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量子情報技術の新たな扉を開く超小型MRI技術を開発 ~物質内部の電子スピン密度分布を常温で3D画像化~

【本学研究者情報】

工学研究科 准教授 戸田雅也
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 常温で量子情報の3D画像を観察する技術を開発
  • 電子スピンの作る微弱な磁力変化を電子スピン密度分布画像に変換
  • 人工的なノイズ信号の利用により高精度な画像化に成功
  • 生きた細胞内部を観察する量子生命科学注1技術としての応用に期待

【概要】

細胞内部の生命活動を非破壊で解明する観察技術は、生命現象の解明や創薬の研究等で重要な要素技術であり、生命科学分野においてその進展が期待されています。東北大学大学院工学研究科の戸田雅也准教授と小野崇人教授は、マイクロメートルの微小試料に対して、ナノメートルの分解能で電子スピン(ラジカル)のイメージングを可能にする超小型3D MRI注2技術を開発しました。この技術は、電子スピン共鳴(ESR)注3とよばれる量子効果を磁力として検出し画像化する磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)の技術をベースにしています。

これまでの高分解能MRFMでは、スキャニングに長時間を要するという課題がありますが、本研究成果により、その問題を解決し、かつ高感度と広範囲な計測を両立する超小型3D MRIの開発につながることが期待されます。

本研究成果は、「Journal of Magnetic Resonance」誌に掲載されました(7月27日よりオンライン公開)。

図1 磁気共鳴力顕微鏡(MRFM)による3D力分布と3D電子スピン密度分布のシミュレーションと実測解析の結果

【用語解説】

注1.量子生命科学:
量子論・量子力学を基盤とした視点から生命全般の根本原理を明らかにすると同時に、医療・工業・情報・宇宙・環境・農業・エネルギー等の分野において革新的応用を目指す新しい学術領域。

注2.MRI(磁気共鳴画像):
一般的には、核磁気共鳴により回転する磁化が生み出す電磁波を観測することで試料内部を可視化する技術。本研究では、電子スピン共鳴を用いて、物質内部の局所的な磁化変化を磁力変化として観測して画像化。

注3.電子スピン共鳴(ESR):
物質内部の不対電子(ラジカル)が外部から与える電磁波のエネルギーを吸収して向きが反転する現象。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

<研究に関すること>
東北大学大学院工学研究科 機械機能創成専攻
准教授 戸田 雅也
電話 022-795-5810
E-mail toda*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

<報道に関すること>
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤 みどり
電話: 022-795-5898
E-mail: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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