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高齢者医療における安全な漢方薬治療ガイドラインを初めて作成 ‐漢方を専門としない医師でもエビデンスに基づいた漢方薬治療が可能に‐

東北大学病院漢方内科(石井正科長)の高山真准教授らのグループは、日本老年医学会がまとめた「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」の漢方薬治療の章を担当しました。科学的根拠に基づいた、世界でも初めての漢方薬に関する高齢者の診療ガイドラインであり、今後、エビデンスに基づいた漢方薬の適正使用が広がっていくことが期待されます。

1500年以上前から脈々と受け継がれてきた中国を起源とする漢方は、これまで経験医学と言われ、診療においての根拠が乏しいという解釈が大半を占めていました。20世紀末になると漢方薬が著効した症例の報告が増加し、徐々に臨床研究が行われるようになり、21世紀に入り信頼性の高いランダム化比較試験などによる臨床研究が多数行われるようになってきていました。しかし、これまでに報告された臨床研究を吟味して論文の内容を評価し、これに基づいて診療ガイドラインを作成するという試みは行われていませんでした。そこで今回、科学的根拠に基づいて診療ガイドラインを作成するために世界的に普及しているGRADEシステムを取り入れ、臨床研究の質をも評価し、漢方薬に関する診療ガイドラインを歴史的にみても初めて作成しました。漢方薬の使用について診療ガイドラインに記載されたことにより、一般診療において漢方治療の手引きとなります。これにより、適正使用が広がること、漢方を専門としない医師が必要に応じて漢方専門医に相談すること、などが明確化されました。

本研究結果は、英文誌「Geriatrics & Gerontology International」にSystematic review of traditional Chinese medicine for geriatricsのタイトルで2016年6月7日に掲載されました。また、ガイドライン全体の研究結果は、同英文誌にReport of the committee: Screening Tool for Older Persons' Appropriate Prescriptions in Japanese (STOPP-J) - Report of the Japan Geriatrics Society Working Group on "Guidelines for Medical Treatment and its Safety in the Elderly"のタイトルで公開予定(2016年6月30日投稿受理)となっています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

漢方薬イメージ

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学病院 総合地域医療教育支援部・漢方内科
准教授 高山 真
電話番号:022-717-7507
Eメール:takayama*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道担当)
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7149
ファックス:022-717-8931
Eメール:pr*hosp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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