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反強磁性体がまた一歩「使える」材料に~多結晶金属ヘテロ構造の反強磁性スピン秩序の電気的制御を実証~

【発表のポイント】

  • 半導体プロセスと互換性のある反強磁性材料の電気的制御を実証
  • 反強磁性スピン秩序の電流制御と長時間の状態保持が可能な多結晶金属ヘテロ構造を開発し、放射光で可視化に成功
  • 反強磁性スピントロニクスの電子デバイス産業利用に前進

【概要】

「反強磁性スピントロニクス」の工学利用への注目が高まっていますが、電子デバイスとして応用するためには、現行の半導体プロセスと互換性がある材料に機能性をもたせることが課題となっていました。

東北大学先端スピントロニクス研究開発センターのサミック・ダッタグプタ助教、電気通信研究所の深見俊輔教授、大野英男教授(現、総長)らは、ニューサウスウェールズ大学(オーストラリア)、スイス連邦工科大学らとの共同研究により、反強磁性スピン秩序の電気的制御と長時間の状態保持が可能なうえ、半導体プロセスと互換性のある多結晶金属ヘテロ構造を開発し、英国の放射光施設にてその様子を可視化することに成功しました。

今回開発した材料と手法は「反強磁性スピントロニクス」の産業利用を大きく前進させるものであり、従来にない機能、性能を有した人工知能ハードウェアなどの革新的情報技術へと繋がるものと期待されます。

本研究成果は2020年11月11日に英国の科学誌「Nature Communications」のオンライン速報版で公開されました。

図1) 強磁性体と反強磁性体のスピン秩序の電気的制御の概念図。強磁性体では磁気モーメント(スピン)が互いに揃うように配列しており、全体としての磁化の方向でデジタル情報の「0」と「1」を記憶できる。対して反強磁性体では全体としての磁化は持たないが、ミクロには磁気的な秩序があり、その状態に対して情報の「0」と「1」を割り当てることができる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学電気通信研究所
教授 深見 俊輔
電話 022-217-5555
E-mail s-fukami*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学電気通信研究所 総務係
電話 022-217-5420
E-mail somu*riec.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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