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筋肉をまとった有機電極で健康ホルモン分泌をコントロール-「運動すると健康になる」を培養筋肉で再現-

発表のポイント

  • 筋肉細胞で包まれた伸縮性の有機電極を開発しました。
  • 筋肉細胞が収縮するときの健康ホルモンの分泌を電気でコントロールできます。
  • 運動と健康をつなぐ健康ホルモンの作用の一例を、この培養筋肉を使って再現することに成功しました。
  • 本成果は、運動による健康効果のメカニズム解明、更にはエクササイズピル(運動効果をもたらす薬)の開発につながります。

概要

 東北大学大学院工学研究科の西澤松彦 教授と長峯邦明 准教授(現 山形大学)のグループは、伸縮性の有機電極ワイヤーを開発し、筋肉(骨格筋)の細胞で包むことに成功しました。この電極ワイヤーは導電性高分子PEDOTとポリウレタンの複合体で、高容量(10mF/cm2以上)であるため、細胞を傷つけない安全な電気刺激によって、筋肉運動の質(強度)や頻度を自在にコントロール出来ました。研究グループは、この筋肉-電極ワイヤーを用いて、運動時に放出される筋肉ホルモン(マイオカイン)が白血球を引き寄せることを実証しました。

 最近、様々なメディアで頻繁に紹介されているように、筋肉はマイオカインによって体全体の健康を調節しており、運動には肥満や糖尿病など様々な病気への治療効果が知られています。筋肉-電極ワイヤーによる実験は、運動効果のメカニズム解明、更にはエクササイズピル(運動効果をもたらす薬)の開発につながります。また、筋肉以外の細胞への刺激にも有効なため、将来的にはヒトの全身機能を電気制御するサイボーグ技術への貢献が期待できます。

 本研究は、2018年2月2日にNature Publishing Groupの電子版科学誌「Scientific Reports」にオンライン版で公開されました。

論文情報
"Contractile Skeletal Muscle Cells Cultured with a Conducting Soft Wire for Effective, Selective Stimulation"
K. Nagamine, H. Sato, H. Kai, H. Kaji, M. Kanzaki, M. Nishizawa, Scientific Reports, DOI: 10.1038/s41598-018-20729-y.外部サイトへ

筋肉に包まれた有機電極ワイヤー

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院工学研究科
ファインメカニクス専攻
西澤 松彦(ニシザワ マツヒコ)(教授)
TEL/FAX:022-795-7003
E-mail:nishizawa*biomems.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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