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「超高純度鉄」は優れた生体適合性を示す新奇生体材料 ―新たな医療資材、細胞培養基質として有望―

【発表のポイント】

  • 超高純度鉄(ABIKO-iron: 99.9996%純度)は、表面処理を施すことなく、哺乳類細胞の接着と増殖を可能にする。
  • ABIKO-iron上での、骨分化や筋管への分化誘導もなされた。
  • ABIKO-ironに接着した細胞では、様々なストレス応答遺伝子の発現も見られず、新奇生体材料としての利用が期待される。

【概要】

各種合金をはじめとする金属材料は、人工歯根(インプラント)、骨を固定するプレートやボルト、血管や消化管を補強・拡張するためのステントなど広く医療用資材として利用されています。一方、長期間体内に移植することで溶出する微量金属の有害な影響、金属毒性や金属アレルギーの発症、移植後の周辺細胞や組織との接着性、適合性が弱いことなど、負の面も見られます。

東北大学大学院生命科学研究科の東谷教授と金属材料研究所元客員教授の安彦らの研究グループは、超高純度鉄(Abiko-Iron: 99.9996%)は、表面処理を施すことなく、各種の哺乳類培養細胞を接着、増殖させる基質となることを明らかにしました。さらに、Abiko-Iron表面において、骨分化や筋管への分化などの細胞分化も誘導可能で、その際、生体毒性や重金属ストレス応答などのネガティブな遺伝子の働きも誘導されないことを見出しました。これらの特徴はTi合金やCo-Mo合金など従来の生体金属材料とは大きく異なります。Abiko-Ironの、生体適合性の高い安全な新奇生体材料としての利用が期待されます。

本研究成果は、Journal of the Mechanical Behavior of Biomedical Materialsに2020年6月号 vol. 106 103744に掲載されます。(なお、電子版は3月27日に公開されました。)

【図】(上段)マウス横紋筋由来C2C12筋芽細胞のAbiko-Iron上での増殖(左)とその分化誘導5日後の筋管細胞への分化状況(右)をとらえた走査電子顕微鏡像 (下段)間葉系幹細胞MSCsのAbiko-Iron上での分化誘導前(左)とその分化誘導21日後の骨芽細胞への分化状況(右)をとらえたアリザリンレッド染色像

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 東谷 篤志 (ひがしたに あつし)
電話番号:022-217-5715
Eメール:atsushi.higashitani.e7*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
電話番号:022-217-6193
Eメール:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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