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史上初、太陽系の果てに極めて小さな始原天体を発見 ―宮古島の小さな望遠鏡が太陽系誕生の歴史と彗星の起源を明らかに―

【発表のポイント】

  • 地球から約50億km離れた太陽系の果て「エッジワース・カイパーベルト」に、太陽系最古の始原天体「微惑星」の生き残りと考えられる半径約1kmの小天体を史上初めて発見(図1a, 図2)。
  • こうした天体は巨大望遠鏡を用いても小さく暗すぎて観測不可能だったが、宮古島に設置した超低コストな小型望遠鏡(図1b)を用いて掩蔽(えんぺい)という天文現象を検出し、観測に成功。
  • 今回の発見は、小さなサイズの始原天体が現在の太陽系の果てに大量に生き残っており、それらが彗星の起源になっていることを示唆する初の観測結果である。

【概要】

京都大学の有松 亘(ありまつ こう)研究員1を中心とする研究グループは、沖縄県宮古島市にて実施した小型望遠鏡を用いた観測によって、太陽系外縁部「エッジワース・カイパーベルト」に惑星の形成材料である始原天体「微惑星」の生き残りと推定される極めて小さなサイズ(半径およそ1km)の天体を史上初めて発見しました。今回発見されたサイズの天体は太陽系外縁部に大量に分布していると推定され、彗星の供給源として70年以上前から存在が予見されていましたが、すばる望遠鏡などの巨大望遠鏡を用いても直接観測が不可能だったため発見例がありませんでした。

本研究成果は2019年1月28日(日本時1月29日)発行の英国の科学専門誌『Nature Astronomy』オンライン版に掲載されます。

1元国立天文台研究員

a

b

[図1] (a)本研究によって史上初めて発見された、微惑星の生き残りと推定される半径約1.3kmの小型カイパーベルト天体の想像図。(b)巨大望遠鏡でも直接観測不可能な小型カイパーベルト天体を発見した宮古島の口径28cm小型望遠鏡(OASES観測システム)
Credit: Ko Arimatsu

[図2] 今回発見されたカイパーベルト天体(半径およそ1.3km)の想像図と、主要なカイパーベルト天体との大きさの比較。図中では直接観測によって発見された既知のカイパーベルト天体の中で最大級のサイズを持つ冥王星(半径1185km)および最小クラスのサイズを持つ「2014 MU69」(ニューホライズンズが探査した天体、長径およそ30km)を比較対象に示す。いずれの天体も今回発見されたような微小な天体が衝突・合体を経て成長した姿であると推定される
Credit: 冥王星: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute/Ian Regan を改変, 2014 MU69: NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Southwest Research Institute を改変, その他: Ko Arimatsu

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

〈研究内容に関すること〉
東北大学 学際科学フロンティア研究所 (兼任 大学院理学研究科天文学専攻)
助教 津村 耕司(つむら こうじ)、 助教 市川 幸平(いちかわ こうへい)
Tel : 022-795-6608
E-mail : tsumura*astr.tohoku.ac.jp, k.ichikawa*astr.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

〈報道に関すること〉
東北大学 学際科学フロンティア研究所
URA 鈴木 一行(すずき かずゆき)
Tel:022-795-4353
E-mail:suzukik*fris.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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