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死別による悲嘆のコストに、いかに対応できるか ―生産性の低下・疾病・医療福祉依存の実態を調査―

【概要】

日本は古来より、葬送儀礼や墓参りを通じて肉親や友人の死を受容してきました。激変する現代日本の超高齢社会が進行する中で家族や知人との死別に直面する頻度が増しています。その結果、生産性の低下や心身の不調、医療福祉への依存など、死別の悲嘆による影響が日本社会に多大な社会的・経済的影響を及ぼすことが予測されています。

京都大学 学際融合教育研究推進センター 政策のための科学ユニット カール・ベッカー 特任教授、東北大学大学院文学研究科 谷山洋三 准教授らの研究グループは、家族や友人との死別による悲嘆が遺族にもたらす精神的・身体的な影響、および医療福祉に依存する傾向を調査しています。2〜8ヶ月以内に家族を亡くした遺族165世帯にアンケート調査回答の結果、①死別の悲嘆が深刻なほど、仕事の生産性が低下し、精神的・身体的な疾患を抱えやすくなり、医療福祉に依存する(医療費が高くなる)傾向があること、②葬送儀礼に満足し、健全な形で死者との関係を保てる人は、上記の傾向が比較的に低いこと、③低所得層の遺族や、死別によって収入が激減した遺族は、生産性の低下や投薬量の増加傾向が見られることなどが明らかになりました。本研究および現在進行中の大規模な調査の結果に基づいて、遺族に対して適切な経済的支援を行うなど、日本社会の死別悲嘆による影響を軽減する政策の立案につながることが期待されます。

本研究成果は、2020年8月25日に死生学の国際学術誌「OMEGA-Journal of Death and Dying」のオンライン版に掲載されました。

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