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ディープラーニングで血流場を予測~形状データから3次元的な流れ場を1秒で予測する技術を開発~

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:東北大学流体科学研究所・助教・安西 眸
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 血管内の流れ場取得には計測や数値流体解析が必要でしたが、ディープラーニング(1)技術で血管内の流れ場を推定することを可能としました
  • 数値流体解析では約10分かかっていた大動脈・冠動脈の血流解析が、ディープラーニングでは約1秒で行うことが可能となりました

【概要】

血管内で血流が生じる流れ場を知ることが、循環器疾患の病理解明や、治療方針策定、新しい治療デバイス開発等、様々な面で注目を集めています。血管内の流れ場を知るため、これまでは侵襲的/非侵襲的な血流計測や、コンピュータを用いた数値流体力学(CFD)解析(2)が行われてきました。しかし、計測における詳細な流れ場を知るための解像度の不十分性や、CFD解析に要する長い計算時間が問題でした。

東北大学流体科学研究所・太田研究室・安西眸助教の研究グループでは、CFD解析に代わる方法としてディープラーニング技術を用い、医療用画像から構築した血管形状に対して流れ場を瞬時に推定する技術を開発しました。

今回開発したディープラーニングネットワークでは、学習済ネットワークに点群の位置情報(血管形状を表す)を入力すると、CFD解析で得られるものと同様の速度場、圧力場を出力します。しかも、CFD解析では約10分を要していたのに対し、ディープラーニングでは約1秒で血流場を得ることが可能です。

本研究結果は2021年1月22日にCommunications Biology誌に掲載され、雑誌ウェブサイトでソースコードが公開されています。

図.CFD解析で得られる流れ場とディープラーニングで得られる流れ場(流線の可視化)

【用語解説】

(1) ディープラーニング
機械学習の一種で、深層学習とも呼ばれます。大量の学習データを読み込ませ、そのデータに含まれる特徴を自動的に抽出する技術です。本研究では、PointNet(Qi et al., Proceedings of the IEEE conference on computer vision and pattern recognition 652-660 (2017))をベースとしたネットワークを構築しており、点群データを入力します。学習データに用いたCFD結果は医療用画像110名分から再構築された血管形状を基にしており、形状に変形を加えることで人工的に血管形状を作成し、学習データの拡張を行いました。

(2) 数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)解析
偏微分を含む流体運動の基礎方程式を離散化によって代数方程式で表現し、コンピュータ上で解析することで、流れの物理現象を再現する。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究について)
東北大学流体科学研究所
生体流動ダイナミクス研究分野
助教 安西 眸(あんざい ひとみ)
E-mail hitomi.anzai.b5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道について)
東北大学流体科学研究所 広報戦略室
電話 022-217-5873
E-mail ifs-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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