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フィリピン共和国50kg級衛星「DIWATA-1」の完成とJAXAへの引き渡し

東北大学、北海道大学、フィリピン科学技術省及びフィリピン大学ディリマン校は、フィリピン共和国の第1号超小型衛星となる「DIWATA-1」の開発を完了し、2016年1月13日、JAXA筑波宇宙センターにおいて、国際宇宙ステーションの「きぼう」からの放出を担当するJAXAへの引き渡しを行いました。またそれに合わせて、フィリピン科学技術省事務次官らを招いた記者会見を開催し、日本側22社、フィリピン側2社のメディアの参加がありました。 DIWATA-1衛星の名前の由来は、フィリピン語の妖精を意味するdiwata(ディワタ)から来ています。同衛星は、東北大学、北海道大学、フィリピン科学技術省及びフィリピン大学ディリマン校が共同開発した50kg級の超小型衛星で、2016年前半に「きぼう」からの放出を予定しております。日本国内で開発・製作された外国の50kg級超小型衛星としては、初めて宇宙に打ち上げられるものです。

フィリピン科学技術省と東北大学及び北海道大学は、2015年1月より3年間の衛星開発プロジェクトを進めており、その中でフィリピン大学及びフィリピン科学技術省の研究所から若い技術者を大学院生・研究生として受け入れ、衛星開発および利用の方法を教えながら、2機の超小型衛星を製作しています。このプロジェクトにかかる予算(総額約8億円)は、全てフィリピン科学技術省によって賄われています。同衛星には、魚眼カメラから地上解像度3mの望遠鏡まで、倍率の異なる4種類の撮像装置が搭載されており、台風や集中豪雨等の気象災害の監視から、農業、漁業、森林、環境モニターなど、多様なリモートセンシングに活用される予定です。特に、北海道大学と東北大学が2014年に打上げた「雷神2」衛星に搭載された液晶スペクトルカメラの改良型は、大型衛星を含め世界最高クラスの590バンドでの撮像が可能であり、次世代の安価で高精度な宇宙利用を拓くものと期待されます。現在、米国のIT企業などによって、数百から数千機の超小型衛星を数年以内に打ち上げる計画が掲げられ、その中で高解像度リモートセンシングも大きな目的のひとつになっています。こうした激しい国際競争の中で、日本が存在感を示すには、雷神2やDIWATA-1のような高度な計測技術とそれによって得られたデータの利用こそが鍵になると考えています。

東北大学と北海道大学は東南アジアを中心とするアジア約10カ国と、超小型衛星の開発・利用を推進するコンソーシアムの調印作業を進めています。将来的にそれらの国々と協力で約50機を打上げ、連携運用する構想を3年ほど前から提唱・推進してきており、DIWATA-1はその構想における大きな一歩と言うこともできます。

2016年1月13日 記者会見 於JAXA筑波宇宙センター
右から、吉田和哉教授(東北大学)、高橋幸弘教授(北海道大学)、浜崎敬理事(JAXA)、Amelia P. Guevara事務次官(フィリピン科学技術省)、Rowena Cristina L. Guevara事務次官(フィリピン科学技術省)、Fidel Nemenzo副学長(フィリピン大学ディリマン校)、Joel Joseph S. Marciano教授(フィリピン大学ディリマン校・プロジェクト責任者)、Gilberto G.B. Asuque次席大使(フィリピン共和国大使館)

2016年1月13日
「DIWATA-1」衛星を囲む日本側及びフィリピン側スタッフ 於JAXA筑波宇宙センター

問い合わせ先

東北大学工学研究科・工学部
情報広報室
TEL:022-795-5898
E-mail:eng-pr*eng.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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