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細胞内に自発的に入る無毒性の蛍光ナノゲル温度計を開発

東北大学大学院薬学研究科の徳山英利教授らは、東京大学大学院薬学系研究科の内山聖一助教らのグループ、奈良先端科学技術大学院大学の稲田のりこ准教授(当時)らのグループ、キリン株式会社R&D本部基盤技術研究所との共同で、細胞内移行能を持ち細胞毒性の極めて少ない、新規のポリマーナノゲル粒子を開発しました(図1)。開発した温度応答性のポリマーナノ粒子は、混ぜるだけで細胞内に移行する性質を持ち、様々な種類の細胞の中の温度を計測できるナノゲル温度計として働きます。さらに、細胞分裂や細胞の分化といった細胞のふるまいを阻害せずに、安定に細胞内に保持されることも分かりました。細胞内移行性と低毒性を兼ね備えた粒子の開発は、医療や創薬といった様々な分野で求められていました。徳山教授らは、イミダゾリウム骨格を有するカチオン性ラジカル重合開始剤(図2、注1)を新たに開発し、これを粒子合成法に用いることで、温度応答性ポリマーナノゲル粒子の開発を実現しました。開発した重合開始剤はラジカル重合で合成可能な多くのポリマー合成に応用できるため、今後の機能性粒子の創出に大きく寄与することが期待されます。

本研究成果は、2018年5月4日に、Angewandte Chemie International Edition誌に掲載されました。

図1:カチオン性ラジカル重合開始剤を用いて合成したナノゲル温度計の概要

図2:新たに開発したカチオン性ラジカル重合開始剤の構造。カチオン性部位としてイミダゾリウム骨格を有するアゾ化合物を開発した。この化合物は、加熱条件下、熱分解によりラジカル種を発生させ、ラジカル重合反応が始まります。

(注1)ラジカル重合開始剤:加熱条件下、熱分解によりラジカル種を発生さてラジカル重合反応を開始させる試薬。ラジカル重合開始剤としては、アゾ化合物と有機過酸化物アゾ化合物が、よく用いられる。

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問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科
医薬製造化学分野
教授 徳山英利
TEL:022-795-6887
FAX:022-795-6877
E-mail: tokuyama*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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