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多孔質グラフェン電極の量産化が視野に-金属を使用しない水素発生装置への展開に期待

東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)の伊藤良一准教授、陳 明偉教授と阿尻雅文教授らは、ワンステップで大量作製が可能な3次元構造をもつ多孔質グラフェン作製手法を開発し、またその多孔質グラフェンから水素発生電極を作製することに成功しました。
 現在水素は二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーとして注目されており、さらに再生可能エネルギー電力を貯蔵・運搬するエネルギーキャリアの有力候補として期待されています。しかし、水素を発生させるために必要な水の電気分解装置は高価で希少な白金を水素発生電極として使用しており、より安価な代替電極の開発が望まれています。
 本研究グループは、ニッケルナノ粒子を加熱することで多孔質化しそのまま連続してグラフェンを蒸着させるという新たな多孔質グラフェンの作製法を開発することで、作製工程とコストを削減することに成功しました。また曲率半径50ナノメートルで曲がったグラフェンの格子が化学ドーパントを吸収しやすい特性を利用して従来の2~3倍以上の化学元素種をドープする手法を開発し、従来のグラフェンでネックだった触媒特性の改善を行いました。この新たな多孔質グラフェンを用いることで効率よく水素を発生させる電極を開発しました。本グラフェン電極は、白金を使用しないことから安くて環境負荷が少なく、また大量生産への移行が視野に入るため、低コストな水の電気分解装置用電極への展開が期待されます。
 本研究成果は、2016年10月10日(ドイツ時間)発行のドイツ科学誌「Advanced Materials」オンライン速報版で公開されました。

ナノ粒子を加熱することで多孔質化しそのまま連続してグラフェンを蒸着する工程

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問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 
准教授 伊藤良一
Tel:022-217-5926 
E-mail:ito*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学 原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR)
広報・アウトリーチオフィス 
皆川 麻利江
Tel:022-217-6146 
E-mail:aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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