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メマンチンは脳インスリンシグナルを改善する -アルツハイマー病の糖尿病仮説の実証-

東北大学大学院薬学研究科の森口茂樹講師、福永浩司教授らの研究グループはアルツハイマー病治療薬であるメマンチンが脳インスリンシグナルを改善することを発見しました。

日本の認知症患者は462万人(2013年6月(厚生労働省))と推定され、認知症予備軍である軽度認知障害の高齢者も400万人存在します。現在、アルツハイマー病治療薬はドネペジル(アリセプト)に代表される3種類のアセチルコリンエステラーゼ阻害薬とNMDA受容体阻害薬であるメマンチン(メマリー)が承認されていますが、根本治療薬はありません。メマンチンは2011年に承認された最新の治療薬であり、脳に局在するNMDA受容体を阻害し、グルタミン酸による興奮性神経伝達の過剰興奮を抑え、シナプス伝達ノイズを除去すると考えられています。私達はメマンチンが脳内インスリンシグナルに関わるATP感受性カリウムチャネル(Kir6.1/Kir6.2チャネル)を阻害することを発見しました。ATP感受性カリウムチャネルは糖尿病治療薬であるスルホニル尿素系薬剤(グリベンクラミドなど)が作用するカリウムチャネルです。本研究では、アルツハイマー病治療薬メマンンチンが脳のインスリンシグナルを改善することを示しています。本研究成果はアルツハイマー病の「脳糖尿病仮説」を実証した初めての成果であり、脳のKir6.2チャネルが新しいアルツハイマー病治療薬の創薬ターゲットであることを示しました。

本成果は2016年10月25日(日本時間26日)にMolecular Psychiatry誌(電子版)に掲載されました。本研究は、文部科学省科学研究費助成事業及び日本医療研究開発機構AMEDの支援を受けて行われました。

研究図画

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問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科
教授 福永浩司
電話:022-795-6836
E-mail:kfukunaga*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

講師 森口茂樹
電話:022-795-6837
E-mail:shigeki*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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