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昆虫の脱皮に学ぶ3次元ゲルプリンティング ~空気とゲルの界面を利用した硬化と表面機能化~

【本学研究者情報】

〇本学代表者所属・職・氏名:学際科学フロンティア研究所・助教・阿部 博弥
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 昆虫の脱皮に伴う硬化プロセスを硬化剤とゼラチンゲルを用いて再現
  • 空気とゲルの界面で反応が進むことを利用し、3次元ゲルプリンティングに成功
  • 硬化剤の特性をいかし、ゲル表面へのタンパク質の修飾および放出を制御することに成功

【概要】

昆虫の外殻には、クチクラと呼ばれる硬い層があり、外界からの異物混入や昆虫の形態維持といった機能を担っています。昆虫は成長に伴い脱皮した後、失ったクチクラ層を昆虫表皮に再形成することで、この機能を再度獲得します。

東北大学学際科学フロンティア研究所(大学院工学研究科兼務) 阿部博弥助教と同多元物質科学研究所(材料科学高等研究所兼務) 藪浩准教授(ジュニア主任研究者・ディスティングイッシュトリサーチャー)は、昆虫の脱皮に伴うクチクラ再形成に着目し、空気と反応する硬化剤とゼラチンゲルのみを用いて類似の硬化プロセスを再現することに成功しました。この再現プロセスは二次元・三次元の形状制御や、ゲル表面へのタンパク質の修飾・放出制御を可能とし、生分解性・生体適合性材料で構成されることから、再生医療分野への応用が期待できます。

本研究成果は、2021年5月5日(米国東部時間)に米国化学会誌 Langmuir にオンラインで掲載され(DOI: 10.1021/acs.langmuir.1c00364)、Supplementary Coverとしても選出されました(阿部助教が作画)。

図1 界面架橋反応の模式図。ゲル内に存在する架橋分子(図中 黄色粒子)が空気中の酸素と反応して酸化します(図中 緑色粒子)。酸化した架橋分子がゼラチン分子同士をつなぐ役割を果たし、架橋されたゼラチン、つまり硬化されたゼラチンの膜が空気と酸素の界面に形成されます。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所 
助教 阿部 博弥(あべ ひろや)
電話: 022-795-3586
E-mail: hiroya.abe.c4*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学学際科学フロンティア研究所 
鈴木 一行 (すずき かずゆき)
電話: 022-795-4353
E-mail: suzukik*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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