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10ΛBeハイパー原子核の精密測定に成功 ー従来のハイパー核束縛エネルギーの基準に見直しを迫る!

東北大学大学院理学研究科中村哲教授、後神利志博士(元東北大学大学院生、現京都大学特定研究員)、ハンプトン大学リグアン・タン教授、フロリダ国際大学ヨーク・ラインハルト教授らによる国際共同研究チームは米国ジェファーソン国立研究所において高エネルギー・高品質の電子線を同位体濃縮されたホウ素(10B)標的に照射することで、"奇妙さ量子数"を持つラムダ粒子を原子核内に作り出し、10ΛBeハイパー核(陽子が4つ、中性子が5つ、ラムダ粒子が1つの合計10個の重粒子からなる原子核)の質量の精密測定分光に成功しました。

この成果は原子核を束縛する力の重要な性質である「荷電対称性」について新たな知見を与えます。さらに得られた結果と過去に測定されたラムダハイパー核のデータを比較・検討することにより、パイ中間子ビームを使ってこれまでに測定された数多くのラムダ粒子束縛エネルギーに見直しが必要であろうという極めて重要な情報をもたらしました。

本研究の結果は、2016年3月10日に米国の物理専門誌「Physical Review CTM」にオンライン出版されました。また、同誌に掲載された記事の中で特に重要かつ興味深い成果であるとして editor's suggestion(注目論文)にも選ばれました。

スペクトロメータ組み立て中に集合したHKSコラボレーションメンバー(一部)およびジェファーソン研究所技師らと撮影したグループ写真。

測定に使用した大型磁気分光器HKS(高分解能K中間子スペクトロメータ,右)とHES(高分解能電子スペクトロメータ、左)。両スペクトロメータの主なパーツである大型電磁石(HKS磁石は200トン以上の重さ)は全て日本において設計、製作、テストの上、米国へ輸出、組み立てました。右側に見える作業中の技師と比べれば装置の大きさが分かります。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関して>
東北大学大学院理学研究科
教授 中村 哲(なかむら さとし)
電話:022-795-6453
E-mail:satoshi.nakamura.a7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関して>
東北大学大学院理学研究科
特任助教 高橋 亮(たかはし りょう)
電話:022-795-5572、022-795-6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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