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地震発生周期解明の手掛かりとなる地球化学プロセスの計算モデル構築-石英脈の形成が地震の発生周期に関係している可能性を提唱-

 この度、国立研究開発法人産業技術総合研究所再生可能エネルギー研究センターの最首花恵研究員は、同研究所活断層・火山研究部門の大坪誠主任研究員、国立大学法人東北大学大学院環境科学研究科の岡本敦准教授らの研究グループとともに、過去のプレート境界近傍での巨大分岐断層沿いに形成している石英脈を調査し、地震が起こった時にできた亀裂が、その後に流体から析出するシリカ(石英)によって閉塞するまでの時間を見積もることに成功しました。

 研究グループは、独自のアイデアに基づき、シリカの析出と流体流動を組み合わせた新しいモデルを作成し、過去の分岐断層である九州の延岡衝上断層周辺の石英脈に適用しました。その結果、プレート境界の深さ10km程度の条件において、亀裂が石英の析出によって閉塞する時間スケールは、平均的なサイズで6から60年、大きなものでも300年程度であることがわかりました。今回明らかになった石英脈形成の時間スケールは、南海トラフなどの巨大分岐断層で発生する巨大地震の繰り返し周期と調和的であり、石英の析出反応による岩石亀裂の閉塞が巨大分岐断層の活動をコントロールする一因である可能性を示唆しています。

 岩石亀裂の閉塞は間隙流体圧の上昇に寄与し、実効的な断層強度に影響を与えると考えられるため、地下深部での岩石特性の時間変化を見積もった今回の研究成果は、今後の地震活動周期の予測につながるものと期待されます。

 この成果は、2017年10月17日10時付け(英国時間)にScientific Reports誌にオンライン版で先行公開されました。

岩石亀裂を石英が埋めるまでの時間の計算結果(左)と石英脈の顕微鏡写真(右)

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問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科先進社会環境学専攻
准教授 岡本 敦(おかもと あつし)
TEL:022-795-6334
E-mail:okamoto*mail.kankyo.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院環境科学研究科広報室
助手 物部 朋子(ものべ ともこ)
TEL:022-752-2233
E-mail:tomoko.monobe.d4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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