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不安や恐怖の感じ方に性差はあるか 分界条床核における性差

【発表のポイント】

  • 不安や恐怖の神経情報を処理する神経核にメス優位な性差の発見
  • 分界条床核内のストレスホルモンはメスに多く発現することが明らかに
  • 不安障害の成因解明への架け橋に

【概要】

われわれを含め、動物は不安や恐怖を感じると、心拍数が上昇するとともに、置かれたその環境から回避したり、物陰に身をすくめたりします。危機を感じさせるような状況下での瞬時判断は、脳内の複数の神経集団が協調して処理・決定していますが、その中でも扁桃体や分界条床核とよばれる神経集団の働きが重要になります。今回の研究から分界条床核の中に、オスよりもメスで大きな領域(体積ならびにそこに含まれる神経細胞数)が見つかりました。また、この領域にはストレスホルモンも存在しますが、このホルモンを含んでいる神経細胞数もメスで多く観察されました。近年、増加の一途をたどる不安障害は女性に多い傾向がありますが、こうした神経構築やストレスホルモンの発現の差が罹患率の性比に影響している可能性があります。

図1 分界条床核の概略図
分界条床核(the bed nucleus of the stria terminalis, BNST)は複数の異なる神経集団(亜核)から構成されており、尾側に位置する主核の体積はメスとくらべてオスで大きく、またニューロンの数も多いため、主核はオス優位な性的二型核として知られています。ラットのコルチコトロピン放出因子(corticotrophin-releasing factor, CRF)含有ニューロンは主核にはほとんど存在しておらず吻側に集中していることが知られていますが、マウスではCRFを可視化する上での技術的な困難により、その分布は明らかにされてはいませんでした。今回、私たちは、crfプロモーターを利用した遺伝子改変マウスを用いることで、マウス分界条床核におけるCRFニューロンの分布が明らかになったと同時に、詳細な形態計測解析によってマウス分界条床核背外側部におけるメス優位性が明らかになりました。

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問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学 大学院情報科学研究科
教授 井樋 慶一
Tel: 022-795-4741
E-mail: itoik*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください。)

<報道担当>
東北大学 大学院情報科学研究科 広報室
〒980-8579 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉6-3-09
Tel: 022-795-4529 Fax: 022-795-5815
E-mail: koho*is.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください。)

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