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指定難病シェーグレン症候群のモデルマウスを開発

【本学研究者情報】

〇大学院医工学研究科腫瘍医工学分野 教授 小玉哲也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 国の指定難病であるシェーグレン症候群注1のモデルマウスMcH-lpr/lpr-RA1マウスを開発した。このモデルマウスは、重篤な唾液腺炎と血管炎を高頻度に唾液腺で自然発症する。
  • McH-lpr/lpr-RA1マウスは、これまでのモデルマウスと異なり致死的な腎炎などを発症しないため、長期に渡る治療薬投与の効果を調べる実験などに利用できる。
  • McH-lpr/lpr-RA1マウスは、シェーグレン症候群の発症機構の解明や新たな治療法の開発に有用である。

【概要】

国の指定難病であるシェーグレン症候群は、ドライアイとドライマウスを主徴とする自己免疫疾患であり、女性に多く発症することが知られています。しかし、その発症機構と根本的な治療法は確立されておらず、発症機構の解明と新たな治療法の開発が急務となっています。

東北大学大学院医工学研究科腫瘍医工学分野の小玉 哲也教授の研究グループは、東北大学で開発された自己免疫疾患注2McH-lpr/lpr-RA1(McH/lpr-RA1)マウスがシェーグレン症候群の動物モデルとして有用であることを報告しました。また、これまで唾液腺炎の疾患モデルとして使用されてきたMRL/lprマウスでは、腎炎を発症するために短命でしたが、今回の新たなモデルマウスでは、腎炎を発症しないため長命であるという特長があり、長期に渡る治療薬投与の効果を調べる実験などに利用できます(図1)。

本研究成果は、2021年6月24日Immunology Letters(電子版)に掲載されました。

図1 McH-lpr/lpr-RA1マウスに自然発症する自己免疫疾患

【用語解説】

注1.シェーグレン症候群:自己免疫反応(リンパ球などの免疫細胞が、自分自身の正常細胞を攻撃して傷害を与える反応)により唾液腺と涙腺の組織が損傷されて、口腔乾燥症(ドライマウス)と乾燥性角結膜炎(ドライアイ)が惹起される。また、関節リウマチなどの全身性疾患を合併することもあり、全身性疾患を伴わない一次性と伴う二次性に分類されている。

注2.自己免疫疾患:自己免疫反応により引き起こされる疾患であり、シェーグレン症候群以外にも、顔面の蝶形紅斑が特徴的な全身性エリテマトーデス、関節障害を起こす関節リウマチ等の多くの疾患が知られている。発症機構や根本的な治療法は、どの疾患でも確立されていない。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院医工学研究科腫瘍医工学分野
教授 小玉 哲也
電話番号:022-717-7583
Eメール:kodama.admin*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(取材に関すること)
東北大学大学院医工学研究科
Eメール:bme-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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