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ゲルを基材とするオール有機物の生体親和性電極 -脳に密着する頭蓋内電極として有効性を実証-

【発表のポイント】

  • ハイドロゲルを基材とするオール有機物電極を開発
  • 生体に安全な柔軟性と物質透過性を有し、MRIなど画像診断を邪魔しない
  • 脳の表面(柔らかい濡れた凸凹)でも密着状態を保持し、脳波の計測精度が高い
  • てんかん手術や脳機能マッピングなどの脳外科手術などに用いる頭蓋内電極として有用

【概要】

東北大学大学院工学研究科の西澤松彦教授と医学系研究科の冨永悌二教授の共同グループは、大学病院臨床研究推進センター(CRIETO)と協力して、ハイドロゲル(水分70%以上)を基材とする頭蓋内電極を開発しました。炭素繊維と導電性高分子をハイドロゲルに組み合わせたオール有機物であるため、生体組織と同等に柔らかく、体液や酸素などを透過し、MRIなど画像診断の邪魔にもなりません。脳の表面(柔らかく濡れた凸凹が存在)でも密着状態を保持し、そのため現行の頭蓋内電極(シリコーンゴムに金属を配線)よりも高い脳波計測精度を示す可能性が示唆されました。頭蓋内電極は、脳活動の計測と刺激に広く用いられ、特に、脳外科手術時の脳機能モニタリングとてんかん焦点の診断に必要です。国内てんかん患者数はおよそ100万人で、手術治療が検討されるべき薬剤抵抗性てんかん患者はそのうち20%~30%とされています(※1)。"脳に優しく高性能"なハイドロゲル頭蓋内電極により、てんかん焦点の検出や機能評価がより安全かつ精細なものとなり、難治性てんかんの外科治療の発展に貢献し得るものと期待されます。

以上は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究成果展開事業(先端計測分析技術・機器開発プログラム)による成果であり、2019年9月16日にNature Publishing Groupの電子版科学誌「Scientific Reports」にオンライン版で公開されました。

※1 公益(社)日本てんかん協会

詳細(プレスリリース本文)※2020年1月24日に訂正版へ差換PDF

※3頁の2段落目の説明文を以下のとおり訂正いたしました。(2020年1月24日)

<訂正前>

脳波の領域5Hz~1kHzで有機電極のインーダンスが低く、脳波計測に適していることが判ります。

<訂正後>

脳波の領域5Hz~1kHzで有機電極のインピーダンスが低く、脳波計測に適していることが判ります。

問い合わせ先

●研究に関して
東北大学大学院工学研究科 教授 西澤松彦
TEL:022-795-7003
Email: nishizawa*biomems.mech.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
東北大学病院 脳神経外科・臨床研究推進センター 特任教授 中川敦寛
TEL:022-717-7230
Email: nakagawa*nsg.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

●報道に関して
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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