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メラニン色素を可視化する新規ツールM-INKを開発 -メラノサイトからケラチノサイトへのメラニン色素受け渡しの仕組み解明に期待-

ポイント

  • ケラチノサイトに受け渡されたメラニン色素を効率よく観察することはこれまで困難
  • ケラチノサイト内のメラニン色素を可視化する新しいツール(M-INK(エム インク))を開発
  • M-INKを用いてメラノサイトからケラチノサイトに受け渡されたメラニン色素を3次元的に観察することに成功

概要

国立大学法人東北大学は、メラニン色素を可視化する新しいツールの開発に成功しました。これは、東北大学大学院生命科学研究科の石田森衛博士(日本学術振興会特別研究員PD)、福田光則教授らによる研究成果です。
 有害な紫外線からわたしたちの体を守るメラニン色素は、メラノサイトの内部に存在するメラノソームと呼ばれる特殊な小胞(袋)の中で合成されています。メラノサイト内で形成されたメラノソームは、隣接する皮膚を作る細胞・ケラチノサイトへと受け渡され、そこで沈着することによって肌の暗色化(日焼け)が起こります。メラノサイト内でのメラノソームの輸送の仕組みに関しては、ここ十年ほどでかなりの部分が解明されましたが、メラノサイトからケラチノサイトにどのようにメラノソームが運ばれるのかは未だ謎に包まれています。メラノサイト内のメラノソーム輸送に比べ解析が遅れている理由の一つとして、ケラチノサイトに受け渡されたメラノソームのみを効率良く顕微鏡で観察することが困難であることが挙げられます。メラノサイト内のメラノソームを観察する抗体などのツールは幾つか知られていますが、残念ながらこれらのツールではケラチノサイト内のメラノソームを効率良く認識することができませんでした。
 今回、研究グループはメラノソーム輸送を行う新規分子の探索過程で、偶然ケラチノサイトのメラノソームも認識できる分子を見出し、メラニン色素を可視化する『M-INK』と名付けて新しいツールの開発に成功しました。今回のM-INKの開発により、ケラチノサイトに受け渡されたメラニン色素を3次元的に観察することが可能となり、メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの受け渡しの分子機構の解明が飛躍的に進むことが期待されます。
 本研究成果は、日本生化学会の国際英文誌『The Journal of Biochemistry』の電子版(2017年1月17日付)に掲載されました。

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メラノサイトからケラチノサイトへのメラノソームの輸送の概要(日焼けの過程)

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 福田 光則(ふくだ みつのり)
電話番号:022-795-7731(or 022-795-3641)
Eメール:nori*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか
電話番号:022-217-6193
Eメール:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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