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土星衛星エンセラダスの地下海に海底熱水活動!-生命生息可能環境を宇宙に発見-

東京大学・海洋研究開発機構・東北大学・北海道大学・名古屋大学を含む国際研究グループは、日米欧による探査と実験の綿密な連携によって、エンセラダスの地下海に海底熱水環境が存在することを明らかにしました。

土星の衛星エンセラダスは、内部に液体の地下海を持ち、海水がプリュームと呼ばれる間欠泉として宇宙に噴出しています。しかし、このような地下海の具体的な環境の特定は行われておらず、生命の生息可能性に関する議論も空想の域を出るものではありませんでした。コロラド大学のHsu博士を中心とする欧米チームはカッシーニ探査機のデータから、プリュームとして放出される海水中にナノシリカ粒子が含まれていることを明らかにしました。一方、東京大学の関根康人准教授を中心とする日本チームはエンセラダス内部の模擬実験を行い、ナノシリカ粒子が生成するためには、海水と岩石からなるコアが、現在も90℃を超える高温で反応していることを示しました。地球の海底熱水噴出孔は生命誕生の場の有力候補であり、現在もそこで得られる熱エネルギーを使い微生物が生息しています。本発表は、生命を育みうる環境が今の太陽系にも存在することを初めて実証した研究であり、長い太陽系探査の歴史におけるエポック・メイキングな発見といえます。

なお、本研究成果は2015年3月12日付の英国科学雑誌「Nature」に掲載されました。

図1

図1.カッシーニ探査機によって撮影精された、エンセラダスの南極付近の割れ目から噴出するプリュームの写真(画像提供NASA/JPL)。

図2

図2.本研究によって明らかになったエンセラダス内部の様子。南極付近の地下に岩石コアと触れ合う広大な地下海が存在しており、海底にはおそらく広範囲に熱水環境が存在している。南極付近では地下海に由来したプリュームが噴出している (画像提供NASA/JPL)。

問い合わせ先

東北大学大学院環境科学研究科
助教 桑谷 立
電話:022-795-4859
Email:kuwatani*mail.kankyo.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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