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ミジンコの仲間は「死んだふり」でヤゴを欺く

【本学研究者情報】

〇生命科学研究科 教授 占部城太郎
研究室ウェブサイト

【発表のポイント】

  • 擬死行動、いわゆる「死んだふり」は多くの動物で観察されるが、ミジンコの仲間であるマルミジンコ類*1も示す。
  • しかし、天敵に襲われたとき、遊泳逃避行動に比べて擬死行動がどれほど有利なのかは不明であった。
  • マルミジンコとその天敵であるアキアカネのヤゴの行動観察を行ったところ、マルミジンコの擬死行動は遊泳逃避行動に比べて生存率を5倍高め、天敵から身を守るうえで有効であることがわかった。

【概要】

擬死行動、いわゆる「死んだふり」は多くの動物で観察され、天敵から身を守る行動の一つと考えられています。水中に生活する微小な動物プランクトンであるマルミジンコ類も、天敵に襲われると動きを止める擬死行動を示すことが知られていました。しかし、擬死行動が、身を守るうえでどれほど有効かは不明でした。

東北大学大学院生命科学研究科の山田紗友美博士研究員と占部城太郎教授は、国内のどこの水辺にでもいるマルミジンコが、天敵であるアキアカネのヤゴに襲われた際の行動を観察し、ヤゴはマルミジンコが遊泳する際に発する流れを利用して餌として察知すること、マルミジンコ類は天敵のヤゴに襲われるとしばしば擬死行動をし、遊泳逃避にくらべて生存率が5倍も高くなることを明らかにしました。本研究から、天敵から身を守る「死んだふり」は小さな水生動物も利用していることがわかりました。

本研究成果は2021年9月3日に淡水生物学の国際誌「Freshwater Biology」オンライン板で公開されました。観察を記録した動画も公開されています(動画掲載URL:https://youtu.be/PZbW3qjyl2c)。

マルミジンコ(左)とアキアカネの若齢幼虫(ヤゴ:右)

【用語解説】

1 マルミジンコ類...エビやカニと同じ甲殻類で、枝角目といういわゆるミジンコの仲間です。枝角目の中でも、マルミジンコ科(Chydoridae科)は170種以上と種数がミジンコの仲間の中で最も多いグループです。今回実験に用いたのは、マルミジンコ科のマルミジンコとホソオミジンコで、全国各地の湖沼などに生息し、体長は0.3~0.5㎜です。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 占部 城太郎 (うらべ じょうたろう)
電話番号: 022-795-6681
Eメール: urabe*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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