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口腔内細菌に対するエタノールの二面的生物作用 ―発がん物質産生基質としての働きと静菌・殺菌作用―

【本学研究者情報】

〇大学院歯学研究科 教授 髙橋信博
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • エタノールには、二面的生物作用(静菌・殺菌作用/口腔内細菌による発がん物質アセトアルデヒド産生基質としての働き)があります。しかし、エタノール濃度とこれらの作用との関連について、その詳細は不明でした。
  • 培養した口腔レンサ球菌に対するエタノールの二面的生物作用について、濃度による境界は明らかではなく、重複していることが示されました。
  • また、飲酒時相当の低めのエタノール濃度では、口腔レンサ球菌に対する殺菌作用は小さく、むしろアセトアルデヒド産生が高くなることから、長時間・頻繁な飲酒によって、発がんリスクを高める可能性が考えられます。

【概要】

古くから高濃度のエタノールは静菌・殺菌作用を持つことが知られていますが、近年、口腔内細菌がエタノールから発がん物質であるアセトアルデヒドを産生し、口腔がん発生のリスクを増加させていることに注目が集まっています。東北大学大学院歯学研究科口腔生化学分野の髙橋信博教授、鷲尾純平講師および同研究科口腔システム補綴学分野の互野亮助教らの研究グループは、エタノールの持つこの二面的生物作用とその濃度との関連について明らかにしました。

口腔内で代表的な菌株である口腔レンサ球菌を用いて、様々なエタノール濃度(約0.05-50%)における、アセトアルデヒド産生能、細菌増殖速度、エタノール接触後のコロニー形成能を測定したところ、エタノールの二面的生物作用を示す濃度に関して、明確な境界は無く、一部重複していることが分かりました。とくに飲酒時に想定される中濃度のエタノール環境下では、静菌・殺菌効果は低く、細菌のアセトアルデヒド産生能はむしろピークに達することが明らかとなりました。

本研究成果は、令和3年6月9日付でJournal of Oral Microbiology誌に掲載されました。

図:本研究の概要

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院歯学研究科 
口腔生化学分野
教授 髙橋 信博(たかはし のぶひろ)
講師 鷲尾 純平(わしお じゅんぺい)
電話 022-717-8294 / 8295
E-mail:OEB*dent.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院歯学研究科
広報室
電話 022-717-8260
E-mail:den-koho*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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