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シリセンの基盤電子構造解明 -グラフェンを越えるシリセンの新機能開拓に道-

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(AIMR)の高橋隆教授、一杉太郎准教授、菅原克明助教は、豊田中央研究所の中野秀之主任研究員らの研究グループと共同で、グラフェンを越えると期待されている新材料シリセンの層間化合物CaSi2を合成し、その電子状態の解明に世界で初めて成功しました。その結果、シリセンが見かけ上の質量がゼロとなる電子状態を持つことが明らかとなりました。この成果は、超高速電子デバイスへの応用が期待されているシリセンの基盤電子状態の理解と、その材料設計および機能開拓に大きく貢献するものです。

シリセンは、硅素(Si)が蜂巣格子状に組んで形成した一枚の原子シートで、炭素からなる同様な原子シートであるグラフェンを越える新材料として近年盛んに研究が行われています。しかし、単離したシリセン原子シートを合成することが難しく、これまでシリセンの電子状態は詳しく分かっていませんでした。本研究グループは、何層も積層させたシリセン層間にカルシウム(Ca)を挿入したCaSi2を合成することで、電子状態の測定に成功しました。

本成果は、平成26年12月16日(現地時間)にドイツ科学誌「Advanced Materials」オンライン版で公開されました。

参考図

図: (a)グラフェン、(b)シリセンおよび(c)多層シリセン層間化合物CaSi2の結晶構造。グラフェン中には、パイ電子およびシグマ電子と呼ばれる2種類の電子が存在します。シリセンはグラフェンと異なり、バックリング構造とよばれる凸凹した構造を持ちます。CaSi2はシリセンの原子シート間にカルシウムが挿入された構造を持ちます。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

研究に関すること

高橋 隆(タカハシ タカシ)教授
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(大学院理学研究科兼任)
Tel: 022-795-6417
E-mail: t.takahashi*arpes.phys.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

菅原 克明(スガワラ カツアキ)助教
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構
Tel: 022-217-6169
E-mail: k.sugawara*arpes.phys.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

報道担当

中道 康文(ナカミチ ヤスフミ)
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構 広報・アウトリーチオフィス
Tel: 022-217-6146
E-mail: outreach*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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