本文へ
ここから本文です

塩害に負けない大豆の遺伝子を発見-分子育種により耐塩性大豆品種の開発が可能に-

国立研究開発法人国際農林水産業研究センター(JIRCAS)は、国立大学法人北海道大学、国立大学法人東北大学及び中国新疆農業科学院と共同で、ブラジルの大豆品種FT-Abyaraから耐塩性を調節する遺伝子(Ncl遺伝子)を発見し、その効果を明らかにしました。Ncl遺伝子は、大豆の植物体内でNa+(ナトリウムイオン)、K+(カリウムイオン)、Cl−(塩素イオン)の輸送と蓄積を同時に調節することが分かりました。塩害畑においてNcl遺伝子を持つ大豆は高い収量を維持することが確認されたことから、従来の交配による手法で同遺伝子を既存の大豆品種に持たせることで、耐塩性大豆品種の開発が期待できます。この遺伝子は、旧名qNaCl3で2014年2月17日に特許出願(日本)、同年11月28日に特許登録済みです。研究成果の詳細は平成28年1月8日付けの英国科学雑誌Scientific Reports(Online)に掲載されました。

ポイント

  • ブラジルの大豆品種FT-Abyaraから耐塩性遺伝子(Ncl遺伝子)を発見し、この遺伝子はNa+、K+、Clを同時に調節することを明らかにしました。
  • Ncl遺伝子は塩害畑でも高い大豆収量を維持できます。
  • Ncl遺伝子を従来の交配による手法で既存の大豆品種に効率的に導入することにより、耐塩性大豆品種の開発ができます。
  • 塩類土壌が問題になっている世界の多くの地域での大豆の安定的な生産に貢献することが期待されます。

Ncl遺伝子を塩感受型の大豆品種カリユタカで過剰に発現させることにより耐塩性が向上(図右)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

生命科学研究科広報室 
半澤栄子
Tel:022-217-6193 
Fax:022-217-5704
E-mail:lifsci-pr*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ