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脳に栄養を与えるタンパク質の遺伝子変異 ~脳機能イメージング装置を用いて解明~

東北大学加齢医学研究所・認知機能発達(公文教育研究会)寄附研究部門(川島隆太教授)は、磁気画像共鳴装置(MRI)を用いて、小児の脳形態や脳機能の発達を明らかにすると共に、遺伝子がそれらに影響を与えるかを解明しています。

この度、同部門の橋本照男助教・川島隆太教授らのグループは、小児の横断および縦断追跡データを用いて、脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophic Factor)遺伝子多型が、認知機能や脳形態の変化とどう関連しているかを解析し、BDNF遺伝子の変異型が発達期の脳の後頭-頭頂領域の体積や処理速度に好影響を与えていることを明らかにしました。

BDNFは神経細胞に栄養を与えるタンパク質で、欧米の研究では、その生成に関わる遺伝子の変異型をもつ人ではそのタンパク質の生成量が少なくなり、精神疾患を含め多くの悪影響があるとされてきました。アジアではその変異型遺伝子を持つ人の割合が高いのですが、 その遺伝子の影響を子どもで検討したところ、むしろ認知機能や脳の発達に好影響がある部分があり、負の影響はそれほどありませんでした。これらの結果は、子どもにおいては前例が無いものである一方、近年の大規模な成人における研究結果とも一致しており、従来の見方に再考を迫るものです。

脳画像解析、大規模なデータ、数年の期間をおいた縦断解析といった手法を用いて脳の発達や可塑性に重要な影響があるタンパク質合成に関わる遺伝子と、子どもの脳構造と認知機能との関係を新たに明らかにした点などから、従来にない画期的な研究成果として、英国科学雑誌Cerebral Cortexに採択されました。論文は2016年1月31日発行の同誌に掲載されました。

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問い合わせ先

東北大学加齢医学研究所
認知機能発達寄附研究部門
助教 橋本 照男(はしもと てるお)
電話番号:022-717-8457
電子メール:teruo.hashimoto.d2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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