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アインシュタインとボーアの思考実験を分子レベルで実現!

東北大学多元物質科学研究所の上田潔教授、フランスのソレイユシンクロトロン放射光施設のCatalin Miron研究員のグループ、スウェーデン王立工科大学のFaris Gel'mukhanov教授らの合同チームは、アインシュタインとボーアの論争で思考実験として提案された2重スリット実験を、酸素分子の2個の酸素原子を2重スリットに置き換えることによって、初めて、実現しました。

アインシュタインとボーアは、 20世紀前半、光や電子があわせ持つ波としての性質と粒子としての性質の2重性の解釈について、論争を繰り広げました。彼らが論争の際に用いた手法は思考実験です。実際には実験を行うことなく、理論的思考によって実験結果を演繹するものでした。彼らの思考実験は、当時、実現できないものばかりでしたが、のちの研究者の想像力を大いに掻き立てました。現在も様々な実験的検証が行われています。合同チームは、アインシュタインとボーアの論争でも主要な位置を占める2重スリット実験を分子レベルで実現しました。そして、ボーアの反論を裏付けるように、一方のスリット(原子)だけが受ける電子の反跳運動量を観測した場合には干渉縞が消え、これが観測できない場合には干渉縞が現れることを、初めて、実証することに成功しました。

この結果は、英国の科学雑誌『Nature Photonics』オンライン版(12月1日付け:日本時間12月2日)に掲載されます。

図1

(a)と(c)、アインシュタインとボーアの2重スリット思考実験の模式図;2個のスリットが固定された場合(a)とそれぞれ独立して動くことができる場合(c)。(b)と(d)、2重スリットを2個の酸素原子に置き換えた本実験の模式図;2個の原子が結合している場合(b)と独立している場合(d)。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学多元物質科学研究所
教授 上田 潔
秘書 生井 淳子
電話番号:022-217-5381 / 5380
FAX: 022-217-5380
E-mail: ueda*tagen.tohoku.ac.jp / namai*tagen.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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