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窒化ガリウムマイクロLEDの発光効率を低電流密度で5倍に高効率化 - 高効率・高解像度のマイクロLEDディスプレーの実現に一歩前進 -

【ポイント】

  • 中性粒子ビームエッチング技術を用い、加工ダメージの極めて少ないGaNマイクロLEDを作製
  • LEDのサイズを6マイクロメートルまで小さくしても低電流密度での発光効率を維持
  • 高効率・高解像度のマイクロLEDディスプレーへの応用に期待

【概要】

国立研究開発法人 産業技術総合研究所【理事長 中鉢 良治】(以下「産総研」という)窒化物半導体先進デバイスオープンイノベーションラボラトリ【ラボ長 清水 三聡】GaN光デバイスチーム 王 学論 ラボチーム長、電子光技術研究部門【研究部門長 森 雅彦】朱 俊 元客員研究員、ナノエレクトロニクス研究部門【研究部門長 中野 隆志】遠藤 和彦 研究グループ長らと、国立大学法人 東北大学【総長 大野 英男】(以下「東北大」という)流体科学研究所 未到エネルギー研究センター長、材料科学高等研究所 主任研究者 寒川 誠二 教授 兼産総研 ナノエレクトロニクス研究部門 特定フェローは、微小なGaN(窒化ガリウム)LED(マイクロLED)の高効率化技術を開発しました。

マイクロLEDを高密度に配置したマイクロLEDディスプレーは次世代のウエアラブル情報端末のための高効率・高輝度・高解像度のディスプレーとして期待されていますが、従来の作製法ではLED側面の加工損傷が大きいため、サイズが小さくなると発光効率が著しく低下することが大きな問題になっていました。今回、加工に伴う損傷が極めて少ないことが知られる中性粒子ビームエッチング技術をGaNマイクロLEDの作製に用いることで、LEDのサイズを6 マイクロメートル(μm)まで小さくしても発光効率の低下がほとんどないGaNマイクロLEDを開発しました。

なお、この技術の詳細は、2019年7月7日~7月12日に米国ワシントン州ベルビュー市で開催される国際会議「International Conference on Nitride Semiconductors」で発表されます。

【用語説明】

◆窒化ガリウムLED
発光層の材料に窒化ガリウム(GaN)/窒化ガリウム・インジウム(InGaN)を用いた半導体発光ダイオード(LED)。インジウムの含有量を調整して、赤、緑、青の三原色のLEDを作製できる。ただし、赤色波長帯の発光効率が未だ数%以下と極めて低いという課題を有する。

◆マイクロLED
サイズが数μm~数十μmの微小な半導体発光ダイオード(LED)。

◆中性粒子ビームエッチング技術
プラズマ中の帯電粒子をプラズマ室と試料室との間に設置したハチの巣状のカーボンプレートによって中性化し、中性の活性種だけを試料表面に供給するエッチング技術。東北大学 寒川教授が世界で初めて開発した技術で、ダメージの極めて少ないエッチングが可能。

図1 今回、作製したGaNマイクロLEDの模式図

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

国立大学法人 東北大学
流体科学研究所 未到エネルギー研究センター センター長、材料科学高等研究所 主任研究者
教授  寒川 誠二
〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
TEL:022-217-5240
E-mail:samukawa*ifs.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

【取材に関する窓口】
国立大学法人 東北大学
材料科学高等研究所 研究支援部門 広報・アウトリーチオフィス
〒980-8577 仙台市青葉区片平2-1-1
TEL:022-217-6146 FAX:022-217-5129
E-mail:aimr-outreach*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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