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ヌーナン症候群の新しい原因遺伝子を発見 -ゼブラフィッシュでヒト遺伝病の病態を再現-

【発表のポイント】

  • 国の指定難病であるヌーナン症候群注1の患者において、全ての遺伝子のDNA配列を調べることによって原因となる新規の遺伝子を発見した。
  • 患者で発見された遺伝子の違い(変異)をゼブラフィッシュに導入したところ、頭頸部の異常や、体長が短くなるなど、患者で見られた病態が再現された。
  • 本研究の成果より、ヌーナン症候群患者の正確な診断率の向上、病態解明ならびに治療法開発が期待される。

【研究概要】

東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野の新堀哲也(にいほり てつや)准教授、永井康貴(ながい こうき)大学院生、青木洋子(あおき ようこ)教授、創生応用医学研究センター細胞増殖制御分野中山啓子(なかやま けいこ)教授らの研究グループは、Duke大学(米国)、横浜市立大学などと共同で、先天性心疾患や骨格の異常などを伴う先天性疾患であるヌーナン症候群の新規原因遺伝子としてRRAS2(アールラスツー)遺伝子変異を同定しました。この遺伝子変異をモデル動物である熱帯魚のゼブラフィッシュに導入したところ、頭頸部の異常、体長が短くなるなど、ヌーナン症候群患者で見られた病態が再現されました。この発見によって、ヌーナン症候群の診断率の向上、病態の解明と新しい治療法の開発が期待されます。

本研究成果はAmerican Journal of Human Genetics誌オンライン版で2019年5月23日午前11時付け(米国東部時間、日本時間5月24日午前0時)に掲載されました。本研究は独立行政法人日本学術振興会や国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)などの支援を受けて行われました。

【用語説明】

注1. ヌーナン症候群、コステロ症候群、cardio-facio-cutaneous(CFC,シーエフシー)症候群:特異的顔貌・心奇形・肥大型心筋症・骨格の異常・癌感受性を示す先天性疾患。お互いに類似しており、臨床症状だけでは鑑別が難しい場合がある。青木教授、新堀准教授らは過去にコステロ症候群、CFC症候群の原因となる遺伝子を世界で初めて同定した (Aoki et al. Nature Genet 2005, Niihori et al.Nature Genet 2006)。さらに青木教授らは次世代シークエンサーを駆使してヌーナン症候群の原因となる遺伝子を新たに発見した(Aoki et al. Am J Hum Genet 2013)。

図1. 正常型または患者さんで同定された変異型RRAS2を導入したゼブラフィッシュでの症状。(上)変異型では正常型と比較して顎の骨(角舌骨)の角度が大きい。(下)変異型では正常型と比較して体長が短い。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科遺伝医療学分野
准教授 新堀 哲也(にいほり てつや)
電話番号: 022-717-8139
Eメール: tniihori*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号: 022-717-7891
FAX番号: 022-717-8187
Eメール:  pr-office*med.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)

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