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一人二役:タンパク質のスマートな使い方を発見‐BACH1タンパク質は遺伝子ON/OFF制御と染色体分配の両方に関わる‐

東北大学大学院医学系研究科生物化学分野の李 ショウ博士、島 弘季博士、五十嵐 和彦教授らのグループは、近畿大学生物理工学部食品安全工学科の白木 琢磨准教授、東北大学加齢医学研究所の田中 耕三教授らとの共同研究により、BACH1タンパク質の一人二役の機能を発見しました。
 これまで、遺伝子ON/OFF制御では、転写因子と呼ばれる一群のタンパク質が、細胞分裂時の染色体分配では、分配に特化したタンパク質群が、それぞれ関わることが知られていました。本研究では、転写因子であるBACH1タンパク質が遺伝子ON/OFF制御だけでなく染色体分配にも働くこと、そしてこの2つの機能を使い分けるスイッチを発見しました。
 本研究は、1つのタンパク質に2つの役割を与えることで細胞の多彩な現象が作り出されるスマートな仕組みを解明したものであり、癌など様々な疾患の理解につながることが期待されます。
 本研究の成果は2018年3月15日に英国生化学会の学術誌Biochemical Journalに掲載されました。

ポイント

  • BACH1タンパク質が遺伝子ON/OFF制御と染色体分配の両方に関わることを発見した。
  • 細胞分裂時にはBACH1が修飾(リン酸化)され、その機能が切り替わる。
  • BACH1の一人二役の機能とその切り替えの仕組みを明らかにした重要な報告であり、癌など様々な疾患の理解につながることが期待される。

間期と分裂期のBACH1タンパク質の使い分け

間期ではBACH1のあるドメインがタンパク質と結合して遺伝子発現を制御する。分裂期には別のドメインがリン酸化され新たなタンパク質のネットワークと結合し、染色体分配の方向を制御する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科生物化学分野
教授 五十嵐 和彦(いがらし かずひこ)
電話番号:022-717-7596
Eメール:igarashi*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
講師 稲田 仁(いなだ ひとし)
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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