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難病封入体筋炎に対する新規治療薬の発見 ミトコンドリア病治療薬候補MA-5は患者筋細胞に対して保護効果を示す

【発表のポイント】

  • 封入体筋炎注1患者由来の筋細胞を解析し、その病態の一因としてミトコンドリアの機能異常があることを示した。
  • 新規ミトコンドリア病治療薬候補 Mitochonic acid 5(MA-5)は、封入体筋炎患者由来の筋細胞において細胞保護効果があることが明らかになった。
  • MA-5は治療法の乏しい封入体筋炎の新たな治療薬になる可能性が示唆された。

【概要】

封入体筋炎は筋肉の萎縮をきたす難治性の疾患であり、現在、有効な治療法がありません。東北大学大学院医学系研究科および大学院医工学研究科病態液性制御学分野の阿部高明教授、小児病態学分野の及川善嗣医員は、東北大学で開発中の新規ミトコンドリア病治療薬候補Mitochonic acid 5 (MA-5) が封入体筋炎に対して有効であることを明らかにしました。封入体筋炎患者筋由来の筋肉細胞にMA-5を投与すると、筋芽細胞のATP注2産生の増強、低下したミトコンドリア機能の改善が観察され、細胞保護作用があることが明らかになりました。これらのことから封入体筋炎の病態の一因としてミトコンドリアの機能異常があり、MA-5が新たな治療薬になる可能性が示唆されました。本研究によって、難治疾患である封入体筋炎に対する治療の発展に貢献することが期待されます。

本研究成果は、2020年12月2日(現地時間)電子ジャーナルPLoS Oneに掲載されました。

【用語解説】

注1. 封入体筋炎:封入体筋炎は筋力低下と筋肉の萎縮をきたす進行性の疾患であり、その病態は不明で現在有効な治療法が確立していない。男性の割合が多く、初発年齢は平均64.4歳とされている。

注2. ATP (adenosine triphosphate:アデノシン3リン酸):生体内でエネルギーとして使用される化学物質。ミトコンドリアに存在する酵素により合成される。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学系研究科分子病態医工学
東北大学大学院医学系研究科病体液性制御学
教授 阿部 高明
Eメール:mitomoonshot*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
東北大学病院広報室
電話番号:022-717-7891
FAX番号:022-717-8187
Eメール:pr-office*med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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