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唾液腺の中に樹状細胞を発見 ‐唾液腺の健康を維持する仕組みの解明に期待‐

東北大学大学院歯学研究科の菅原俊二教授(口腔分子制御学分野)らのグループは、唾液腺の中に、生体防御機構で司令塔として中心的な役割を担う樹状細胞を発見しました。

唾液は口の持つ本来の働きを十分に機能させ、健康を維持する上で非常に重要な分泌液です。唾液腺はこの唾液を産生・分泌する重要な臓器で、唾液腺の機能低下は、唾液分泌低下となり「口腔乾燥症」を引き起こします。唾液腺を健康に維持するために、唾液腺特有の防御免疫が働いていますが、不明な点が多く残されています。免疫機構をコントロールする働きをもつ抗原提示細胞には樹状細胞とマクロファージがあり、唾液腺には「マクロファージが存在する」が「樹状細胞はいない」と理解されていました。

本研究により、唾液腺には1型と2型の二つのタイプの樹状細胞が存在し、唾液腺1型樹状細胞は異物であるタンパク質抗原をクロスプレゼンテーションする能力があることが動物実験で明らかになりました。本研究は、唾液腺樹状細胞が唾液腺の健康維持に重要な働きをしていることを示すものであり、唾液腺の感染防御機構やシェーグレン症候群など唾液腺疾患の発症機序の解明にも大きく貢献することが期待されます。

この成果は、欧州免疫学会誌「European Journal of Immunology」2017年2月号に掲載されました。

研究のポイント

  • 唾液腺の中に、1型と2型の樹状細胞を発見した。
  • 唾液腺の1型樹状細胞は抗原クロスプレゼンテーション能をもっていた。
  • この樹状細胞の数と機能をコントロールすることにより、唾液腺の生体防御機能を増強できるかもしれない。

唾液腺の樹状細胞の分化と機能
唾液腺の樹状細胞は骨髄にある前駆細胞からFlt3L(樹状細胞増殖因子)依存的に1型と2型に分化する。1型樹状細胞は抗原をクロスプレゼンテーションしナイーブCD8+ T細胞を活性化する。一方、唾液腺マクロファージは骨髄の単球から分化する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院歯学研究科
口腔分子制御学分野
教授 菅原 俊二(すがわら しゅんじ)
Tel:022-717-8320
E-mail:shunji.sugawara.d5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院歯学研究科
総務係
堀田 さつき(ほりた さつき)
Tel:022-717-8244
E-mail:den-syomu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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