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ありふれた炭化水素から特異な磁気状態「スピン液体」を発現 -安価な物質を量子コンピュータ、超伝導などの高性能材料へ-

東北大学材料科学高等研究所(AIMR)のコスマス・プラシデス教授、高林 康裕助教と英国リバプール大学化学科のマシュー・ロゼインスキー教授らによる国際共同研究グループは、化学反応によって炭化水素分子に電子を導入することで、磁石のもととなるスピンが液体のようにふるまう「スピン液体」と呼ばれるきわめて珍しい状態を作り出すことに成功しました。

スピン液体は1973年に理論的に予測された現象ですが、実験によって、この特異な現象を実現することはきわめて難しく、四半世紀にわたって、多くの研究者が「スピン液体を発現する物質」の探索を進めて来ました。現在でもその候補となる物質はほんの数例のみという状況です。今回の成果は、炭化水素というごくありふれた物質によるスピン液体状態の発現であり、安価で身の回りにありふれた物質が高性能な電子材料、磁気材料に使える可能性が示されたことになります。

この研究成果は2017年4月24日(西ヨーロッパ時間)にNature Chemistryに連続する2つの論文として掲載されました。同じ研究グループによる成果が2報連続して掲載されることはきわめて珍しく本研究の重要性を示しています。

図1

通常の磁石とスピン液体の違い.
矢印で示すのは、電子スピンと呼ばれる極微小な方位磁針のような磁石のもととなる成分です。(左)通常の磁石においては、室温ではスピンが回転し続け様々な方向を向いていますが、低温にするとある方向に向きを揃えて並びます。(右)一方で、スピン液体状態においては、温度の下限である絶対零度(−273℃)においても激しく動き続け、静止しません。
© 2017 Kosmas Prassides

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問い合わせ先

<研究に関すること>
(英語でのお問い合わせ)
Kosmas Prassides(コスマス・プラシデス)
東北大学材料科学高等研究所(AIMR)教授
TEL : 022-217-5994
E-mail : k.prassides*wpi-aimr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(日本語でのお問い合わせ)
高林 康裕
東北大学材料科学高等研究所(AIMR)助教
TEL : 022-217-5954
E-mail : yasuhiro.takabayashi.e4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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