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骨融解症候群の発症分子メカニズムを解明 ‐骨粗鬆症治療への応用に期待‐

 東北大学大学院歯学研究科先端再生医学研究センターの福島 秀文 准教授、犬塚 博之 准教授、福本 敏 センター長らのグループは、常染色体優性の先天性骨融解症であるHajdu-Cheney 症候群の病態発症分子メカニズムを同定しました。Hajdu-Cheney 症候群は、末節骨の骨吸収、進行性の骨粗鬆症、頭蓋骨変形がみられる難病で、現在のところ確立された治療法が明らかになっていません。本研究により、本症候群や骨粗鬆症治療法の開発に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、米国東部時間の2017年11月16日に米科学雑誌であるMolecular Cell 誌(電子版)に掲載されました。

ポイント

  • Hajdu-Cheney 症候群の原因遺伝子であるNOTCH2の疾患変異体は、ユビキチン化と呼ばれる翻訳後修飾に依存的なタンパク質分解から免れていることが明らかになりました。
  • Hajdu-Cheney 症候群患者の破骨細胞のもととなる末梢血細胞で、骨形成過程における骨の破壊(骨吸収)に重要なNOTCH2タンパク質が異常に蓄積していることを発見しました。
  • NOTCH2 の分解を抑制するマウスを作製して解析を行ったところ、 Hajdu-Cheney 症候群を模倣した骨粗鬆症様の表現型が観察されました。さらに、本マウスに NOTCH2 の働きを阻害する薬剤を投与したところ、マウス骨密度の回復が認められました。

本研究のまとめ
正常のNOTCH2はFBW7によるユビキチン化依存的なタンパク質分解機構により、その発現量が一定に保たれているが、Hajdu-Cheney型変異体は分解を受けることができず、細胞内にNOTCH2タンパク質が蓄積し、破骨細胞分化が亢進して異常な骨吸収を引き起こす。

論文題目
Title: NOTCH2 Hajdu-Cheney Mutations Escape SCFFBW7-Dependent Proteolysis to Promote Osteoporosis
Authors: Hidefumi Fukushima, Kouhei Shimizu, Asami Watahiki, Seira Hoshikawa, Tomoki Kosho, Daiju Oba, Seiji Sakano, Makiko Arakaki, Aya Yamada, Katsuyuki Nagashima, Koji Okabe, Satoshi Fukumoto, Eijiro Jimi, Anna Bigas, Keiichi I Nakayama, Keiko Nakayama, Yoko Aoki, Wenyi Wei, Hiroyuki Inuzuka
Journal: Molecular Cell
Published date: November 16, 2017
日本語タイトル: NOTCH2 Hajdu-Cheney変異体のSCF/FBW7依存的分解機構からの逸脱が骨粗鬆症状態を引き起こす。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科先端再生医学研究センター
准教授 福島 秀文(ふくしま ひでふみ)
電話:022-717-8308/022-717-8256
E-mail:hidefumi.fukushima.b7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
総務係 堀田 さつき(ほりた さつき)
電話:022-717-8244
E-mail:den-syom*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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