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磁性体3次元らせん状ネットワークの複雑な磁気構造の可視化に成功 ~スピントロニクス物理と新概念情報処理に新展開~

【発表のポイント】

  • 3次元でらせん状のナノスケールネットワーク構造を有するジャイロイドを自己組織化の手法を用いて磁性体で形成することに成功
  • 電子線ホログラフィーを用いて形成した磁性ジャイロイドの磁気構造を解明
  • 音声等の時系列情報の処理に適した新概念コンピュータなどへの応用が期待

【概要】

国立大学法人東北大学電気通信研究所のJustin Llandro助教、深見俊輔教授、大野英男教授(現、総長)は、英国、ドイツ、スイスのチームとの共同研究により、3次元でらせん状のナノスケールネットワーク構造を有する『ジャイロイド』を磁性体で形成し、電子線ホログラフィーなどの手法を駆使してその複雑な磁気構造を明らかにしました。

磁性体からなる3次元のナノスケール人工構造体は様々な新奇スピントロニクス物理現象を発現することが予測され、今後の発展が期待される興味深い研究対象です。しかし実際にはそうした物理現象が創発されるような構造を形成するのは容易ではなく、また現象を理解して応用する上では、その磁気的な構造を明らかにすることが不可欠でした。今回研究チームは自己組織化の手法を用いることで、ナノスケールで3次元的にらせん状のネットワーク構造を有した『ジャイロイド』をNiとFeの磁性合金で形成することに成功しました。そして電子線ホログラフィーを用いてその磁気構造を可視化し、磁性ジャイロイドが非常に複雑な磁気構造を有していることを明らかにしました。得られた知見は、音声などの時系列情報の処理を得意とするリザバー計算機などの新概念コンピュータへの有用性を示唆するものであり、今後基礎・応用の両面で様々な展開が期待されます。

本研究成果は2020年4月6日に米国の科学誌「Nano Letters」のオンライン速報版で公開されました。

図1) ジャイロイドの構造。(左)70.5°の角度をなして捻じれた一対の三叉路構造。(中)一対の三叉路構造が組み合わさってできた単位胞の構造。(右)単位胞がx、 y、 z方向に2つずつ並んだネットワーク構造。

詳細(プレスリリース本文)PDF

※1頁目のサブタイトルを以下のとおり訂正いたしました。(2020年4月27日)

<訂正前>
スピントロニクス物理現象における重要な新展開

<訂正後>
スピントロニクス物理と新概念情報処理に新展開

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学電気通信研究所
教授 深見 俊輔
電話 022-217-5555
E-mail:s-fukami*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学電気通信研究所 総務係
電話 022-217-5420
E-mail:somu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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