ反対」等のシュプレヒコールをあげ、次いで、3時30分頃に至って黒ヘルの学生8~10名の集団が管財課側シャッターに殺到し、その内3~4名の者がシャッターめがけて飛び蹴りを繰り返し、その結果、横パイプ3本程度を曲げ、シャッターを蹴破ることができないとなると、シャッターの内側にいる職員に向けて、罵倒するなどの行為があった。
 これらの行動に対して、学寮専委員長から厳重に注意する文書を寮連委員長に送った。

21)日就寮、学務部事務官拘束事件(学生協ニュースNo.3)(日就寮に厳重注意文)
 平成11年4月30日(金)午後4時40分頃、片平キャンパスの学務部厚生課学寮担当の窓口に日就寮生20数名が押しかけて、不法入寮者分の寄宿料(12名分)を受け取るよう居合わせた職員に強要した。「入寮を認めていない不法入寮者の寄宿料は、大学は受け取るわけにはいかない」と回答した職員を寮生は2時間以上にわたって拘束し、名前を名乗れといわれた職員が「人に名前を聞くならば、自分から名乗るべきである」旨述べると、「今日は帰さないぞ、自宅にも押しかけるぞ」等と脅迫的な言辞を吐く等の粗野な行為があった。
この脅迫的行動に対して、学寮専委員長から厳重注意の文書を日就寮委員長に送った。

22)仁田副総長自宅いやがらせ事件
 平成11年5月7日(金)深夜~8日(土)早朝にかけて「東北大学の学生寮を守る会」と称する者が、仁田副総長(学務等担当)自宅と付近の道路や近所の家の郵便受け等に「東北大学副学長仁田は自治寮つぶしの横暴やめろ」と書かれたビラ約200枚(東北大学の学生寮を守る会)をまきました。

23)日就寮・有朋寮、寄宿料納入強要行為(日就寮・有朋寮に厳重注意文)
 平成11年5月31日(月)午後4時30分頃、学務部学寮担当窓口に寮生約30名が現われて事務室に無断で入り込み、有朋寮及び日就寮に不法入寮中の者の4月、5月分の寄宿料を受領するよう強要した。担当者は受領出来ない旨返答しましたが、1)有朋寮、日就寮が不法入寮生分を含む寄宿料を持参したが、継続寮生分しか受け取らなかったこと、2)日就寮が副総長の正式な見解を求めている旨を伝えること、この2点を文書に書くことを要求しました。最終的には、不法入寮者分を持参したが「受領しなかった」旨の確認書を書かされそれを手渡したところ、午後6時10分頃引き上げた。
 この行動に対して、学寮専委員長から厳重注意の文書を日就寮・有朋寮委員長に送った。

24)法学部教授会乱入事件(告示)
 平成11年6月16日(水)午後1時40分頃、法学部大会議室で開催されていた法学部教授会に、寮生を含むと思われる「中核」「日就」等と記したヘルメットやサングラスに覆面姿の集団約30名が乱入して、30分間余りにわたり教授会の審議を妨害した。その際、教授会に出席するため大会議室に入ろうとした教授1名がけがを負わされた。2時15分頃、この者たちは建物外に退去し立ち去ったが、その一部が川内北構内のサークル棟サークル協議会室に入ったことが、他の部局の職員によって目撃された。その後、「寮生共闘」と名乗る組織が「法学部教授会乱入」を認め、正当化するビラを出した。
 この件に関して、6月28日付けで全学に「告示」した。
 大学は寮連等に対し、法学部教授会への乱入者が「日就」と記したヘルメットを着用していた事実や、一部寮生の勝手な行動であったのならば統制力の喪失を寮連はどう説明するのかについて、見解を明らかにするよう求め、表明があった。 (入寮募集停止解除の回答文に掲載)

25)中川学寮専委員長拘束事件(告示)(日就寮及び寮連に厳重注意文)
平成11年11月9日(火)午後5時過ぎ、経済学部中川教授(学寮専委員長)を拘束する事件があった。詳細は本号16ページに掲載。



別表3 東北大学寄宿舎規程及び寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程



○ 東北大学寄宿舎規程

〔昭和2年1月10日制定〕


改正 昭和12年7月1日
   昭和15年6月1日
   昭和19年4月1日
   昭和21年4月1日
   昭和26年4月1日
   昭和31年4月1日
   昭和45年8月4日規第56号
   平成10年4月9日規第81号

東北大学寄宿舎規程

第1条 本学寄宿舎に入舎しようとする者は、総長が指名する副総長(以下「副総長」という。)に願い出て、その許可を受けなければならない。
第2条 副総長は、入舎希望者について選考の上、その許否を定める。
第3条 舎生であつて、左の一号に該当する者は、副総長が退舎を命ずる。
    1 学則に違反した者
    2 風紀のびん乱する行為のあった者
    3 所定の経費を滞納した者
    4 衛生上他学生に悪影響を及ぼすおそれのある者
第4条 舎内の施設物品をき損又は亡失した者は、情状によつてこれを弁償させる。
第5条 舎生であつて、本学学生の資格を失つた者は、直ちに退舎しなければならない。
第6条 寄宿料及び諸舎費に関しては、別に定める。
第7条 この規程の施行に関する細則は、別に定める。
附則(昭和12年7月1日改正)本規程は、昭和12年7月1日より之を施行す。
附則(昭和15年6月1日改正)本規程は、昭和15年6月1日より之を施行す。
附則(昭和19年4月1日改正) 本規程は、昭和19年4月1日より之を施行す。
附則(昭和21年4月1日改正) 本規程は、昭和21年4月1日より之を施行す。
附則(昭和26年4月1日改正) 本規程は、昭和26年4月1日からこれを施行する。
附則(昭和31年4月1日改正) この規程は、昭和31年4月1日から施行する。
附則(昭和45年8月4日規第56号改正) この規程は、昭和45年8月4日から施行する。
附則(平成10年4月9日規第81号改正) この規程は、平成10年4月9日から施行する。



○ 東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程

〔昭和51年1月20日規第8号〕

改正 昭和53年5月16日規第41号
   昭和53年6月27日規第49号
   平成10年1月20日規第2号
   平成10年4月9日規第81号

東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程

第1条 この規程は、東北大学寄宿舎規程(昭和2年1月10日制定)第6条の規定に基づき、東北大学学生の寄宿舎の寄宿料及び諸舎費について定めるものとする。
第2条 寄宿舎に寄宿する者は、寄宿料及び諸舎費を納付しなければならない。
第3条 寄宿料の月額は、国立の学校における授業料その他の費用に関する省令(昭和36年文部省令第9号)に規定する額とし、その納付期限は、当月15日までとする。
第4条 納付した寄宿料は、返付しない。
第5条 寄宿料をその納付期限までに納付せず、督促を受けても納付しない者に対しては、退舎を命ずる。
第6条 諸舎費は、舎生が私生活のために使用する電気、ガス、水道、燃料、暖房及び電話の料金とする。
  2 総長が指名する副総長は、毎年度、前項の規定の適用に関し必要な細目その他の事項を定め、その旨を公示しなければならない。


附則
1 この規定は、昭和51年1月20日から施行する。
2 次に掲げる規定は、廃止する。
   1 寄宿料に関する規程(昭和26年2月1日制定)
   2東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程(昭和45年規第58号)
 附則(昭和53年5月16日規第41号改正)
 この規程は、昭和53年5月16日から施行し、この規程による改正後の東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程の規定は、昭和53年4月1日から適用する。
 附則(昭和53年6月27日規第49号改正)
 この規程は、昭和53年6月27日から施行し、この規程による改正後の東北大学寄宿舎の寄宿料及び諸舎費に関する規程の規定は、昭和53年5月30日から適用する。
 附則(平成10年1月20日規第2号改正)
この規程は、平成10年1月20日から施行する。
 附則(平成10年4月9日規第81号改正)
この規程は、平成10年4月9日から施行する。




資料1 寮連及び有朋・日就2寮委員長からの「回答文」 (H12.2.18)

資料1-1
  東北大学学生生活協議会殿
  副学長(学務等担当)仁田新一殿
 大学側から1999年12月21日付で『入寮募集停止解除の条件について』と題された文書が送付され、この中で(解除の条件)として1~3の3つの項目があげられている。このことに関して、『「入寮募集停止」解除の条件に関して』、『電気料金の支払いについて』と題した2種類の文書を作成したので、これを提出する。
2000年2月18日
東北大学学生寮自治会連合
執行委員長[印]





資料1-2
電気料金の支払いについて
東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田新一殿



 日就寮・有朋寮の2寮は、今後も大学の規程に基づいて算出される電気料全額を支払う意向である。東北大学学生寮自治会連合としても、2寮のこの方針に関して異議がないことを確認する。
2000年2月18日
東北大学学生寮自治会連合
執行委員長[印]




資料1-3
「入寮募集停止」解除の条件に関して

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田新一殿



 大学側から1999年12月21日付で『入寮募集停止解除の条件について』と題された文書が送付され、この中で(解除の条件)として1~3の3つの項目があげられている。このことに関して、以下に回答する。
(解除の条件)1について
  大学側の文書提出の要求に従い、別に『電気料金の支払いについて』と題した文書を提出する。
(解除の条件)2-(2)について
 日就寮・有朋寮の99年度の入寮募集活動は、大学側が2寮の電気料不払いを理由とする「入寮募集停止」の措置を講じる中で行われ、寮連もこれを支援した。我々としては、入寮を希望する学生の入寮の機会を損ねるべきではなかったと考えている。問題を早期に解決することができず、その結果、入寮希望者の入寮の機会を損ねてしまったことについて反省している。大学側の「入寮募集停止」の決定に違反した入寮募集活動を支援したことを認め、謝罪する。
(解除の条件)3.1)について
 電気料問題に関連して寮連が主催した行動の中で、学寮専委員長や事務官に対する拘束等の暴力的行為があったことについて、これを認め謝罪する。また、同様に電気料問題に関連して

 寮連が主催した行動の中で、器物破損に至る行為等が行動参加者によってなされたことについても、これを認め謝罪する。今後は同様の行為を行わない。
(解除の条件)3.2)について
 寮連と寮生共闘は一切無関係である。学長室乱入及び法学部教授会乱入事件について、寮連はこれらの行動には関与していない。これらの行動が大学側の主張するとおりであるならば、寮連としてこれらの行動を容認しない。また、これらの行動が大学側の主張するとおり、電気料問題や「入寮募集停止」問題に関連して行われたものであるならば、寮連としてこれらの行動を制止することができなかったこと、現在までこれらの行動に関する事実関係を把握できなかったことを謝罪する。
2000年2月18日
東北大学学生寮自治会連合
執行委員長[印]




資料1-4
  東北大学学生生活協議会殿
  副学長(学務当担当)仁田 新一殿
 大学側から1999年12月21日付で『入寮募集停止解除の条件について』と題された文書が当寮宛てに送付され、その中で(解除の条件)として1~3の3つの項目が挙げられている。このことに関して『「入寮募集停止」解除の条件に関して』、『電気料の支払いについて』と題した2種類の文書をそれぞれ作成した。これらを提出する。
2000年2月18日
東北大学有朋寮
委員長[印]




資料1-5
『電気料の支払いについて』

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田新一殿



 寮は、今後も大学の規程に基づいて請求される電気料全額を支払う。           
2000年2月18日
東北大学有朋寮
委員長[印]




資料1-6
「入寮募集停止」解除の条件に関して

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 大学側より1999年12月21日付で当寮宛てに送付された『入寮募集停止解除の条件について』と題された文書の中で、 (解除の条件)として1~3の3つの項目が挙げられている。この事に関して以下回答する。

(解除の条件)1について
この文書とは別に『電気料の支払いについて』と題した文書を提出する。
(解除の条件)2-(1)について
99年度に大学の決定に違反して有朋寮に入寮した者は、既に寮から退去している。なお、転居届け(住民票等を添付)については各個人から学部の方へ提出済みである。また『入寮者氏名および入居期間一覧』と題した文書についても既に提出済みである。
(解除の条件)2-(2)について
大学側が電気料不払いを理由とする「入寮募集停止」の措置を講じる中で有朋寮は99年度の入寮募集活動を行った。我々としては、入寮を希望する学生の入寮の機会を損ねるべきではなかったと考えている。問題を早期に解決する事が出来ず、その結果、入寮希望者の入寮の機会を損ねてしまったことについて反省している。大学側の「入寮募集停止」の決定に違反して入寮募集活動を行った事を認め謝罪する。
(解除の条件)3.1)について
学寮専門委員長、事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等について、有朋寮としてそのような暴力的な行動を容認しない。
(解除の条件)3.2)について
有朋寮と寮生共闘は一切無関係である。学長室乱入及び法学部教授会乱入事件について、有朋寮はこれらの行動には関与していない。これらの行動が大学側の主張するとおりであるならば、有朋寮として、そのような暴力的な行動を容認しない。
2000年2月18日
東北大学有朋寮
委員長[印]




資料1-7
「入寮募集停止解除の条件」に基づく文書の提出について

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 99年12月21日付「入寮募集停止解除の条件」について、「解除の条件」に沿って文書を提出する。
・支払継続確約について
・「『自主募集』した責任の表明」について
・「学寮専委員長や事務官の長時間拘束等、国有財産の損壊等への謝罪」について(日就寮主催抗議行動についての見解表明)
・「総長室乱入、法学部教授会事件等の暴力行為等への見解表明」について(「寮生共闘」の行動についての見解表明)
2000年2月18日
東北大学日就寮
委員長[印]





資料1-8
支払い継続確約について

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 大学の規程に基いて算出される電気料を今後とも継続して支払うことを確約する。
2000年2月18日
東北大学日就寮
委員長[印]




資料1-9
「『自主募集』した責任の表明」について

東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 99年度の入寮募集に関して、寮生と大学の意見が食い違っていたことで99年度新入生に迷惑をかけてしまったことについて反省している。また、大学の「入寮募集停止」の決定に反して入寮募集活動を行なったことを認め、謝罪する。
2000年2月18日
東北大学日就寮
委員長[印]




資料1-10
「学寮専委員長や事務官の長時間拘束等、国有財産の損壊等への謝罪」について
(日就寮主催抗議活動についての見解の表明)
東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 日就寮主催として電気料問題の中で行なったさまざまな抗議行動が、個人の吊るし上げになってしまっていたことを認め、謝罪する。具体的には、寄宿料受領行動の際の学務部事務官拘束、99年11月9日における当時の学寮専委員長中川氏に対する拘束等について謝罪する。日就寮主催抗議行動において器物破損等があったならば、その場の統括が取りきれてなかったことと、その損壊両方について謝罪する。今後は暴力的行為等は行なわない。
2000年2月18日
東北大学日就寮
委員長[印]




資料1-11
「総長室乱入、法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解表明」
(「寮生共闘」の行動についての見解の表明)
東北大学学生生活協議会殿
副学長(学務等担当)仁田 新一殿



 日就寮と「寮生共闘」は一切無関係である。また日就寮として、このような行動は容認しない。
2000年2月18日
東北大学日就寮
委員長[印]






資料2 入寮希望の受験生ならびに父母の皆様へ「有朋寮・日就寮の入寮募集停止について」

平成12年2月10日


入寮希望の受験生ならびにご父母の皆様へ

東北大学副総長(学務等担当)
   仁 田 新 一



有朋寮・日就寮の「入寮募集停止」について

 東北大学には8つの学生寮(寄宿舎)があり、多くの寮生が恵まれた環境の中で勉学に励みつつ、充実した学生生活を謳歌しています。
 しかし8寮のうち有朋寮と日就寮につきましては、諸舎費の問題に端を発する混乱状態のため、入寮募集停止の措置が行なわれております。現在この2寮へ入居することはできませんので、ご承知おき下さい。
 大学は目下問題の解決に向けて様々な努力を重ねております。しかし今なお混乱状態は解消されず、2寮の入寮募集停止を解除するには至っておりません。従って、有朋寮と日就寮の寮生が自主的に入寮募集を行っても、大学は認めることができませんし、それに応募しても入寮は許可されません。試験場等でこの2寮の募集行為が行なわれた場合には、決して応募されることのないよう、特にお願いいたします。新入生の入寮機会を狭めることは誠に心苦しいことではありますが、どうか大学の立場をご理解ください。
 今後大学の努力が実を結び、有朋寮・日就寮の入寮募集停止が解除されましたならば、改めてお知らせいたします。
 なお、この措置は有朋寮・日就寮のみにかかわるもので、他の学生寮(寄宿舎)は従来通りに入寮募集が行なわれます。
 平成12年度新入生が入居できる寮は、明善寮、以文寮、昭和舎(医学部)、如春寮(女子)です。入寮を希望する場合にはそれらの寮に応募してください。
 また大学には経済面から学業を支援する制度として、授業料免除制度や各種奨学金があり、低廉な下宿やアパートの紹介もしております。
 不明の点や学寮に関連した相談等がありましたら、下記まで電話でご連絡くださいますようお願いいたします。


 連絡先:東北大学学務部厚生課 学寮担当
     TEL(022)217-5018
     FAX(022)217-5013
     〒980-8577仙台市青葉区片平2丁目1番1号





資料3 入寮希望の受験生ならびに父母の皆様へ「有朋寮および日就寮の入寮募集解除について」

平成12年2月25日
入寮希望の受験生ならびにご父母の皆様へ
東北大学副総長(学務等担当)
仁 田 新 一



有朋寮および日就寮の入寮募集停止解除について
 先にお知らせしましたように、東北大学の8寮のうち有朋寮と日就寮は、入寮募集停止の措置がとられておりました。大学は問題の解決に向けて様々な努力を重ねてまいりましたが、このたび、大学が提示した「入寮募集停止解除の条件」 (参考)が満たされ、上記2寮の入寮募集停止は、以下の告示をもって解除されました。
 従って、平成12年度新入生は、明善寮、以文寮、昭和舎(医学部)および如春寮(女子)の他に、有朋寮および日就寮にも入居できます。
 東北大学は、充実した大学生活を望む全ての学生のために、今後とも学生寮を広く開かれた健全な学内施設として管理運営してゆく意向です。
告 示

 大学は、有朋寮および日就寮の入寮募集停止の解除を決定した。
 学生寮自治会連合(寮連)および上記2寮は、電気料負担区分是正に反対し、電気料の不払いを続けるとともに、大学の決定に違反して「自主募集」を強行し、1年生等を不法入寮させて寮を混乱させた。大学は、平成11年12月21日付けで提示した「入寮募集停止解除の条件」に対する平成12年2月18日付けの寮連および上記2寮の委員長からの回答文書を検討した。大学は、寮連および上記2寮の回答を評価し、学寮の管理運営上の責任および教育上の配慮から、上記2寮の入寮募集停止の解除を決定したので告示する。
 なお、不法入寮者については、上記2寮への入寮を一時的に禁止する。また、再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は、直ちに入寮募集を停止する。
平成12年2月20日
副総長(学務等担当)
仁 田 新 一
学生生活協議会



参 考
 入寮募集停止解除の条件(要旨)

( 前提条件)
 以下のことについて、文書で回答すること。なお、これについては公開します。
( 解除の条件)
 1.大学の規程に基づく電気料を今後も支払うという確約書を提出すること。
 2-(1)
   不法入寮者の退去と大学によるその確認。
 (2)
   入寮募集停止の大学の決定に従わず「自主募集」した責任を表明すること。
 3.電気料是正や不法入寮問題での主張を通すために暴力的行為を行ったことに対して、謝罪及び見解を出すこと。
 1) 学寮専委員長や事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等の不法行為等への謝罪。
 2) 総長室乱入及び法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解の表明
(入寮募集再開後の措置)
1.不法入寮者については、2寮への入寮を一時的に禁止する。
2.再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は直ちに入寮募集を停止する。




資料4 平成12年度新入生ならびに父母の皆様へ
    「有朋寮および日就寮の入寮募集停止は解除になりました」


平成12年3月9日

平成12年度新入生ならびにご父母の皆様へ

東北大学副総長(学務等担当)
仁田新一



有朋寮および日就寮の「入寮募集停止」は解除になりました

 合格おめでとうございます。東北大学は皆様を心より歓迎いたします。
 さて、有朋寮と日就寮の入寮募集停止解除については、入学試験場での文書の配布と掲示によってお知らせしました。しかし、受験生及びご父母の皆様からの問い合わせが多く寄せられておりますので、最近の「学生協ニュースNo.13」を同封しますと共に、その経緯等について、さらに詳しく説明いたします。

入寮募集停止に至るまでの経緯
 以前より、東北大学は寮で使用される電気料について、会計検査院から国費の超過負担を指摘され、改善を求められておりました。そこで大学は、個人が使用した電気料は個人が払うという原則に基づき、平成10年に従来の負担区分を是正しました。しかし学生寮自治会連合(寮連)と上記2寮は、これに反対して是正分の支払いを拒否し、寮全体の方針として不払い運動を展開しました。そのため大学は、新入生の入寮による寮の混乱の拡大を防ぐため、また新入生の教育を最善の状態で始めるため、平成11年3月に上記2寮の入寮募集を停止したものです。

入寮募集停止措置を契機として繰り返された不法行為と暴力的行為
 しかし寮連と上記2寮は、大学の入寮募集停止の決定を無視して寮生の「自主募集」を強行し、大学の許可なく新入生等を入居させました。これは大学の管理権を侵害する不法行為であるばかりでなく、電気料問題によって生じた寮の混乱を一層増大させるものでした。
 その一方、電気料問題や不法入寮問題での主張を通すために、教官や事務官の長時間にわたる拘束、大学の国有財産への損壊等、容認できない不法行為や暴力的行為が幾度となく繰り返されました。
 また、「寮生共闘」と名乗るヘルメット集団等による、総長室や法学部教授会への乱入等の犯罪的暴力行為もありました。

入寮募集停止の解除の経緯
電気料問題そのものについては、不払いが続いたため、大学はやむなく支払いを求める法的手続を取ったところ、一部の寮生が異議を申し立て裁判になりましたが、寮生側が大学の求める電気料を支払ったので、裁判は終了しました。しかしながら、その後も2寮は、大学の再三の説得や退去勧告にもかかわらず、無許可の入居者(不法入寮者)を滞在させるなど、混乱状態は依然として続いていました。
大学は問題の解決に向けて様々な努力を重ねました。その結果、大学が提示した「入寮募集停止解除の条件」 (裏面参照)を寮連と上記2寮が受け入れ、文書で公的に謝罪を行なったため、以下の告示をもって2寮の入寮募集停止は解除されることになりました。

再発防止に向けての解除後の措置
 大学は、非常識な不法状態を二度と繰り返させない決意です。そのためにも、入寮募集再開後の措置として、次の方針が決定されております。
1.不法入寮者については、2寮への入寮を一時的に禁止する
2.再び不払い、その他の著しい不法行為等があった場合は直ちに入寮募集を停止する。



入寮募集停止解除の条件(要旨)
(前提条件)
 以下のことについて、文書で回答すること。なお、これについては公開します。
(解除の条件)
1.大学の規程に基づく電気料を今後も支払うという確約書を提出すること。
2-(1)不法入寮者の退去と大学によるその確認。
  (2)入寮募集停止の大学の決定に従わず「自主募集」した責任を表明すること。
3.電気料是正や不法入寮問題での主張を通すために暴力的行為を行ったことに対して、謝罪及び見解を出すこと。
  1) 学寮専委員長や事務官の長時間にわたる拘束等や国有財産への損壊等の不法行為等への謝罪。
  2) 総長室乱入及び法学部教授会乱入事件等の暴力行為等への見解の表明
(入寮募集再開後の措置)
1.不法入寮者については、2寮への入寮を一時的に禁止する。
2.再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は直ちに入寮募集を停止する。

告 示

 大学は、有朋寮および日就寮の入寮募集停止の解除を決定した。
 学生寮自治会連合(寮連)および上記2寮は、電気料負担区分是正に反対し、電気料の不払いを続けるとともに、大学の決定に違反して「自主募集」を強行し、1年生等を不法入寮させて寮を混乱させた。大学は、平成11年12月21日付けで提示した「入寮募集停止解除の条件」に対する平成12年2月18日付けの寮連および上記2寮の委員長からの回答文書を検討した。大学は、寮連および上記2寮の回答を評価し、学寮の管理運営上の責任および教育上の配慮から、上記2寮の入寮募集停止の解除を決定したので告示する。
 なお、不法入寮者については、上記2寮への入寮を一時的に禁止する。また、再び不払い、その他著しい不法行為等があった場合は、直ちに入寮募集を停止する。
 平成12年2月20日
副総長(学務等担当)
仁 田 新 一
学生生活協議会




 東北大学は、充実した大学生活を望む全ての学生のために、今後とも学生寮を広く開かれた健全な学内施設として管理運営してゆく意向です。
 研究教育の場に真にふさわしい学生寮をゆるぎなく維持してゆくために、皆様からの建設的なご意見やご提言を期待します。
 また、大学には経済面からも学業を支援する制度として、授業料免除や各種奨学金があり、低廉な下宿やアパートの紹介もしております。
 なお、入寮を希望される場合は、上記2寮以外に以文寮、明善寮、昭和舎(医学部)、如春寮
(女子)がありますので、不明な点や学寮に関連した相談等がありましたら、下記まで電話でご連絡くださいますようお願いいたします。

 連絡先:東北大学学務部 厚生課 学寮担当
     TEL 022-217-5018
     FAX 022-217-5023
     〒980-8577 仙台市青葉区片平2丁目1-1




資料5 寮連からの電気料支払表明及び入寮募集停止撤回要求書

電気料の支払表明および「入寮募集停止」撤回要求書

副学長 仁田新一殿



・寮連・有朋寮・日就寮は電気料の不払い方針を取り下げ、値上げされた分の電気料も支払う。現在裁判にて係争中であるものの分についても同様である。
・値上げ分の電気料が支払われたわけであるから、大学当局は直ちに「入寮募集停止」措置を撤回せよ。
 今回、電気料の不払い方針を取り下げ、値上げされた電気料について支払うことを決定したのでそれを表明し、我々の側から大学当局に対して、「入寮募集停止」の即時撤回を要求する。
 そもそもにして、「入寮募集停止」の「理由」はどれ一つとして正当なものではないが、ここで我々の側から電気料を支払うことにより、大学当局は有朋・日就寮に対して「混乱」などというふざけた言葉を用いることはもはや不可能である。同時に大学当局自身「学生協だより No.6」や「同7」で「電気料を支払えば入寮募集停止措置は解除される」と述べている、すなわち我々が電気料を支払えば、大学当局の言う「理由」はなくなり、即座にこの不当な措置を撤回することが出来るはずである。
 大学当局はこの間発行してきた文書、特に先日発行された「学生協だよりNo.11」の中においても、自分たちの都合のみを考え、「入寮募集停止」を継続するための正当化、開き直りを行なっても、この状況を解決させようとする態度はまったく見られない。我々はこれら大学当局の態度を、廃寮化を目的とした自治破壊攻撃として捉えなければならない。実際「~No.11」においては「『入寮募集停止』の解除はむしろ遠のいたといわなければなりません。」などと2000年度の「入寮募集停止」継続をあからさまに示唆している。我々はこうした自治破壊、生活破壊、人権無視の攻撃に対して満腔の怒りをおぼえ、廃寮化の攻撃と真っ向から対決し、自治寮を守りぬく決意である。電気料裁判で我々の側の法廷代理人となっている2名の弁護士が先日送付した「通告書」にも、弁護士本人の強い怒りと共に、大学当局の行為が既に社会的にみても不当であり、弾劾されるべき問題となっているということが示されている。
 したがって今回、我々が値上げ分の電気料を支払うことによって、大学当局は「入寮募集停止」という電気料問題の解決にはなんのプラスにもならない措置を即刻取り止め、「懲戒処分」「明け渡し起訴」などという非人間的な処分の検討を取りやめ、もっと問題の解決に向けて力を注ぐことが出来るはずである。大学当局が電気料問題を解決させようとする気が少しでもあるのならば、明日にでも「入寮募集停止」を取りやめるという公示を全学に対して出すことが出来る。この期に及んでまで「入寮募集停止」を継続するための「理由」を考え出そうとするのは無意味であり、非生産的であり、不当そのものである。直ちに「入寮募集停止」措置を撤回し、電気料問題の早期解決に向けて全力を傾けよ。
 なお、この文書についての副学長による回答を10月27日までに寮連執行委員長宛てに送付するようあわせて要求する。
1999年10月19日
東北大学学生寮自治会連合[印]








資料6 有朋寮・日就寮生の連帯保証人への「電気料納入協力のお礼」

平成11年11月26日
有朋寮・日就寮連帯保証人 殿
東北大学副総長(学務等担当)
仁 田 新 一



拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
 貴殿が連帯保証人をされておりますご子息の電気料納入にあたっては、これまで納入告知書によりお支払いいただき誠に有難うございます。
 さて、今般、有朋寮および日就寮の両委員会から10月19日に平成11年10月請求分の電気料の納入がなされ、11月9日に昨年5月請求分から今年9月請求分まで、11月17日に平成11年11月請求分の電気料の納入が両委員会からありました。
 つきましては、これまで電気料のお支払いについて大変ご迷惑をおかけいたしましたことに対し、お詫び申し上げますとともにご協力に厚く御礼申し上げます。
 また、今後とも貴殿のなお一層のご理解とご支援を賜りますようよろしくお願いいたします。なお、「学生協だよりNo.11」および「学生協ニュ-スNo.7・8」を同封させていただきますので、ご一読いただければ幸甚に存じます。

敬 具





資料7 学寮専委員長拘束行動に対しての「告示」

告 示

 平成11年11月9日(火)午後5時頃、川内南キャンパスの文系四学部駐車場において、経済学部教授の中川学寮専門委員会委員長が帰宅しようと車に乗り込んだところ、約40名の寮生に取り囲まれ、暗闇のなか車内で約2時間拘束された。
 この間、寮生は車のドアーを開き運転席にいる中川委員長に、11月8日(月)開催の学生生活協議会の学寮問題の審議内容等を執拗に詰問し、「入寮募集停止」を直ちに解除するよう迫り、拘束を解くようにとの発言を無視し、大声で暴言を吐き、無断で写真を撮るなど暴力的な行為を行った。
 さらに、これらの暴力的な行為を止め、拘束を解くよう説得に駆けつけた教官にも暴言を吐き、中川委員長に近づくことを阻止した。大学はこれまで、このような行為がなされるごとに、今後このような行為を行わないよう関係した学生諸君に繰り返し反省を求め遺憾の意を伝えてきた。しかしながら、再び同様な行為が寮生により起こされたことに強く遺憾の意を表するとともに関係した学生諸君に猛省を促すものである。
 平成11年11月10日
副総長(学務等担当)
学生生活協議会







資料8 日就寮委員長(寮連委員長)への「暴力的な拘束行動に対しての厳重注意」

平成11年11月26日
日就寮委員長 殿
(ほか、学生寮自治会連合執行委員長)
学寮専門委員会
   委員長 中川 多喜雄



暴力的な拘束行動に対しての厳重注意

平成11年11月9日(火)午後5時頃、川内南キャンパスの文系四学部駐車場において、経済学部の中川教授(学寮専門委員会委員長)が帰宅しようと車に乗り込んだところ、約40名の寮生に取り囲まれ、暗闇のなか車内で約2時間拘束された。
この間、寮生は車のドア-を開き運転席にいる同教授に、11月8日(月)開催の学生生活協議会の学寮問題の審議内容等を執拗に詰問し、「入寮募集停止」をただちに解除するよう迫り、拘束を解くようにとの発言を無視し、大声で暴言を吐き、無断で写真を撮るなど暴力的な行為を行った。
さらに、これらの暴力的な行為を止め、拘束を解くよう説得に駆けつけた教官および事務官にも暴言を吐き、同教授に近づくことを阻止した。大学はこれまでこのような行為がなされるごとに、今後はこのような行為を行わないよう関係した学生諸君に繰り返し反省を求め遺憾の意を伝えてきた。しかしながら、再び同様な行為が寮生により起こされたことに強く遺憾の意を表するとともに関係した学生諸君に猛省を促すものである。
日就寮生は、暴力的な拘束行動によって脅迫した同教授に対して、心から謝罪すべきである。教官および事務官に対して信頼感を損ねるような行動は厳に慎まなければならない。改めて、今回の暴力的な拘束行動に対して厳重に注意する。
   
※ 『学生協だより』は、東北大学のホームページの【学内掲示板】から参照することができます。(ただし学内からのみアクセス可)
※ この他に学生協からのお知らせを随時掲載する掲示板『キャンパスライフ』が、東北大学ホームページの【学内掲示板】の下に開設されています。