本文へ
ここから本文です

【世界初】反応中の合金触媒の多様な組成変化を可視化 ―低コスト・高効率な合金触媒設計への貢献に期待―

【発表のポイント】

  • 自動車の排ガス装置などに使用される合金触媒の組成変化を、実環境に近い状態下でリアルタイムに観察することに成功
  • 合金触媒の粒子の組成分布が、外部環境に応じて著しく変化する詳細な様子を世界で初めて観測
  • 本結果の知見は高性能な合金触媒の設計に貢献することが期待される

【概要】

燃料電池の電極や自動車の排ガス浄化装置には、化学反応を促進する合金触媒が使用され、これらの機器の動作で重要な役割を果たしています。合金触媒では、外部環境によって触媒粒子表面の組成が変化し、それに伴い触媒能も大きく影響を受けます。そのため、より高性能な合金触媒を設計するためには、粒子の組成分布がこれらの環境下でどのように変化するのかをリアルタイムで観察する、すなわち「その場観察」を行う必要があります。しかし、気体や液体と反応中の触媒粒子は1 μm以下と微小なため観察が難しく、実現には高い物質透過能と高分解能を両立した観測方法の確立が課題でした。

東北大学金属材料研究所の河口智也助教は、米国Argonne国立研究所Hoydoo You博士、ドイツ電子シンクロトロン研究所(DESY)、ドイツ・Hamburg大学、ロシア・National Research Nuclear大学の研究者との共同研究により、物質透過能と高分解能を両立するX線を用いた、ブラッグコヒーレント回折イメージング法を用いることで、微小粒子内の組成分布とその変化をその場観察することに世界で初めて成功しました。

具体的には、直径約200 nmの微小な白金・ロジウム合金触媒粒子を様々な環境下で観察しました。触媒反応が起こりやすい酸化還元環境や温度下に置くと、そうした外部環境の変化に応じて粒子内の組成分布が様々に変化すること(例えば、酸化環境では粒子表面近傍のロジウム組成の希薄化が顕著になるなど)が明らかとなりました。

本分析技術や本研究で明らかとなった知見は、より高性能な合金触媒の設計・開発に貢献すると期待されます。本成果は2019年12月13日に「Physical Review Letters」に掲載されました。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究内容に関して)
東北大学金属材料研究所
構造制御機能材料学研究部門
河口智也
TEL: 022-215-2372
E-mail:tkawaguchi*imr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関して)
東北大学金属材料研究所 情報企画室広報班
冨松 美沙
TEL:022-215-2144 FAX:022-215-2482
E-mail:pro-adm*imr.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ