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肺動脈性肺高血圧症の治療薬ボセンタンの作用機構を解明

発表のポイント

  • 肺動脈性高血圧の治療薬ボセンタンと、ヒト由来エンドセリン受容体B型の複合体の、立体構造を決定しました。
  • 立体構造からボセンタンと受容体の相互作用の詳細を明らかにし、受容体の構造変化を抑えることによって、阻害薬として機能できることを明らかにしました。
  • 本研究は新たなエンドセリン受容体阻害薬の開発につながることが期待されます。

研究概要

 エンドセリン受容体は、ヒトの全組織で発現しており、体内の血圧や水分濃度の調整、細胞増殖など多岐にわたる生理現象に関わっています。エンドセリン受容体の異常な活性化は高血圧やがん、慢性腎不全につながるため、こうした疾患に対する治療薬としてエンドセリン受容体阻害薬の開発が進められています。実際に、ボセンタンという拮抗薬が肺動脈性肺高血圧症に対する治療薬として使われています。

 今回、東京大学大学院理学系研究科の志甫谷渉日本学術振興会特別研究員、西澤知宏助教、濡木理教授、名古屋大学の藤吉好則客員教授、京都大学の土井知子准教授らの研究グループは、阻害薬ボセンタンおよびその誘導体が結合したヒト由来エンドセリン受容体B型の結晶構造を決定しました。結晶構造から、阻害薬の結合様式を詳細に解明し、それがエンドセリン受容体A型でも保存されていることを明らかにしました。本研究成果は、構造情報を元にしたエンドセリン受容体に対する薬剤の理論的な開発に役立つと考えられます。

図 阻害薬ボセンタンの作用機序

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問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科
担当 青木 淳賢
電話:022-795-6860
E-mail:jaoki*mail.pharm.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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