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無人機を用いた海底地殻変動の多点長期観測に成功 ―高時間分解能での地震発生帯の現状把握に大きな進展―

【発表のポイント】

  • 自動自律航行する無人観測機を用いて、日本海溝沿いの海底地殻変動観測点14点を約40日かけて巡回し、データを収録することに成功。
  • これまで船舶の使用が不可欠だった、GNSS-音響測距結合方式の海底地殻変動観測のコストを大幅に削減することが可能に。
  • 観測頻度を上げることが現実的になり、プレート境界浅部(海溝軸近傍)での固着・すべりの時間変化の検出が期待できる。

【概要】

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是、以下「JAMSTEC」という。)海域地震火山部門の飯沼卓史主任研究員らは、東北大学大学院理学研究科の日野亮太教授及び東北大学災害科学国際研究所の木戸元之教授らとともにGNSS(※)-音響測距結合方式の海底地殻変動観測(図1、以下「GNSS-A観測」という。)を無人海上観測機「ウェーブグライダー」によって実施するシステムを開発し、複数の観測点に沿って無人機を巡回させることにより、多くの地点での観測データを1ヶ月あまりの間に自動で取得することに成功しました。

従来、有人船舶もしくは係留式のブイを用いることが不可欠だったGNSS-A観測では、その高い運用コストが観測体制の充実における課題となってきていましたが、無人機を用いた観測の実現により、1観測あたりのコストを1/10以下にまで削減が可能です。

今後、無人機を活用することで海底地殻変動観測の頻度を高めることができれば、海溝型大地震の発生を繰り返す海域下での海陸プレート境界で蓄積された歪を解消する過程の実態が詳しく明らかとなり、巨大地震の発生可能性評価の信頼度を大幅に向上させることができると期待できます。

本研究の一部は、JSPS科研費JP19H05596の助成を受けて実施されたものです。

図1 GNSS-A観測の模式図。海上の船舶やブイなどの海上プラットフォームの位置をGNSS観測により決定するとともに、海底に設置した海底局(音響トランスポンダー)の位置を音響測距によって計測する。

【補足説明】

※ Global Navigation Satellite System(全地球航法衛星システム):米国のGPS(Global Positioning System)に代表される、人工衛星を用いた測位システムの総称。欧州のGalileoやロシアのGLONAS、日本の順天頂衛星システムなどが含まれる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(本研究について)
国立大学法人東北大学
大学院理学研究科 地震・噴火予知研究観測センター
教授 日野 亮太
電話:022-225-1950 
E-mail:hino*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

災害科学国際研究所 災害理学研究部門
教授 木戸 元之
電話:022-752-2063 
E-mail:kido*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道担当)
国立大学法人東北大学大学院理学研究科
広報・アウトリーチ支援室
電話:022−795−6708
E-mail:sci-pr*mail.sci.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

国立大学法人東北大学災害科学国際研究所
広報室 中鉢奈津子・鈴木通江
電話: 022-752-2049 
E-mail:koho-office*irides.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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