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ジグザク型グラフェンナノリボンの作製に成功

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)のPatrick Han助教と一杉太郎准教授の研究グループは、同機構の浅尾直樹教授、P. S. Weiss教授、赤木和人准教授らとともに、ジグザグ型エッジを有するグラフェンの作製に成功しました。この結果は、分子の合成によってグラフェンのエッジ形状を制御した世界初の成果であり、グラフェンを活用したデバイス作製に向けた大きな一歩となります。

グラフェンは、炭素原子が蜂の巣状に並んだ厚さ原子1層分の物質で、電子移動度が高いため、透明導電膜や超高速トランジスタなどの応用に向けて、非常に活発な研究が展開されています。特に、ナノスケールサイズで細線(リボン)状にしたグラフェンナノリボンは、エッジの形状がジグザグ型かアームチェア型かで、電気伝導性や磁性などの物性が大きく異なることが期待されています。しかし、ジグザグ型のエッジの作製はきわめて難しく、2種類のエッジを作り分けることができないため、未だに物性の違いを検証することができませんでした。本研究グループでは、分子の合成によってエッジ制御を行うため、二臭化ビアントラセン化合物という分子を銅基板上にばらまき、500度で10分程度基板を保ちました。その後、原子1つ1つが識別可能な走査型トンネル顕微鏡を活用して生成する分子を観察すると、ジグザグ型のエッジを有するグラフェンナノリボンが生成していることを確認いたしました。本成果によって、グラフェンのエッジの形状による物性の違いを検証するなどの研究を進めることが可能となり、グラフェンを使った新規エレクトロニクスデバイスやスピントロニクスデバイス創製につながることが期待されます。

本研究は、近日中に米科学誌「ACS Nano」に正式掲載される予定です。

当日の様子

グラフェンナノリボンの走査トンネル顕微鏡像とジグザグ型エッジの拡大図(左上)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究内容について)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構
准教授 一杉 太郎
Email: hitosugi*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道担当)
東北大学原子分子材料科学高等研究機構
広報・アウトリーチオフィス
中道 康文
Tel: 022-217-6146
Email: outreach*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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