本文へ
ここから本文です

東北大学が実験を重ねてきたモノピヴォットベアリング人工心臓ポンプが産官学研究として普及に成功

加齢医学研究所非臨床試験推進センターでは、加齢医学研究拠点のプロジェクトとして産業総合技術研究所と共同で、人工心臓の遠心ポンプシステムの開発を進めてきました。特に、最も重要な基盤技術である軸受け部分にモノピヴォットベアリングを採択することで、抗血栓性、溶血特性を飛躍的に向上させる技術開発に成功したので、この基盤技術を事業化して、病院に届けられる優れた人工心臓ポンプシステムとして製造販売を開始し、このたび販売台数が1万台を突破しました。
 大学発の産官学共同研究としての技術開発が、一般病院の臨床現場に大きく貢献できたことになります。

この遠心ポンプ型人工心臓システムは、心臓が弱った患者さんの心臓の機能を一時的に助けるための左心補助人工心臓システム、あるいは、右心補助人工心臓システム、また、心臓の手術において一時的に心臓と肺の機能を代替する体外循環システムにおける人工心臓ポンプシステムとして応用されるものです。

従来の心臓の手術においては、人工心臓システムとして、ローラーポンプなどのシステムが用いられていましたが、溶血などの問題が解決できず、大動脈手術などの複雑な手術では遠心ポンプシステムも推奨されてきました。しかしながら、 従来の遠心ポンプに使われてきた、ゴム製シートパッキンを用いたVシールシステムでは、軸封装置を用いているため摩擦、摩耗が大きく、長期の耐久性は期待できず、長期にわたる補助循環では血栓形成による塞栓症が、大きな問題になっていました。

モノピヴォットベアリングシステムは、血液接触稼働部分が、すべて独立して駆動されており、長期の抗血栓性、溶血性能を飛躍的に向上できることを東北大学が動物実験で証明してきたものです。

Enhancement of hemocompatibility of the MERA monopivot centrifugal pump:toward medium-term use. Yamane T, Kosaka R, Nishida M, Maruyama O, Yamamoto Y, Kuwana K, Kawamura H, Shiraishi Y, Yambe T, Sankai Y, Tsutsui T. Artif Organs. 2013 Feb;37(2):217-21.

この程、補助人工心臓の研究会と、1万台突破記念の祝賀会が基本設計を担当した 産業総合技術研究所で開催されました。

東北大学の、医工学技術開発研究は、今日も、心不全の患者さんの、生命を助け続けています。

問い合わせ先

東北大学加齢医学研究所
非臨床研究推進センター
教授 山家智之
電話番号:022-717-8517
E-mail:yambe*idac.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ