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活性硫黄によるタンパク質劣化防止機構の発見 -タンパク質の劣化を防いで老化防止・健康長寿の可能性-

【発表のポイント】

  • タンパク質に含まれるアミノ酸(システイン)が過剰な酸化によって変性するとタンパク質が劣化し、不可逆的に機能不全となる。
  • 今回の研究は、活性硫黄注1が酸化ストレス注2によるタンパク質劣化を防いでいることを初めて明らかにした。
  • この発見により、老化防止・長寿戦略の確立、および、呼吸器・心疾患、がんなど、酸化ストレスが関わる様々な疾患の診断・予防治療薬の開発が期待される。

【概要】

東北大学大学院医学系研究科環境医学分野の赤池孝章(あかいけ たかあき)教授らのグループは、タンパク質中のシステインの活性硫黄によるパースルフィド化注3が、不可逆的な機能不全からタンパク質を保護していることを明らかにしました。本研究は、活性硫黄がタンパク質の劣化を防止するという全く新しい機構を解明したものであり、生化学や細胞生物学・酸化還元生物学等における画期的な発見です。今回の活性硫黄によるタンパク質劣化防止効果の発見により、ヒトにおける老化防止・健康長寿の確立、および、呼吸器・心疾患、がんなど、酸化ストレスが関わる様々な疾患の診断・予防治療薬の開発が期待されます。

本研究成果は、2020年1月1日午後2時(現地時間、日本時間1月2日午前4時)付で、米国科学誌Science Advances誌(電子版)に掲載されました。

図1.システインとシステインパースルフィド・酸化体の化学構造

【用語解説】

注1. 活性硫黄:システインパースルフィド(注3参照)に代表される反応性の高い化合物の総称であり、生体内で強力な活性酸素の消去能力を発揮して主要な抗酸化物質として機能している。

注2. 酸化ストレス:活性酸素による生体分子の酸化的な損傷反応により引き起こされる病態である。活性酸素と抗酸化物質・抗酸化システムのバランスが崩れ発生することが多い。

注3. システインパースルフィド:アミノ酸の一種「システイン」のチオール側鎖(SH基)に過剰に(2コ以上の)硫黄が結合したシステインである。この僅かな違いにより、システインを、そのチオール側鎖の不可逆的な酸化修飾から保護することができる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医学系研究科環境医学分野
教授 赤池 孝章(あかいけ たかあき)
電話番号:022-717-8164
Eメール:takaike*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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