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弥生時代の争いの原因を検証:人口増加が重要な要因であることを明らかに

【本学研究者情報】

〇学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部 助教 田村光平
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 弥生時代北部九州に注目し、墓の数から人口、骨に残された傷から争いの頻度を推定しました。
  • 推定された人口と争いの頻度の間に正の相関関係が見られました。
  • 他の要因との関係をさらに探ることで、「人はなぜ争うのか」という人類普遍の問いに迫ることが期待されます。

【概要】

南山大学人類学研究所の中川朋美博士研究員・中尾央准教授と岡山大学文明動態学研究所の松本直子教授ら、東北大学の田村光平助教、国立歴史民俗博物館の松木武彦教授らの研究チームは、弥生時代中期(紀元前350年~紀元30年)に北部九州で起こった争いの原因を検討し、人口圧(注1)が一つの重要な要因であることを明らかにしました。

これらの研究成果は6月5日、米国の考古学専門誌「Journal of Archaeological Science」のResearch Articleとして掲載されました。

本研究では、この時期の北部九州で広く見られる甕棺(かめかん)と呼ばれる墓の数から推定された人口圧と、骨に残された傷から推定された争いの頻度の関係を、統計的に考察しました。こうした定量的な考察は、今後の考古学のあり方を大きく変えていくだろうと考えられます。また、さまざまな考古学的証拠を量的に表現・検討することで、日本だけでなく、海外のデータとの国際的な比較も進んでいくでしょう。

「人はなぜ争うのか」という問いは、時期や場所を問わず、まさに人類普遍のものです。今後、人口圧以外のさまざまな要因も考慮することで、この普遍的な問いへさらに迫ることが期待されます。

左:右眼窩上部に付けられた斬創.隈・西小田遺跡(弥生時代中期後半)出土.
右:福岡県小郡市ハサコの宮遺跡出土甕棺(弥生時代中期前半)の三次元モデル

【用語解説】

注1:人口圧
生活を支える経済活動に対して人口が過剰となることで人々が感じるストレス

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関して)
東北大学学際科学フロンティア研究所
助教 田村光平
E-mail:kohei.tamura*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関して)
東北大学学際科学フロンティア研究所
特任准教授 藤原英明
電話: 022-795-5259
E-mail:hideaki*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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