本文へ
ここから本文です

変態スピードを速めるメカニズムを世界で初めて解明 〜物質の取り込み能力の低下が細胞死の引き金を引く〜

【発表のポイント】

  • 昆虫の変態では幼虫の細胞が速やかに除去される
  • 時間が経つにつれて幼虫細胞の物質を取り込む活性がだんだん弱まる
  • エンドサイトーシス*1(物質の取り込み活性)が弱まると細胞死が起こりやすくなり、細胞の入れ替えが速まる
  • がん細胞の除去を促すような新たな医療技術の開発につながることが期待できる

【概要】

昆虫の変態において、不要になった幼虫の細胞が成虫の体を作る細胞と入れ替わることが知られていましたが、入れ替えのスピードを調節する仕組みは明らかになっていませんでした。東北大学大学院生命科学研究科の梅津大輝助教、倉永英里奈教授らのグループは、この過程の一部始終を生きたまま詳しく観察し、幼虫細胞の物質の取り込み活性が時間が経つにつれて徐々に弱まり、それによって細胞の除去が促されることを明らかにしました。本研究は、変態において細胞の入れ替えのスピードを速める仕組みを明らかにした世界初の例で、がん細胞などの不要な細胞の除去を促すような新規の医療技術の開発に発展することが期待されます。

本研究成果は4月14日付でDevelopment誌に掲載されます。本研究は、文部科学省研究費補助金、国立研究開発法人科学技術振興機構、公益財団法人アステラス病態代謝研究会の支援を受けて行われました。

図1 幼虫細胞からなる表皮組織(上図、緑)が成虫細胞(同、マゼンタ)で入れ替わる。除去された幼虫細胞とエンドサイトーシスの関係(下図)。

【用語説明】

*1 エンドサイトーシス:細胞外や細胞膜上の物質を細胞内に取り込むこと。細胞膜の一部を陥没させることに始まり、小胞としてくびり切って細胞膜ごと細胞外液を取り込む。小胞はその後、細胞内を輸送され、取り込んだ物質が活性化されたり、不活性化されたり、再利用されたりする。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 梅津 大輝 (うめつ だいき)
電話番号: 022-795-6701
E-mail:umetsu*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

担当 倉永 英里奈 (くらなが えりな)
電話番号: 022-795-6709
E-mail:erina.kuranaga.d1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
E-mail:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

このページの先頭へ