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家屋内汚染からの内部被ばく評価 実際の掃除機がけ、ハタキがけにより採集した試料で線量を評価

【発表のポイント】

  • 旧・現避難指示区域の住家で採集したハウスダスト及びエアロゾル(浮遊粒子状物質)の粒子サイズ、セシウム-137の放射能、バイオアクセシビリティ(水および塩酸への溶解度)を分析・評価しました。1軒ごとに経口摂取と吸入摂取による内部被ばく線量を評価した初の報告です。
  • 最大線量はハウスダストの経口摂取により1日あたり1.13 µSv、1.5時間のハタキがけ中の吸入摂取で4.55 µSvと計算されました。(2011年3月の値として計算)
  • 経口摂取と吸入摂取による内部被ばく線量は、双方とも福島第一原子力発電所からの距離と逆相関関係があり、屋内の表面汚染とは正の相関関係がありました。
  • 屋内表面汚染を取り除く効果的な掃除の方法を示しました。

【概要】

原発事故時に屋内に入り込み、残存している放射性物質は遊離性であるため掃除の方法によっては舞い上がり、これを摂取することで経気道及び経口の内部被ばくを生じる可能性があります。東北大学大学院薬学研究科の吉田浩子准教授は、産業技術総合研究所 篠原直秀主任研究員と共同で福島第一原発から1.6〜16.1 kmに建つ65軒の家屋および建物を調査しました。その結果、
1)粒子径180μm未満のハウスダストを1日あたり20 mg経口摂取した場合、
2)マスクをつけてハタキがけをしている間に舞い上がったエアロゾルを1.5時間吸入摂取した場合に、預託実効線量はそれぞれ最大で1.13 µSv、4.55 µSvと評価しました。

経口摂取と吸入摂取による内部被ばく線量は、双方とも福島第一原発からの距離と逆相関関係があり(図1)、屋内の表面汚染とは正の相関関係があることを示しました。屋内表面汚染の除去には掃除機がけは効果がなく、キムタオルや化学雑巾で丁寧に拭き取る、湿式で拭き取る、方法が効果的であることを示しました。

本研究は、環境省委託事業「放射線健康管理・健康不安対策事業(放射線の健康影響に係る研究調査事業) 」において実施されたものです。

本研究の成果は、英国の科学雑誌Scientific Reportsに、10月14日付けで掲載されました。

図1 福島第一原子力発電所からの距離と各住家における1日あたりの137Cs放射能の経口摂取量()と吸入摂取による137Cs放射能()(2011年3月現在)の相関、 福島第一原子力発電所からの距離とハウスダストの摂取による実効線量()とダスト中のエアロゾルの吸入による実効線量()との相関関係、およびFDNPPからの距離の相関を示しています。
いずれも福島第一原子力発電所からの距離とゆるやかな逆相関関係を示しています。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

東北大学大学院薬学研究科 
担当 吉田浩子 准教授
電話 022-795-6797
E-mail  hiroko.yoshida.b2*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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