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車載スペックの150℃の耐環境下で、従来技術@125℃に対してデータ保持時間を100万倍に延ばせる1Xnm世代向け高信頼MTJの開発に成功 ~自動車や社会インフラ等の過酷な環境におけるアプリケーションへの展開を拓く~

【概要】

指定国立大学法人東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター(以下、CIESと略称)の遠藤哲郎センター長(※)のグループは、従来技術による磁気トンネル接合(MTJ)における動作温度125℃でのデータ保持時間と比較して、自動車や社会インフラ等のより高い耐環境性が求められるアプリケーションで必要となる150℃の耐環境下においてもデータ保持時間を100万倍に延ばせる1X nm世代向けの高信頼MTJの開発に成功しました。

磁石の性質を利用した不揮発性メモリである磁気ランダムアクセスメモリ(STT-MRAM)は、低消費電力エレクトロニクスを実現するための基盤技術です。そのため、これまで学術界・産業界が挙って研究開発を進め、昨年からメガファブを有する大手ファウンドリー企業がその量産を開始しました。しかしながら、現行の技術では、一般電子機器仕様の85℃までしか十分なデータ保持時間が得られていなかったために、一般民生機器分野への応用に限られていました。そのため、自動車や社会インフラ等の過酷な環境への応用展開を実現するために、より高い動作温度でも十分なデータ保持時間を確保できるMTJ技術の開発が望まれていました。

今回、CIESの遠藤哲郎センター長のグループは、上記社会的要請を受けて、データ保持時間を大幅に延ばせる1Xnm世代向けの高信頼MTJの開発に成功しました。具体的には、データ保持時間を延ばすために必要な界面磁気異方性を増加させる4重界面積層技術を適用した新しいMTJを提案し、現行のMTJ技術で125℃の動作温度においてデータを保持できる時間と比較し、自動車や社会インフラで必要とされる150℃での耐環境下においてもデータ保持時間を100万倍に延ばすことを可能としました。これにより、これまで一般民生機器に限られていたSTT-MRAMのアプリケーション分野を自動車や社会インフラ等の過酷な環境における分野にまで拡げることが期待されます。

※以下の職を兼務: 東北大学大学院工学研究科教授、先端スピントロニクス研究開発センター(世界トップレベル研究拠点)副拠点長、スピントロニクス学術連携研究教育センター部門長

図1:本研究で提案した4重界面を有するi-PMA型の4重界面MTJ素子(a)と従来の2重界面MTJ素子(b)。4重界面MTJ素子においては、磁石層(記録層1と記録層2)材料の開発を行うと共に、一つの磁石として動作する高度な磁気結合設計を行いました。

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問い合わせ先

◆研究内容及びセンターの活動に関して
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
センター長・教授 遠藤哲郎
TEL:022-796-3410

◆その他の事項について
東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター
支援室長 門脇豊
TEL:022-796-3410 FAX:022-796-3432
E-mail:support-office*cies.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センター内
OPERA支援室長 山川佳之
TEL:022-796-3405
E-mail:opera-shien*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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