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がん抑制タンパク質p53の天然変性領域を標的としたペプチドの人工設計 ― 天然変性タンパク質の創薬に期待 ―

【発表のポイント】

  • 計算機科学により、膨大な数のペプチド注1群から標的タンパク質の天然変性領域に結合する医薬品候補ペプチドを推定し、合理的で迅速な創薬研究を可能に
  • 本手法を用い、8×10の16乗通り(8億×1億通り)のペプチド群から、天然変性領域を持つがん抑制タンパク質p53の機能を制御する人工ペプチドを発見

【概要】

東北大学多元物質科学研究所の鎌形清人准教授、産業技術総合研究所人工知能研究センターの亀田倫史主任研究員、および立命館大学薬学部創薬科学科の北原亮教授らの研究グループは、タンパク質の天然変性領域を標的とした医薬品候補ペプチドの設計法の開発に成功しました。

医薬品の開発には、疾患に関与するタンパク質が持つ特定の立体構造に結合し、そのタンパク質の機能を、阻害または促進する低分子の設計が行われています。しかし、特定の立体構造を持たない天然変性領域を持つタンパク質に対しては上述の方法が通用せず、医薬品の迅速な開発は困難でした。研究グループは、この天然変性領域のアミノ酸配列情報のみを使用し、計算機内で、この領域に特異的に結合する医薬品候補ペプチドを迅速に設計する方法を開発しました。本手法を用いて、8×10の16乗通り(8億×1億通り)のペプチド群から、天然変性領域を持つがん抑制タンパク質p53の機能を制御する人工ペプチドを発見しました。この人工ペプチドは医薬品候補分子として期待されます。以上より、本手法は、タンパク質の天然変性領域を標的とする創薬研究を加速する可能性があります。

Fig.1 医薬品候補分子の探索。 a)タンパク質の立体構造に対して様々な分子をドッキングさせ、形状が合致した分子を医薬品候補とします。 b)タンパク質が特定の形を持たない場合(天然変性)、ドッキング計算による探索ができません。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学多元物質科学研究所
准教授 鎌形 清人(かまがた きよと)
電話: 022-217-5843
Email:kiyoto.kamagata.e8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学多元物質科学研究所 広報情報室
電話: 022-217-5198
E-mail:press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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